転がり坂

登りつめたわけでもないのに、そろそろ下山したくなってきた。

黒うなり

2014-05-29 05:24:12 | 都々逸
(ーー;)酔った振りしてだまされましょう
惚れたあなたの嘘だもの

(ーー;)衣装化粧で隠した肌を
あなただけには見せたくて

(ーー;)知っているくせ知らない素振り
そこじゃないのに じらされて

(ーー;)抑えきれずに叫んだ声で
やっと素顔になれたよな

(ーー;)苦労重ねて熟女になれば
あちらこちらが黒うなり

首振り散歩

2014-05-25 17:34:55 | 日記
「首白き君の向こうにツツジ燃ゆ」牧童

ツツジがあちらこちらで咲いている。刈り揃えられたツツジは単なる色に過ぎない。ところが美しい女が加わるとツツジは燃えるように花としての輝きを増してくる。

日本の女はうなじが美しい。和服や所作などから醸し出される美しさなのだろう。
動きがなければ、うなじもつまらない存在だ。色気は体の微妙な動きから生まれる。風にうまく乗って、誰かに寄り添うように歩けたら、自然と美しい動きになっていく。

歩き方が下手な人が多い。粋な歩き方ができない。だからキスも下手だ。だからリズムにも乗れない。

よし、今日は風に上手く乗り、ゆらりゆらりと揺れながら散歩をしてみよう。一日、大地のリズムを感じながら歩いてみよう。あの女のように。あの時のキスを思い浮かべながら。

僕はMかな?

2014-05-25 17:31:58 | 日記
「柏餅いくつ食おうか悩む腹」牧童

僕はスポーツが嫌いだ。こんな僕がメタボ体型にならなかったのはエアロを続けてきたからだ。

美人イントラとの出会いが僕の人生を変えた。彼女によって自分の意志で体を動かし、汗を流す心地よさを知った。

当初、トレパンにTシャツ姿だった。そんな僕に対し、最新流行のウェアを身につけるよう彼女は命じた。スキーが全くできない人に超一流選手並のかっこをさせるようなものだ。最初、周囲はベテランだと思う。ところが、ぶざまに転ぶ姿を見て大笑いする。そんな恥ずかしいマネはできないと断ったのだが、彼女は執拗に勧めた。

・ファッションに投資すれば、もったいないと思い、続けようとする。
・周囲の視線を意識するようになり、向上心が出てくる。
・鏡に写る自分の姿を見て、醜い部分を改造したくなる。
・とにかく楽しくなるから。
という理由だった。

僕はあきらめ、彼女の命令に従い、靴とウェアを買い揃えた。ス-ツやビジネスシュ-ズより高かった。
エアロ用のファッションは肉体のラインがはっきりと出てしまう。ぴったりしたスパッツをはくと、腹が目立った。

次に彼女は肉体改造を命じた。
エアロは体型がきれいだと楽しくなる。しかしエアロだけでは体型は変わらないから筋トレをしないと駄目だそうだ。「はい、何でもやります」と筋トレをはじめた。以来、僕は筋トレを実行し、ある程度、筋肉がつき、体脂肪率も少なくなった。

エアロは楽しかったけど、腰痛や手足の関節痛に何度も悩まされ続けてきた。特に膝を痛めており、膝に溜まった水を抜いたり、ヒアルロン酸を注入しながらもエアロを続けてきた。ところが最近、膝の痛みが激しくなり、ずっと痛みが取れない。五月の連休にエアロを全くできなかったのは今年が初めてだ。
医師からは激しい運動はもうやめたほうがいいと言われてしまった。これ以上、膝に負担をかけてはいけないと。

でもさ軽い運動なんて気持ちよくないよね。痛みがとれたら、もう一度やってみよう。もう少し無理したっていいよね。だって楽しいからね。



ハードからハーフへ

2014-05-18 11:42:01 | 日記
「去年より量少なめに柏餅」牧童

柏餅を買う量が年々減ってきた。子供が小さかった頃、家族と暮らしていた頃は柏餅が大皿に山積みされていた。

僕は酒も好きだが、甘い物も大好物で止められない。今でもかなりの量を食べてはいる。
柏餅はあまり好きではない。葉ばかりがやたら大きく、見るからに粗野な感じがするし、桜餅のように葉を食べれない。でも5月5日は別だ。やはり柏餅が食いたくなる。

みそ(桃色)、こし餡(白)、つぶ餡(緑)のどれを選ぶかなどと野暮なことを言ってはいけない。みんな食べよう。1個だと物足りないから2個食う。美味い美味いと計6個食べるのが僕の子供の日の過ごし方だった。

今年は柏餅をコンビニで買った。三個入りパックで三種類売っていた。一個ずつ三種類入っているパックがあればいいのになと思いながら、三種類買うのは躊躇し、つぶ餡だけ買って三個食べた。味噌餡、こし餡を食べなかったから物足りなさを感じたけど、量的には三個でも多すぎなのだろう。

グレープフルーツや林檎を毎朝一個ずつ食べている。食べながら、これも半分でいいのかもしれないなと思うようになった。一個まるごと食べてしまうのは単なる習慣であり、惰性であり、欲求があるわけでもないし、必要量でもないようだ。

そうだ。これからは「ハードからハーフへ」だ。

愛も憎しみもハードからハーフにしよう。それがきっと僕にとって心地よい適量の愛と憎しみになるような気がする。

生活習慣、変えたくないのに

2014-05-15 05:43:10 | 日記
「腹まわり増えて見上げる若葉かな」牧童

メタボだ、生活習慣病だなどと病気になる要因を自己責任に求めるようになった。病気になるのは生活習慣が悪いからだという。ならば健康に生きるための生活習慣とは、そもそもどんな習慣をいうのだろうか。

例えば牛乳やヨ-グルト、チ-ズが体によいのか悪いのかさえ真実はわからない。乳製品は骨粗鬆症や高血圧、大腸癌の予防に有効だとする反面、前立腺癌や乳癌の発症率が増えるとも言われている。
僕は子供の頃から牛乳をよく飲んできた。チ-ズもヨ-グルトもよく食べてきた。好物なのだ。その結果、僕の身体がどうなったのかは今のところわからない。死ぬまでわからないだろう。

健康法を実践したり、生活習慣を是正しても、生命の本質はあまり変わらないのではないかと僕は思っている。生活習慣が正しくても病気になったり、寿命が短い人もいれば、不摂生していても病気にならずに長生きする人もいる。すでにDNAにインプットされている寿命で決まるのだろう。

健康を意識した時から病が始まっている。自分らしく生きて、死ねばいいのに。

僕は酒量が減った。夜、寝るのが早くなり、朝早くに起きるようになった。生活習慣を改めたわけではなく、体が勝手にそうなってしまっただけなのだ。朝まで酒と女を楽しむ生活習慣を変えたくはなかったのに。

無口な僕

2014-05-09 05:45:28 | 日記
「語り合う人・時減りて暮の春」牧童

誰とも会わず、一言も発しないまま一日が終わった。
やらなければならないこともなく、眠れもしない。やりたいことも何ひとつ想い浮かばず、食う気も飲む気も起こらない。一日がすごく長く感じる。
老後はこんな生活が増えていくのだろうか。
こんな生活をしていたら…

こんな生活になれてしまうのかな。
六十代の一人暮し、みんなどうしているのかな。

連休になると家族が恋しくなる。
自分で飛び出したくせに。

コンビニで買った粒餡の柏餅を一つ缶ビールで流し込む。今年も漉し餡、味噌餡の柏餅は食べずに終わりそうだ。

甘い囁き

2014-05-06 22:30:21 | 日記
「夏みかんあのすっぱさが懐かしい」牧童

僕は果物が好きだ。
高級フル-ツとは無縁で、果物は安いものだというイメージが焼きついている。だから一個百円以上の果物は買う気にはなれなかった。最近、やっと一個二百円以下に格上げした。それでもケ-キや酒から見ればはるかに安い。

冬の定番は温州みかん。冬場の喉の渇きに実に美味である。ところが春になるとまずくなり、食べたくなくなる。籠の中でひからびたり、黴たりしてくる。すると伊予柑や八朔などが登場し、酸味が強い夏みかんへと移行していく。
子供の頃の夏みかんは凄まじいまでにすっぱかった。口に入れると顔が歪んだ。父は夏みかんの皮を母がむきはじめると逃げ出してしまった。砂糖や塩や重曹を付けたり、潰して砂糖と牛乳をかけて食べていた。
ゴツゴツした顔の夏みかんが今の市場から消えてしまった。あのすっぱさでは買う人がいないだろう。

僕は、はるか(春香)という品種が好きだ。日向夏とサマ-オレンジの突然変異種らしい。果肉がプルンプルンしていて、甘くて美味しい。見た目はレモンや夏みかんのように黄色い。見た目にはすっぱそうなので最初は売れなかったそうだ。

人も果物も見た目で判断されてしまうようだ。
アメリカの心理学者のアルバ-ト・マレ-ビアン博士は人が他人から受け取る情報は
〇顔の表情が55%
〇声の質、大きさ、テンポが38%
〇話す言葉の内容はわずか7%に過ぎないという。まさに人は見た目が9割なのだ。
ところがネットでの人間関係は見た目の情報が希薄であり、書く内容で評価される。つまり人相が悪い僕にとってネットはありがたいコミュニケーションツ-ルなのだ。顔や声を気にせずに、甘い言葉を囁くことができる。

早すぎる女

2014-05-05 06:04:10 | 日記
「一年中食ってる気がして初鰹」牧童

「目に青葉山ほととぎす初鰹」
季語を羅列しただけのこの俳句、なぜかいい。初夏の躍動感が伝わって来て、僕も溌剌となり初鰹で一杯やりたくなる。
五月に生まれたせいか、僕は五月が好きだ。子供の頃、誕生日になると苺と出会えるのがうれしかった。
この季節になると初鰹も姿を現す。初物を食べると長生きするぞと教えられ、初鰹、初鰹と喜ぶ両親を見ながら一切れ食べる。子供の口にはその美味さはわからなかったが、それでもうれしかった。成人し、緑の風の中で厚めに切った初鰹を口に投げ込み、冷や酒を飲み干すと大人になった自分と出会えたような気がして、それだけで笑みがこぼれた。
いつの間にか初鰹より下り鰹のほうが美味いと言われ出し、秋に食い、今では一年中、鰹を食べているような気がする。
外では桜が散り、ツツジが咲き、夏は暑く、冬は寒い。日本にはまだ四季が残っているのに食べ物の旬がどんどん消えていく。
苺の最盛期がクリスマスの頃になり、もうすでにスーパーではスイカが売られている。

まだ早い!と僕は思う。

久しぶりに会えた女とラブホに向かった。彼女と会える日を心待ちにしていた僕ははやる気持ちを抑え、冷静を装い、ロックウィスキーを口の中で楽しむ。僕は待つことが好きだ。待つことが楽しい。今まで待たされた想いを味わいながら、ウィスキーをつぎたす。
女は一人先にシャワーを浴び、全裸でベッドに潜りこんだ。
まだまだ早すぎる、楽しみはもう少し後に残しておきたい。
女が手招きで僕を呼んでいる。

まるで旬にはまだ早すぎるのに登場してくる食べ物のような気がした。

それで?
もちろん彼女にすぐ飛びついたよ。

白で黒星

2014-05-03 02:36:42 | 日記
「目に青葉シミを恐れて籠る妻」牧童

夫「いい天気だ!ばあさん、散歩にでも行きませんか?」
妻「初夏は紫外線が強くて、シミになるから嫌だよ」
夫「じゃ一人で行ってくるよ(何がシミだ!紫外線だ!シミ、シワくちゃババァのくせしゃがって)」
妻「いってらっしゃい。お気をつけて。(とっとと出て行け!くそジジィ。わたしゃ彼氏のために、きれいな素肌でいたいんだよ)」

昔、夏のキャンペーンで日傘プレゼントを企画したことがある。思ったより安かったので大量に仕入れた。夏らしい、白を基調にした素敵な日傘だった。ところがその年、紫外線対策は黒い日傘じゃないと駄目だという情報が流れた。大量に仕入れ、キャンペーン用として全国に配下した日傘がクレームとともに返品されてきた。

だが…
僕は今でも日傘は白いほうが夏らしくて好きだ。