転がり坂

登りつめたわけでもないのに、そろそろ下山したくなってきた。

純潔の髪

2013-01-28 07:47:39 | 短歌
066:息
すれ違う鉄砲百合の匂いして息と去りゆく純潔の髪

067:鎖
警戒の鎖で心繋がれて自由死す野辺 秋の麒麟草

068:巨
鎮魂歌巨木となりし銀杏背にひとり一人の恋の思い出

069:カレー
失恋とカレーの時は水恋しグリーンネックレスは水いらぬけど

070:芸
高貴なる風情に染まる沢桔梗 別れの芸はこの花みたく

しぶとさ保ち

2013-01-24 12:30:01 | 短歌
061:企
老いの恋企てごとは穏やかに弁慶草のしぶとさ保ち

062:軸
生活の軸を狂わす妖艶の匂い揺らして迫る夜顔

063:久しぶり
杜鵑草似たあの方と久しぶり秘めた想いを会う日纏いて

064:志
実葛その実程度の志あかく染まりし恋の成就を

065:酢
松茸を黒酢に漬けて香り消す人目を忍ぶ老人の恋

夢にうなされ

2013-01-21 12:41:36 | 短歌

056:晩
幾晩もあの日別れたあの場所のアガパンサスの夢にうなされ

057:紐
トリトマの冷めた聖火に託す恋熱き想いを紐で束ねる

058:涙
鷺草の消えゆく恋はまぼろしの儚き涙老いゆくままに

059:貝
貝づくし手酌すすみて葉錦の赤と青とに心も別れ

060:プレゼント
恋を乞う老いを諌めるプレゼント蓮華升麻の写真見つめる

熱くとけ

2013-01-19 05:13:51 | 都々逸
076:ツリー
ツリー見上げて降る雪さえも
恋の涙で熱くとけ

077:狂
狂いたいのよ狂ったかしら
恋に苦しむ夜よりは

078:卵
うまくむけずに悪戦苦闘
水をかけましょ ゆで卵

079:雑
雑なその手の動きでわかる
誰かいい人できたのね

080:結婚
結婚なんかは望まぬけれど
産んでみたいの あなたの子

変わらぬ朝に

2013-01-17 07:46:25 | 短歌
051:囲
囲われた高貴な恋のクレマチス覗けば蔓で首絞められて

052:世話
夜の声隠し世話するひと眩しアスパラガスは変わらぬ朝に

053:渋
揺れ惑う髭撫子に恋の雨ふられるたびに渋さを増して

054:武
傷癒えぬままに危険に誘われ月下香に酔う恋の落武者

055:きっと
老いるほど酔仙翁のフランネル 酒よりきっと温しと思う

踏みにじられて

2013-01-14 12:45:50 | 短歌
046:犀
歳月は暴徒と化した犀の群れ忘れな草は踏みにじられて

047:ふるさと
人類のふるさとに咲く花蘇芳裏切りユダを今も偲んで

048:謎
恋の謎夢見る時は長いのに片栗みたく姿短し

049:敷
黄菖蒲に心惑わせ躊躇いの敷居跨ぐか水際の恋

050:活
肥後系の花菖蒲活け便り待つ群れ咲く花を見ずに貴女の

隠す恋

2013-01-10 08:22:00 | 都々逸
071:謡
歌え童謡動揺せずに
幼心で隠す恋

072:汚
汚れちまったシーツの上で
二人座って言葉なく

073:自然
抑えきれずに自然に出ちゃう
熱い涙と声と息

074:刃
切ってみたけど刃こぼれかしら
未練ばかりが残る傷

075:朱
朱に交われば赤くもなるが
主と交わりゃ熱くなる

思い出探し

2013-01-09 05:40:26 | 短歌
041:喫
アザレアの喫茶にひとりまたひとり愛された日の思い出探し

042:稲
稲刈られ価値なき花かストックのまだ咲かぬまま冬日さす愛

043:輝
無為の日に輝く調和ホトケノザ人知れず座す生命の揺らぎ

044:ドライ
ドライではスノーフレイクの純潔を保てぬゆえに涙で散らす

045:罰
カルミアを枯らした罰に希望まで大きなスプーンですべて取られて

小部屋の別れ

2013-01-04 04:38:52 | 短歌
036:右
傷ついた右往左往の蹠を蚊帳吊草を踏みて労わる

037:牙
喜から怒へローストビーフかじる牙カラジウムある小部屋の別れ

038:的
落日の秋海棠にうなだれて一方的な恋の終焉

039:蹴
立ち止まりスプレーマムを蹴らぬよに愛する勇気そして忍耐

040:勉強
勉強の意欲萎えてもクリスマスカクタス老いた心は死なず

喜悦を捨てる

2013-01-03 11:13:18 | 短歌
031:大人
混ぜるほど荒唐無稽に粘ついて大人の恋はオクラのように

032:詰
詰め寄ればエーデルワイスの尊さは悲惨の泥に喜悦を捨てる

033:滝
繊細な滝に打たれて鷺草の汚れを知らぬ夢に騙され

034:聞
孔雀草揺らぎ聞こえるざわめきは現状打破の渇望の声

035:むしろ
浄福の桔梗の空に包まれた愛よりむしろ土になりたい