写真家・小林伸一郎 オフィシャルブログ

写真集、写真展のお知らせ、日々の出来事など綴っていきます。

書き割りのような風景

2011年06月24日 | 八戸

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写真集「HACHINOHE CITY」講談社 <種差漁港 密漁監視員>

青森県八戸は何度も旅した土地だったが、市制施行80周年の写真集制作で2007年から2009年の間は集中的に通った。撮影地にはさまざまな思い出があるけど、上の写真は取り分け好きな場所。すぐ近くには天然芝が広がる国指定名勝の種差海岸。もちろん写真集へ何枚か収録しているが、いつも気になっていたのが、ここの漁港。海の近くに神様が祀られていることはめずらしくないけど、それほどまで大きくない岩山にちょっと中途半端な大きさの鳥居、そのスケール感が舞台の書き割りのようで不思議な景観だった。「でも、ここには人物がいないとなあ…」と思いあきらめていたが、何度目かに訪れたとき真っ赤な拡声器を手にして、ウニやアワビの密猟者を警戒している女性たちが歩いてきた。「写真なんてはずかしい」と言いながら笑顔で協力してくれた。震災で津波の被害があった種差漁港。皆さん大変な思いをしたのだろう。心よりお見舞い申し上げます。


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