昨晩6時過ぎ、地震かな?と思い事務所のテレビをつけると…三陸沖を震源とする地震と津波注意報が「三八上北」……と伝える映像が。
「さんぱちかみきた」東京ではあまり使わないフレーズですが、八戸に撮影で滞在しているときは、一日何度も天気予報やニュースで耳にしていました。「三八」は八戸、三戸、「上北」は十和田、三沢、上北。青森県南部地域のこと。八戸港の津波は20センチ。今回は被害がなくよかったです。(staff)
八戸市 河原木2号ふ頭 消波ブロック仮置場
小林伸一郎写真集「HACHINOHE CITY」(講談社)より
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写真集「HACHINOHE CITY」講談社 <種差漁港 密漁監視員>
青森県八戸は何度も旅した土地だったが、市制施行80周年の写真集制作で2007年から2009年の間は集中的に通った。撮影地にはさまざまな思い出があるけど、上の写真は取り分け好きな場所。すぐ近くには天然芝が広がる国指定名勝の種差海岸。もちろん写真集へ何枚か収録しているが、いつも気になっていたのが、ここの漁港。海の近くに神様が祀られていることはめずらしくないけど、それほどまで大きくない岩山にちょっと中途半端な大きさの鳥居、そのスケール感が舞台の書き割りのようで不思議な景観だった。「でも、ここには人物がいないとなあ…」と思いあきらめていたが、何度目かに訪れたとき真っ赤な拡声器を手にして、ウニやアワビの密猟者を警戒している女性たちが歩いてきた。「写真なんてはずかしい」と言いながら笑顔で協力してくれた。震災で津波の被害があった種差漁港。皆さん大変な思いをしたのだろう。心よりお見舞い申し上げます。
青森県八戸市は写真集制作で2007年から約3年にわたり春夏秋冬滞在した町。湾岸は市の誘致で工場地帯が連なり、漁業、水産加工業も盛んだ。震災で八戸は津波の被害を受け、写真集ディレクターの木村勝一氏も支援活動で奔走している毎日。
「青森はりんご」と思っていたが、木村氏からはいつも八戸市市川町特産「苺」が事務所へ送られてくる。今回、苺農家のビニールハウスは収穫間近にかなりの被害があったようだ。農業は一ヶ月や二ヶ月でとり戻せないのだろうと思うと切ない・・・雪がまだ残る夜、農家の方に頼んで電球を点灯してもらい撮影した思い出深い一枚。
小林伸一郎写真集「HACHINOHE CITY」より(講談社刊行)
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