バスシェルターの明かりの下で

夢を忘れたちっぽけなバス会社のちっぽけな元バス運転士の最初で最後のチャレンジ・・。

働かせてやっている?働いてもらっている!

2006年08月27日 | バス再生
今日は(もう昨日やけど)F線最終便やった。
同じバスセンターを10分前に発車したK交通がまだサービスエリアに停まってた。

たまたま、右横のワクが空いてたしスーッと横に停車してスイングドアを開けると
運転席にはよく会話をするAさんの顔が・・

「お疲れ様です、ひさしぶりですやん!ちゃんと仕事してはりますぅ?(笑)」
「してるがな!自分こそ、やめたかと思てたでぇ(笑)」

お約束のおちゃらけた会話・・
せやけど、ボクはその後に続いてでた言葉に返す言葉がなかってん・・・

「明日はまたF線、明後日からO線やぁ!3日運行やし、帰ってきたらもうバスに乗ることはないわぁ・・・」


  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

K交通はちょうど三年前に国交省の産業活力再生特別措置法に基づく事業再構築計画の認定を受けた。

事業の目標としては・・
旅客自動車運送事業及び船舶運航事業について地域・業態別に6社の新設分割会社を設立、分社化をし、さらに経営資源を有効に活用できる体制を築き、グループの経営強化を図るというものだった。

また、生産性の向上及び財務内容の健全性の向上を示す数値目標は・・・
今から4年前の実績に比し、事業再構築計画最終年度である平成18年度には、一人当たり付加価値額を11.7%向上させる。また、平成18年度の有利子負債はキャッシュフローの約9.7倍、経常収支率は114%とするという過酷なものだった。

その最終期限がこの9月いっぱいなのだ・・。

今年に入って、K交通の労組には激震が走った!
大幅な路線カット。路線の譲渡。主要バス子会社の廃業。それに伴う人員整理・・。
2回のストを構えて闘った・・。

当初、解雇通告であったところ、話し合いのテーブルに着かせ、該当する全従業員の受け皿を準備することで2回目のストは回避された。
雇用は守られた格好だが、従業員の今後が大きく変わることは必至だ・・。


「3年前に地域別、業務内容別に分社化をした時点でこうなることはきっと想定内やったはずや!あの分社化は準備に過ぎひんかったんや!」


再構築開始の段階での従業員数は1300人弱・・
あまりにも大きい数字である。


「従業員より、親族を大切にするんや、ウチの会社は・・。ほとんどの従業員が受け皿の職種を受け入れがたいと感じてるよ・・。オレは行かないよ。おっと、もう発車しなアカン。行くわ。元気でがんばれよ、Blueくん」

サービスエリアを後にしながら3回点滅しはったハザードが悲しげに見えた・・。


使用者の責任は・・
回避するために打つべき手はすべて打ったか?
現状を考えても他に手はあるだろう!
労組のチェックシステムは機能していたか?

やはりこれが限界なのか・・
労働者に成すすべはないのだろうか・・

「ウチで働いてもらってありがとう・・」
そう思っている経営者はやはり少数派なのかもしれない・・。