3月3日は「第10回 文化庁メディア芸術祭」を見に、恵比寿の東京都写真美術館まで
行ってきました。
朝9時半ごろに現地着、そのまま『時をかける少女』『アニメ部門受賞者シンポジウム』の
整理券を配る行列に並び、待つこと30分。首尾よくどちらの券も確保できました。
その後はすぐに『攻殻機動隊SSS』の上映開場へ。
今回のホールは秋葉原のイベントで見たときよりも格段に音響がよく、キャラのセリフも
菅野さんの音楽も存分に堪能することができました。
しかしこの作品、見れば見るほど情報量の多さに驚かされますが、その情報量がかえって
アダになり、物語に膨らみが欠けてしまったという残念さも感じます。
26話のTVシリーズを作れるだけのネタを100分超の中に収めてしまった分、この尺では
プロットを追うのがギリギリというところ。
物語に緩急をつけるだけのゆとりが無いためか、ストーリー運びがせわしないですし、
個々のテーマが重く大きい分、それぞれをじっくりと描いて欲しかった気もします。
やはり神山監督には『攻殻SAC_3rd』を撮ってもらわないと、私のこのモヤモヤ感は
治まりそうにもありません(^^;。
『時かけ』の上映は午後4時20分なので、その間に会場内の展示物を見学することに。
アート部門は大賞の『Imaginary・Numbers2006』が美しく、数学的なプログラミングから
自然に見られる渦や模様に酷似した像が生まれるという点にも、興味をそそられました。
体験型の作品は確かにおもしろいけど、そこから先の感覚につながらないのがちと不満。
静止画では林俊作氏の『Sagrada Familia計画』が気を吐いていましたが、これはむしろ
一般的な絵画のジャンルで評価されるべき作品ではないか、という疑問も感じました。
うーむ、これらをひっくるめて一概に「アート」で括るやり方って、本当に妥当なんだろうか。
メディア芸術賞が10年目を迎えた今、主催者側には改めて検討して欲しい問題です。
エンターテインメント部門では、大賞の『大神』をはじめとするゲーム作品のほかに
HY2Mのガンダムや『シュヴァリエ』のデオンのビスクドールも出展されていました。
観客(消費者)を楽しませるという点では、さすがにアート部門よりも徹底しています。
中でも目を引いたのは、shamonさんも賞賛していたCORNELIUSのPV『Fit Song』。
様々な日用品やスポーツ用具などが小山田圭吾の曲に合わせて舞い踊る映像は、
ポップな楽しさとハイレベルなテクニックを同時に感じさせる秀作です。
エンタメ部門での受賞ながらアート性も高いあたり、さすがCORNELIUS印というところ。
マンガ部門では『太陽の黙示録』『よつばと!』『百鬼夜行抄』など、各受賞作品の生原稿が
何点か展示されていました。
やはり生原稿はいいですねぇ。ペンのタッチや色の使い方を見られるのは実に楽しいです。
時間があったので、受賞作品の試し読みコーナーでは『大奥』1・2巻を一気読み。
いや、これは確かにすごい作品だわ。書くと長くなるので、感想は別の機会にでも。
会場には八代将軍吉宗が家臣を一喝するどアップの生原稿が「バーン!」と飾られており、
ファンなら思わずひれ伏してしまいそう。まったく、すごい原稿を持ってきたもんです。
アニメ部門の展示では『時かけ』の予告編が大きなディスプレイで流されていましたが、
貞本氏の設定画や細田監督の絵コンテは残念ながらコピーでした。
他に目を引いたのは、17日から劇場公開されるA・ペトロフ監督の『春のめざめ』。
印象派絵画をそのままアニメ化したような映像は、CMでご覧になった方もいると思います。
これはぜひ見に行きたいですねぇ。ちなみに公式サイトはこちら。
会場には監督の原画もいくつか展示されていましたが、繊細なタッチがすばらしかったです。
今ジブリ美術館で原画展が行われているそうですが、どうせなら一般客が見られるところで
やってくれないもんですかね。あそこはただ入るだけでも一苦労ですから。
そうこうしているうち、いよいよ『時をかける少女』の上映時間になりました。
久しぶりに見る映像は少々フィルムが痛んでおり、それが懐かしさを感じさせるところも。
明らかに見る側の思い入れでしかないのですが、夏の劇場公開時に見た自分にとっては、
あの時間にもう一度引き戻されていくような錯覚を感じました。
映像という記憶と、それを見ることにより繰り返される体験。これこそ『時かけ』という作品、
そして「映画」というメディアが具現化しようとするものなのだと、私は考えます。
そしていよいよ、「アニメ部門受賞者シンポジウム」へ・・・ということで、次回へ続きます。
行ってきました。
朝9時半ごろに現地着、そのまま『時をかける少女』『アニメ部門受賞者シンポジウム』の
整理券を配る行列に並び、待つこと30分。首尾よくどちらの券も確保できました。
その後はすぐに『攻殻機動隊SSS』の上映開場へ。
今回のホールは秋葉原のイベントで見たときよりも格段に音響がよく、キャラのセリフも
菅野さんの音楽も存分に堪能することができました。
しかしこの作品、見れば見るほど情報量の多さに驚かされますが、その情報量がかえって
アダになり、物語に膨らみが欠けてしまったという残念さも感じます。
26話のTVシリーズを作れるだけのネタを100分超の中に収めてしまった分、この尺では
プロットを追うのがギリギリというところ。
物語に緩急をつけるだけのゆとりが無いためか、ストーリー運びがせわしないですし、
個々のテーマが重く大きい分、それぞれをじっくりと描いて欲しかった気もします。
やはり神山監督には『攻殻SAC_3rd』を撮ってもらわないと、私のこのモヤモヤ感は
治まりそうにもありません(^^;。
『時かけ』の上映は午後4時20分なので、その間に会場内の展示物を見学することに。
アート部門は大賞の『Imaginary・Numbers2006』が美しく、数学的なプログラミングから
自然に見られる渦や模様に酷似した像が生まれるという点にも、興味をそそられました。
体験型の作品は確かにおもしろいけど、そこから先の感覚につながらないのがちと不満。
静止画では林俊作氏の『Sagrada Familia計画』が気を吐いていましたが、これはむしろ
一般的な絵画のジャンルで評価されるべき作品ではないか、という疑問も感じました。
うーむ、これらをひっくるめて一概に「アート」で括るやり方って、本当に妥当なんだろうか。
メディア芸術賞が10年目を迎えた今、主催者側には改めて検討して欲しい問題です。
エンターテインメント部門では、大賞の『大神』をはじめとするゲーム作品のほかに
HY2Mのガンダムや『シュヴァリエ』のデオンのビスクドールも出展されていました。
観客(消費者)を楽しませるという点では、さすがにアート部門よりも徹底しています。
中でも目を引いたのは、shamonさんも賞賛していたCORNELIUSのPV『Fit Song』。
様々な日用品やスポーツ用具などが小山田圭吾の曲に合わせて舞い踊る映像は、
ポップな楽しさとハイレベルなテクニックを同時に感じさせる秀作です。
エンタメ部門での受賞ながらアート性も高いあたり、さすがCORNELIUS印というところ。
マンガ部門では『太陽の黙示録』『よつばと!』『百鬼夜行抄』など、各受賞作品の生原稿が
何点か展示されていました。
やはり生原稿はいいですねぇ。ペンのタッチや色の使い方を見られるのは実に楽しいです。
時間があったので、受賞作品の試し読みコーナーでは『大奥』1・2巻を一気読み。
いや、これは確かにすごい作品だわ。書くと長くなるので、感想は別の機会にでも。
会場には八代将軍吉宗が家臣を一喝するどアップの生原稿が「バーン!」と飾られており、
ファンなら思わずひれ伏してしまいそう。まったく、すごい原稿を持ってきたもんです。
アニメ部門の展示では『時かけ』の予告編が大きなディスプレイで流されていましたが、
貞本氏の設定画や細田監督の絵コンテは残念ながらコピーでした。
他に目を引いたのは、17日から劇場公開されるA・ペトロフ監督の『春のめざめ』。
印象派絵画をそのままアニメ化したような映像は、CMでご覧になった方もいると思います。
これはぜひ見に行きたいですねぇ。ちなみに公式サイトはこちら。
会場には監督の原画もいくつか展示されていましたが、繊細なタッチがすばらしかったです。
今ジブリ美術館で原画展が行われているそうですが、どうせなら一般客が見られるところで
やってくれないもんですかね。あそこはただ入るだけでも一苦労ですから。
そうこうしているうち、いよいよ『時をかける少女』の上映時間になりました。
久しぶりに見る映像は少々フィルムが痛んでおり、それが懐かしさを感じさせるところも。
明らかに見る側の思い入れでしかないのですが、夏の劇場公開時に見た自分にとっては、
あの時間にもう一度引き戻されていくような錯覚を感じました。
映像という記憶と、それを見ることにより繰り返される体験。これこそ『時かけ』という作品、
そして「映画」というメディアが具現化しようとするものなのだと、私は考えます。
そしていよいよ、「アニメ部門受賞者シンポジウム」へ・・・ということで、次回へ続きます。
あ、オルセー展は日曜日に行って来ました。
>プロットを追うのがギリギリというところ
そうそう、だから後半でテンションがちょっとさがっちゃう。神山監督は「映画は撮ったことがない」方だし、じっくり説明することができるシリーズが性格的に向いている人なのかもしれません。師匠は短時間で人を煙に撒くのが得意だけど(笑)。
>『攻殻SAC_3rd』を撮ってもらわないと
そりゃもう(笑)。
「SSS」は私の中ではワインで言う”セカンドラベル”という位置づけなので、ちゃんと”ファーストラベル”をやってほしいです。石川社長の頭の中では既に計画はあると思いますが。
ただ「精霊~」の評判がいいとその続編も十分考えられるので、折り合いは難しいでしょうね。
>『Fit Song』
誰もが考えそうでやりづらいネタをきれいに造ったのに拍手ですね。もうずっと見ていたい楽しさでした。
>八代将軍吉宗が家臣を一喝
脳内で敦子吉宗の声が再生されました(笑)。
>あの時間にもう一度引き戻されていくような錯覚を感じました
あ、なんかわかります。夏の空気の匂いとかが瞬時に再生されるような気分でしょうね。
では続編待ってます~。
私もオルセー展行かなくちゃいけないんですが、はたして
会期中に時間がとれるのだろうか・・・。
まずはshamonさんのレビューをお待ちしてます。
朝っぱらから攻殻、その後に展示鑑賞→大奥2冊読破、
夕方から『時かけ』を見て、8時ごろまでシンポジウムを
聞いてましたので、なかなか疲れました。
一方では妙な充実感もありますが(笑)。
今シンポジウムの中身をまとめようとしておりますが、
話が長い上にいろいろ込み入っていて、どう書いたらいいか
アタマをひねっている最中です。
まあ他所ではダダ漏れしちゃってるようですけど。
風邪引いておうちにいます。
>まずはshamonさんのレビューをお待ちしてます。
がんばりまぁす^^;。
えーとですね、もしこれに行かれる場合は
入場券は前もって購入し
土日祝なら開場40分前に現地到着必須
です。
30分前だとダメ。ものすごい勢いで列が伸びます。
でもって最初の50人以内に入らないと、
超混雑の中で見るハメになります。
これから春休みの時期に入りますし、要注意です。
>一方では妙な充実感もありますが(笑)。
場所が場所なんで、お昼も困りませんしね(笑)。
>アタマをひねっている最中です。
楽しみにしてます~。
シンポジウムの記事、やっと書けました。
聞いた内容を自分の中で整理したい気持ちが強かったので、
結局レポートじゃなくて感想文になってしまいましたが。
>土日祝なら開場40分前に現地到着必須
うあー、なんだか大変ですね。
そもそも見に行ける時間があるかも危ないのですが、
なんとか時間を作らねば。
それと、Blog開始から2周年、おめでとうございます。
今後もよろしくお願いします。
>シンポジウムの記事、やっと書けました。
拝見しました。
いつもながら見事な文章で素晴らしいです。
御大、やっぱり厳しいのね^^;。
でも厳しいのは愛情あってと思いたい(笑)。
どうでもよければ何も言わない人でしょうから。
>うあー、なんだか大変ですね。
前から10番以内に入ったんですが、
階段を下りながらちらっと後ろを見ると、
どどどどどどどどどどどどぉ~~~
と途切れることのない人の列(恐怖)。
同行した友人と
背筋がぞぞぞぞぞぞぉぉ~~
でした・・・・・・・・。
どんなに遅くても開館直後ですよ。
それ以後はオススメしません。
>Blog開始から2周年、おめでとうございます。
ありがとうございます。毎日よたよたしながらの交信ですがこれからも頑張りますのでよろしくお願いします。
あ、オルセー展レビューは今週中のアップを目指してます。頑張ります~。
ようやくオルセー展に行ってきました。
もう少し早く出られれば良かったんでしょうけど、
あれだけの作品を見られて十分満足しました。
>毎日よたよたしながらの更新ですが
ちゃんと更新する気力があるだけスバラシイです。
文章のうまさも含めて、私も見習わなければ。
オルセー展のレビューも参考にさせていただきました。
実は私も腰痛持ちです。お互い大事にしましょうね。