「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

「華麗なるマイセン磁器」

2006年05月11日 | 絵とやきもの
 山口県立萩美術館のマイセン磁器特別展を見てきました。1710年代のベットガー器から20世紀初頭のアール・ヌーヴォーの頃までの作品、198点のコレクションです。
 


 "白い金”と呼ばれるに相応しい白い地肌の上品な美しさは、確かに、彼らが憧れた中国、日本を手本として、すでに其処から脱却した独自の世界を築いています。 ただ、「ウサギ小屋」の天井の低い日本家屋に生活する身には、とても馴染めない文字通りの“華麗“な異空間であり、異文化の世界です。

 西洋の広い石造りの、高い天井を持つ空間にあってこそ、あの繊細で、多彩な、これでもかとばかり繰り返される可憐な花の貼り付けも本来の美しさを発揮する存在となりうることでしょう。圧倒されるきらびやかな美の世界に溜息が出ました。

 展示品の中に、柿右衛門様式の色絵の皿やコップ&ソーサなど、大きい白地の空間を持つ作品を見つけるとホットしました。ザクセンのアウグスト王のように、四方の壁面にこのような華麗な磁器が氾濫するとしたら落ち着けないと思ったことです。

 1階の東洋磁器の展示は―古染付けと天啓赤絵―でした。浮世絵の展示は歌川国貞で、相撲絵は、場所中とあって、目を惹きました。

 県立萩美術館の見学は、年に一度会合を持つ“御牧会”( 従兄弟同士の集まり)での萩行きの「おまけ」のイベントでした。
 雨にたたられましたが「常茂恵」の庭はツツジが咲き、季節の味に口福のひと時を歓談しました。出席者22名。遠くは奈良、大阪、光(山口)からの参加です。血のつながりが土台にあるだけに、分け隔ての垣根のない“ふるさと”の気分に何の用意もなく入ってゆけます。ただ、みんな高齢になりました。
 来年は、九国博と二日市温泉だそうです。