「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

姫令法の花(ヒメリョウブ)

2006年05月29日 | 季節のうつろい
“たつもり”(畑つ守)の別称と共に、名前負けのする木に咲く花ですが、いとおしんでいます。
 開ききった時より、まだ花を開かずに7cmほどの、小さな花穂に行儀よく整列している姿が風情があります。
 本種は、山でよく見かける遠くからでも白い花穂が目立つ木です。幹が百日紅のように剥げてツルツルになっています。

 花や木の状態と関係のない“令法”という名前に興味をそそられて調べてみました。正確ではありませんが、律令の時代に、山村の飢饉に備えて、この木の、葉を採取して貯蔵するよう令をもって布告したところから、”令法”とそのまま呼ぶようになった、というようなことが述べられていました。

 飢饉の時、穀物に混ぜ、“かてめし“として役立ったそうで、”さんなめし“という方言もあるそうですから、通常に食用にされていたものでしょう。それにしても、いにしえ人はどのような思いで”令法・りょうぶ”と名付けて呼んだのでしょう。

 庭に咲く“りょうぶ“は、コバノズイナ、アメリカズイナ、姫令法などと呼ばれる園芸種です。
 この令法も、仄かな香りのする花よりも、本種同様に、秋の紅葉を愛でて植える人もあります