「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

美か醜か

2004年12月18日 | 塵界茫々
 気候不順の暖冬のせいか、今年は楓の紅葉が遅く、いつまでも落葉しないで師走も半ばを過ぎてしまいました。
異変は南天の実にも現れて、毎年梅雨時に花への心遣いを怠けるので、まばらにしか赤い粒を留めないのが、今年は花と雨の季節がずれたおかげでたわわの珊瑚の粒をつけています。
 風に誘われて、紅葉も昨日あたりから落葉がしきりです。時雨に朽ちない前の「散紅葉」は、庭を埋めて、ずぼらでなく掃き寄せる気になりません。美しいとしみじみ味わいます。ある人に婉曲に、見苦しいと、たしなめられたことがありました。紅に黄の混じるいろは紅葉の莚を美と見るか、醜と見るかは、その嗜好によるものでしょう。
「 無邊の落木蕭蕭として下る」 暫しの風情を享受できる山里の住まいを今は楽しんでいます。すぐに、ため息をつきながらの落ち葉掃除の日々が訪れます。