「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

あげる

2004年12月17日 | ああ!日本語
 近頃、気になる言い回しの中から二つ。一つはやたら使われる「あげる」です。
やる、与えるの丁寧な言い方なのはわかりますが、「花に水をあげる」「日当たりの良い場所に出してあげてください」「餌をあげないで」 気になりませんか?
 さすがに、書き言葉になるとこの種の(あげる)表現は見かけなくなります。「やる」のもつ上位の者から下位の者へという意識が、非民主的と嫌われて日本語から締め出されたのでしょうか。花が水をあげるのは嬉しいのですが。「花に水をやる」「餌をやる」でも、品のない言い回しではないと思うのですが。
 もう一つは、「○○的」。驚いたのは「自分的」「気持ち的」一瞬聞き間違えたと思いました。明治初期に流行した表現の再来でもないと思うのですが、やたら耳障りな「的」をつけた表現です。「私的」を、あえて「わたくしてき」と読んでの転用なのでしょうか。「気分的」の類似としての「気持ち的」なのかもしれませんが、どうもすんなり納得できません。ほとんど病的なまでの多用と感じます。