昨日はわしらの町はお祭りだった。
また、案内センターが土日に休みと言う事もあって、当然の様にバスセンターの電話は鳴りっぱなし…(つーか、土日に休む案内センターと言うのが問題だが)
通行禁止区域は、お祭りの神輿の行列によって変化していく。
我々の手元には、バス運行・迂回の予定時刻は配布されているがリアルな状況は全く届かない。
たまらず営業所に電話を掛けた。
「状況、情報をこっちにも知らせてくれよ。案内しようにも全く状況が分からない!」
現場に派遣されている主に乗合課の社員によって情報は営業所に届く、がそこで“遮断”が行われる。或いは情報を統一してバスセンターに流すシステムも存在しない。
これは企業のナレッジマネジメントの不在を端的に表すひとつの例だ。
ナレッジの共有が行われていない。
或いはバスのエンドユーザーの声には、様々な鮮度の高い情報が含まれている。インターフェースとしての運転士が漠然と持っている情報が、関連企業…(例えばホテル・旅行部門等)に伝達される事はまずあり得ない。
特にバス部門での商品企画は相変わらず“カン”や“経験知”“思い込み”によって生み出されている。
ターゲットは何処にいるのか?彼らの欲求を知るにはどうすればいいのか?アプローチは?
そこに至るまでに必要なのはナレッジの共有とデータベースだ。
市場占有率の高さを誇り永遠にガリバーとして存在すると言われたIBM。それはパーソナルコンピューターの出現で瓦解に至った。
スイッチングコストによって守られていた産業…例えば一昔前の携帯電話産業や生命保険業も現在では商品のポータビリティー化により激しい競争にさらされている。
公共交通も競合性の低さ、法的守護、住民インフラとしての存在により「倒産」はあり得ない。
税金による救いがある。名称は変わっても大手が買収する…と言った伝説がまことしやかに伝えられている。
顧客リレーションシップは企業内でも温度差があるし、その概念は、少なくともバス部門には存在しない様な気がする。
旅行部門ならダイレクトメール、デリバリーサービス、顧客情報のデータ化(ロイヤルティー情報の把握)が当然の様に行われている。
証券アナリストによれば、Dellの一人当たりの顧客価値は210ドル。しかし、その中に含まれる批判者(企業に対してのクレームや、悪い話の口コミ伝達等のコスト発生者)は平均57ドルのコストを生む。
一方、推奨者(高いロイヤルティーを持つ顧客)は328ドルの価値をもたらしてくれる。
企業は推奨者を増やし、批判者を減らし、中立者を推奨者へと導かなければならない。
参考 顧客ロイヤルティーを知る「究極の質問」
相変わらず市場をマスとして捉え、公共交通、共同運行、税金の存在が思考の正常化を阻害する。
利用者のニーズとウオンツは把握されず、データが訴える数値の見える化は行われない。
いや…データは今日も破棄され続ける。