転がり坂

登りつめたわけでもないのに、そろそろ下山したくなってきた。

女心と秋の空

2014-09-29 20:26:46 | 日記
「弱々し心も愛しぬるき酒」牧童

僕が子供の頃、冬に冷たいものを口にする機会は少なかった。小学5年生の頃、親の反対を押し切ってアイスのクリスマスケーキを買ってもらい、感動したことがある。冬にアイスを食べるのは画期的な出来事だったのだ。

現代人の心と身体は熱を帯びてきたのだろうか。冬でも冷たい飲み物を好む。燗を楽しむ人は少なくなった。僕だって年間通して冷たい酒が多い。

季節の変化を舌と身体と心で感じていきたいものだ。

秋風が吹けば酒はぬる燗、人肌燗が恋しくなる。弱々しくなった心をぬるい酒が優しく包み込んでくれる。だから弱い自分を責めずに許し、あきらめ、優しい眼で自分を眺め、虫の声を聴く。こんな暮らしに僕は憧れている。

さて、恋心にも季節変化があるのだろうか。
過去を振り返ると、秋に出会った女とは肉体関係に至るきっかけが見つけにくく、淡い想いを残して消えてしまうことが多かったような気がする。

秋は別れが多い季節ですか?

季節に関係なく、別れはいつでも突然やってくるけどね。

したくなる

2014-09-28 05:57:42 | 都々逸
(ーー;)捜すよりかは捜されたいの
待っているわよいつまでも

(ーー;)店じゃできないサービスだけど
あなただけにはしたくなる

(ーー;)援助なんかはいらないけれど
支えられたい この想い

(ーー;)妹みたいに振る舞えないわ
だって心は妻だから

(ーー;)写りたいのよあなたの横で
ライト浴びたい中央で

夏の終りに

2014-09-21 19:29:33 | 日記

蝉落ちてもがき鳴き死ぬ風の道
牧童

秋の気配が少しずつ漂いはじめている。

酔った素肌に夜風が心地よかった。突然、光の中に蝉が落ちてきた。腹を上にし、もがき、暴れ狂い、あちこち体をぶつけながら、けたたましい鳴き声をあげ続けていた。

断末魔の叫びなのだろう。
逃げ出すように立ち去る僕の後ろから、蝉の声が追いかけてきた。

静かに眠るように死にたい。僕はそう思った。

農薬に我が命を捧げる

2014-09-21 19:25:15 | 日記
柚の花やあの冬想い一人酔う 牧童

僕は果物が好きだ。一番よく食べるのは柑橘類。グレ-プフル-ツやカルフォルニアオレンジは一年中、よく食べる。グレ-プフル-ツが続くとオレンジが食べたくなり、オレンジが続くとグレープフルーツが恋しくなる。
先日、近くのス-パ-で一袋5個入りのオレンジを買った。朝、食べようと皮をむくと、なんと中央に真っ黒で、しかも大きな幼虫(ウジムシ)の死骸があった。虫が大嫌いな僕は全身が凍てついてしまった。
こういう場合、僕はすぐさま廃棄し、見なかったこと、なかったことにして、平常心を取り戻すことにしている。しかし今回は違った。長い別居生活の間に主婦感覚が身につき、このまま捨てるのは馬鹿馬鹿しいと思ったのだ。
ゴミ箱から幼虫付きオレンジを拾いあげ、しげしげ見つめては歎き、ビニール袋に入れてはため息をつき、テ-ブルの上に置き、会社に向かった。
一日、仕事が手につかなかった。
果物の値段は日々変動している。品質も異なる。もし同等金額の返金で済ませるようであれば、怒ることにした。
金で済む問題ではない!
子はこの虫を見て気絶し、妻は発狂、僕は大好物のオレンジを二度と食べれなくなったのだ。さあ、どうしてくれるんだ、この始末。
これで晩酌代くらいはもらえるかもしれない。
退社後、幼虫付きオレンジをしげしげと眺める。見慣れてくると、また見たくなる。
ス-パ-の果物売場責任者を呼びだし、証拠物件を差し出す。周囲に買い物客がいるにもかかわらず、その場で袋を開けようとしたから、僕はドスを聞かせた声で「兄ちゃん、ちょいと待ちな。ここで開けたら、回りのお客さんが驚きますよ」と忠告。
「ドヒャ~」
事務所から男の悲鳴が聞こえた。何度も詫びられ、待たされ、同等のオレンジ3個をもらい、僕は優しく微笑んだ。
「お客さん、また虫がいるかもしれませんので、念のため3個お持ち帰りください」という果物売場責任者の言葉を思い浮かべながら、恐る恐る食べた。
オレンジはやはり美味い。

野菜や果物に虫などいないほうがいい。虫付きの有機栽培より、安全な農薬を開発してほしい。虫は付かないが、人間は美しい肌になれるという成分の農薬の開発だって不可能ではないだろう。

自然は大切だ。しかし我々が求めているのは、ありのままの自然ではなく、人間にとって都合がいい自然なのだ。
それでいい。

口説きたい

2014-09-18 05:36:07 | 都々逸
(ーー;)別れたいけど今さら切れぬ
錆びたナイフのような仲

(ーー;)死んで行く日に延長戦が
あればも一度口説きたい

(ーー;)秋になっても実らぬ恋は
食うに食えずに見てるだけ

(ーー;)遠い昔ね雛壇なんて
今は仏壇だけの日々

(ーー;)艶という字の豊かな色も
色気色あせセピア色