竹林の愚人  WAREHOUSE

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みんな土方で生きてきた

2005-11-23 17:29:57 | BOOKS
日野勝美 「みんな土方で生きてきました」 新風舎 2005.03.15. 

農村部に行けば、最大の産業は建設業、次が役場。ほかにこれと言っていい仕事がないということを聞く。山陰地方の建設現場で働く人たちは中高年の人が多く、平均年齢は六十歳前後。農民が土方に進出したことで、建設現場で働く人たちの平均年齢を引き上げた。 
田んぼがつぶされて道路がつくられ、道路沿いに住宅地やスーパーやホームセンターの用地が造成される。農家の人たちは後継者不足や減反政策の中で、農地を持っていても先行きが暗いから、田んぼを手離そうとする。今、地方の農村部では、先祖代々持ちつづけてきた田んぼが凄いスピードで埋め立てられ、手離されている。 
山間地では山を切ったり、崩したりして道路がつくられ、ゴルフ場や運動公園や保養センターがつくられる。山の担い手がいないから、放置しておくより、整地して、道路や施設をつくつたほうがいいというのが時代の趨勢だ。 
平成13年の夏、中四国農政局島根統計情報事務所は、平成12年の農業経営の動向調査の結果を発表した。それによると、島根県の一戸当たりの農業所得は36万9千円。粗収益170万5千円、農業経営費(コスト)133万6千円だった。一年間、百姓に精を出しても4、50万円の農業所得しかないのだ。 

一体、将来、農林業だけで暮らしていけるような時代が再来するのだろうか? 
公共事業が削減され、土木工事が減れば、必然的に建設業就業者は減っていく。建設現場を追われた人たちは、どこに新しい職場を求めていけばいいのか?