転がり坂

登りつめたわけでもないのに、そろそろ下山したくなってきた。

つゆあけ 梅雨明け 折込都々逸

2014-06-29 12:24:32 | 都々逸
(ーー;)ついて行くわよ
愉快に暮そ
ありのまま生き
ケセラセラ

(ーー;)疲れちゃったわ
湯浴みの後は
雨は止んでも
煙る街

(ーー;)ついでつがれて
湯呑みで飲んで
会えば辛くて
喧嘩して

(ーー;)ついに来たのね
夢からさめて
あしたなどない
今朝だから

(ーー;)月日過ぎれど
許しはしない
汗と涙の
消せぬ跡

保存されたラブメール

2014-06-27 00:47:56 | 日記

「梅雨に濡れ送る宛なきこのメール」牧童

伊豆高原に向かっていた。僕の前に若いカップルが座った。車中、ずっと言葉を交わさず、携帯を凝視していた。楽しそうな雰囲気が伝わって来ず、僕には異様なカップルとしか思えなかった。この間、僕が何をしていたかというと、勿論、いつものように携帯を握りしめていた。僕だって携帯中毒なのだからしかたない。

女と話すのは苦手だが、メールだと恥じらいもなく、口説き文句が浮かんでくる。不思議なことに、携帯を手にすると、妙に恋愛感情が高まってくる。車中や人混みの中でも携帯さえ手にすれば、瞬く間に僕の周囲は壁で覆われ、孤独で自由な、まるでトイレに閉じこもっているような感覚になれるのだ。

僕はトイレが好きで、便座に長時間座り、携帯を持ち込みメールを書いている。携帯片手に便座に座ってラブメールを書いている時がいちばん自由で至福な時となる。

トイレに籠らなくても、集団の中でも携帯があれば周囲の目が気にならなくなる。携帯さえ手にしていれば誰からも愛されていない寂しい奴だとは思われないだろう。二人して携帯を見つめていれば隣の女の機嫌をとるための会話も必要ない。

携帯であらゆる世界とつながることができる反面、携帯は核シェルターのように外部との交流を遮断してくれる。これって快感だ。

また小雨が降り出した。雨に濡れながら、今朝、トイレで書き上げたラブメールを読み返す。なかなかの出来栄えだった。はて、さて……このメール、誰に送信しようか?

送る相手が見つからないまま、このメールは携帯の奥底に保存された。

つゆいり 梅雨入り折込都々逸

2014-06-22 22:58:11 | 都々逸
(ーー;)妻と言う名の
夢など捨てて
いっそこのまま
離縁して

(ーー;)つらいだけよね
許しも乞わぬ
いいじゃないのよ
理由など

(ーー;)ついていきましょ
誘惑されりゃ
今はいらない
理性など

(ーー;)疲れちゃったの
ゆらゆら酔って
いつも涙の
流行歌

(ーー;)積もり積もった
雪夜の恨み
今は消えたわ
立夏だも







恋の宿

2014-06-17 03:54:23 | 都々逸
(ーー;)お酒ちょうだい酔わせておくれ
よっていきたい恋の宿

(ーー;)けして好みのタイプじゃないが
酔って抱かれた時は好き

(ーー;)なんでいくのよ、いけない私
待ってくれたらいけたのに

(ーー;)遊びですよね夕焼け小焼け
遊び終われば皆帰る

(ーー;)一人さみしく梅雨冷えかしら
濡れて待ちましょあつい夏








鬱的な日々

2014-06-13 04:59:26 | 日記
「あれやこれなおせぬままに初夏の風」牧童

実は今の僕は鬱期にいる。特に外因があるわけではなく、周期的な鬱だ。この期間は書く意欲、書く喜びが激減してしまう。言葉が浮かんでこない。浮かんでも陰気な言葉が先に多く出てくる。例えば「あ」で思い付く言葉、いつもは明るい、暖かい、愛する貴女とあの日あの時なのだが、鬱期になると、あきらめ、哀愁、愛憎、浅はか、あほ、悪魔などしか思い浮かばなくなってしまう。

もうすぐ夏だというのに、部屋の片隅に薄汚れたコートがまだかけられたままになっている。寒かった季節にずっと着続けたコートだ。見るからに薄汚れている。部屋に戻るたびに気になる。気にしながら、ながめるだけで日が過ぎていく。

冬になればまた着るのだろうか?
そろそろ新しいコートを買おうか。
それまで僕は生きているのかな。

今度の日曜にはやはりクリーニングに出そう。

小さな死

2014-06-12 00:17:36 | 日記

「また家に帰れぬ夜更け梅雨寒し」牧童

貧乏暮らしの僕は昼食の金を惜しみ、小銭で酒を飲む。最初は軽くと思いながら、もう一杯もう一杯と安酒を飲み続け、いつの間にか限度を越してしまう。
電車に乗った途端、意識を失い、高鼾で乗り過ごす。とんでもない駅で降ろされ、しかも帰りの終電車が出てしまった後に取り残されてしまう。
朝まで飲み明したり、オールナイト映画やサウナ、野宿や徹夜徘徊など、今までに何度となく帰れぬ夜を過ごしてきたのだが、老いゆく身体にはこの苦行も辛く、飲み代よりはるかに高いタクシー代を払うことになる。実に馬鹿馬鹿しい。けどまた繰返す。
最近、特にひどくなり、少量の酒でもすぐに意識を失い、深い眠りについてしまう。

性行為の後もそうだ。
性行為の後、男も女も短いけれど深い完璧な眠りに落ちることがある。
これをフランスでは「小さな死」というそうだ。この眠りから先に目覚めるのは、どうやら男のほうが多いらしい。ところが僕の場合は大概女のほうが先に目が覚めている。
「小さな死」に加えて、酒を飲んでいるから眠りが深くなり、「中くらいの死」の世界を漂いながら鼾をかくから、隣の女はたまらず目が覚めてしまうようだ。

いずれ「大きな死」がやってくれば鼾もかかなくなるだろう。

贅沢な笑顔

2014-06-08 18:08:51 | 日記
「初夏なのに笑えぬままに日が暮れて」牧童

一日に
たった一回でいい
笑顔になれる
ひと時がほしい

たったこれだけの願いなのに
どうしてなんだろう

手が届かない贅沢


「梅雨入りや茶漬け食う音部屋一人」牧童

無性に書きたくなったり、書く気力が湧いてこなかったりを繰り返している。
若い頃にも気分の浮き沈みはあった。若い頃は躁と鬱との段差が激しく、しかも急激に変化していた。書かずにはいられない衝動に襲われたかと思えば、数分後には無気力になり、うずくまっていると、また走りだしたくなる。これを一日24時間の間に何度も繰返していた。

老いはじめた今でも躁鬱はやってくるのだが、高揚期と停滞期との格差が少なくなり、周囲には気付かれず、日々変わりばえしない存在となっている。こまめに急変することもなく、無気力状態がだらだらと続き、なんとなく元気が出そうかなと思うと、まただらだらと鬱陶しい月と日が流れていく。

鬱陶しくても腹はへる。そろそろ茶漬けでも食べよう。
茶漬けといっても熱いお茶ではなく、ご飯に氷と水をぶっかけて、キムチでかっ込む。これがたまらなく美味いのだ。

酒飲みの僕はあまり米を食べない。つまみと酒で済すことが多い。それでも時々は米が食べたくなる。毎日炊くのは面倒だからまとめて炊く。そして冷や飯に水をかけてかっ込むのだ。冷や飯はインスタントラーメンのように固まっている塊にそのまま水をかけて食べていた。
ある雑誌に冷や飯で茶漬けをする場合、ご飯を水で洗い、塊をほぐし、ぬめりをとりましょうと書いてあった。さっそく試してみると確かに美味くなる。ちょっとした工夫と手間をかけるだけで差がでる。

人生も然りだ。

手間をかけるといっても水洗いするだけのこと。たまには涙で心を洗えば人生も旨味が増すかもしれない。




雨がささやく

2014-06-03 07:40:45 | 短歌
悶々と欲していたはずあの夏を
思い出せずに明けない夜明け

居並べど仏の道は程遠く
地獄へ来いと雨がささやく

涙枯れ汗に汚れた春衣
裸になろう着替えするより

いつの間にまた紫陽花が色を増す
も一度君にメールしようか

君のこと思い出したら心地よい
風に誘われ君を忘れた