転がり坂

登りつめたわけでもないのに、そろそろ下山したくなってきた。

倒されたまま

2013-09-28 06:24:51 | 短歌
台風が過ぎて晴れても秋桜と
仕事の欲は倒されたまま

秋桜と彼岸花とは似合わない
まるで僕たち二人のように

風に乗りゆらりゆらゆらコスモスは
ゆるり闘う痩せたボクサー

大群のコスモス枯れて今もなお
同じ大地に咲く陰の花

倒された嵐の跡の秋桜に
開花時ほどの愁嘆は消え

汗のシルエット

2013-09-27 17:33:44 | 短歌
不器用な時を費やし手仕事で
建てて壊して築けぬ家庭

彼方から走り近寄る幸福は
不幸の果実手土産にして

団欒のテーブル下の暗闘は
離婚届けを隠し今夜も

くっきりと境界線が示す仲
同じベッドに汗のシルエット

感嘆が嘆息となり簡単に
変わる心が別れを嘆願

寄り添うて

2013-09-26 07:26:51 | 都々逸
(ーー;)仕事するよに抱くのはやめて
お金払ったわけじゃなし

(ーー;)彼と言うより枯れ木のような
枯れたあなたに寄り添うて

(ーー;)闘う相手はあなたじゃないわ
浮気相手のあの女

(ーー;)同じあやまち また繰り返す
よせばいいのに また惚れて

(ーー;)嘆くほどでは ないけどいつも
ため息ばかりの この暮らし

言うか黙るか

2013-09-23 16:09:03 | 短歌
観月の習わし消えた窓辺立つ
すすきの風を想い浮かべて

風わずか吹けば尾花は揺れ止まず
行くか戻るか言うか黙るか

極端な静けさを増し夕陽さす
プールにすすき子等に変わりて

またひとつ色を失い更ける夜に
芒ばかりが揺れてきらめく

闇に吐く罵詈雑言を薄らは
軽くいなして閑寂のまま

失う言葉

2013-09-22 23:45:23 | 短歌
愛し合う習慣薄れ憎みあう
時を重ねて失う言葉

もう二度と帰らぬ家を見渡せば
わずかに残る梅酒梅の実

恋に酔い極彩色の眩暈より
朝一杯のフレッシュジュース

衣更えオードトアレも新しく
恋の匂いに温もり増して

吐露できぬ想いそれぞれ塗り込めた
冷えたベッドで二人見る夢