転がり坂

登りつめたわけでもないのに、そろそろ下山したくなってきた。

たっぷりのジンを

2013-03-22 07:03:15 | 短歌
086:片
昼間しか会えぬ恋路の雛菊の片時の夢それぞれの夜

087:チャンス
消え去りし恋のチャンスも老いゆけば忘れな草を飾る逃げ道

088:訂
木蓮が指す道行けば再訂の歌と想いは落陽の中

089:喪
恋せよと呟きかける立葵またとぼとぼと喪失の道

090:舌
君想い眠れぬ夜は合歓木の舌の根元にたっぷりのジンを

みな捨てて

2013-03-06 04:55:09 | 都々逸
086:貴
生きていきます貴方とならば
家も仕事もみな捨てて

087:閉
閉じてしまった女の証
だけど乾くにゃ早すぎる

088:湧
枯れてしまったこの井戸でさえ
あなた覗けば湧く泉

089:成
四角四面でつまらぬ角も
龍馬に成れば来る維新

090:そもそも
別れましょうかそもそも二人
水と油の仲だもの

微笑みながら

2013-03-02 06:59:56 | 短歌
081:秋
マルメロの秋の魅惑に歩をゆるめ共に老けゆく微笑みながら

082:苔
ヒヤシンス根も葉も枯れて隠す嘘水栽培の底は苔生し

083:邪
松風に風邪を返して邪に勝てば清し心に邪念ふたたび

084:西洋
西洋を異文化とする感性をわからぬ孫と食うパイナップル

085:甲
良妻の甲羅を破り咲きて散る胡蝶蘭の思い出残し