2013年に邦訳が刊行された『夢幻諸島から』が高く評価されたクリストファー・プリーストの、
同じシリーズに属する短編4編を含む日本オリジナルの傑作選が、2008に刊行済みの本書です。
収録作8篇のうち、前半は非シリーズ物の短編が4つ。そのうちひとつは雑誌掲載されたデビュー作、
他3編は初期のプリーストを代表する作品が揃っています。
「限りなき夏」
テムズ川の流れを背に、かつてと変わらぬ姿で立ち続ける美しき女性。
それを眺め続ける男の周囲では、戦争と不気味な存在の影が跳梁していた。
河出文庫の『20世紀SF 70年代編』にも収録され、本書の表題にもなった作品。
ある理由で恋人と引き裂かれてしまったひとりの男の目を通して、ヴィクトリア時代の余韻を残す
1904年の風景と、ロンドン空襲の真っ只中である1940年の風景を交互に描いていきます。
謎の存在や時間凍結機といった魅力あるギミックはあくまで道具立てに留まっていて、そのへんが
SFならではの理屈を読みたがるファンにとって食い足りないところ。
でもプリーストが一番書きたかったのは「変わりゆく時代と、変わらぬヒロイン」の対比であり、
それを「時間からはみ出した者」として見つめ続ける主人公の心情なのでしょう。
そんなミスマッチに、プリーストが日本で「SF作家」として評価されにくかった理由がありそうです。
むしろ「ロマンス要素を軸にした風変わりな歴史小説」として読んだほうが、生き生きと描かれた
古き英国の姿を楽しめるような気もします。
プリーストの作品ってSFというより、H・G・ウェルズ以来の「科学ロマンス」に近いのかも。
実は『20世紀SF』で読んだとき、ラストに違和感を感じて好きになれなかったのですが、
この傑作集で他の作品と比べながら読み直した結果、ようやく自分なりに納得ができました。
読者の眼から見れば、問題の要因が取り除かれて事態が正常に復することが「幸せな結末」なのですが、
主観視点に徹するなら、あれが最も美しい「終わりなき幸福」になるのでしょう。
しかも永遠に色褪せない、最高の一瞬として。
「青ざめた逍遥」
時間の流れに影響を与えるフラックスが流れる公園に、時を渡る橋が架かっている。
これを渡った少年は、後に生涯を通じて追い求める少女の姿を初めて見た…。
プリーストの邦訳短編では「限りなき夏」と並ぶ知名度を誇る作品です。
個人的には、こちらを作品集のタイトルに使って欲しかったですね。
初めて読んだ時は、ロマンチックだけどいまひとつモヤっとした感じの残る作品だと思ったのですが、
何度か読み直すうちに印象がガラッと変わりました。
最後の1節はほのぼのとした終わり方を狙ったものだと考えていたのですが、あれは別の読み方をすると、
それまでの話を全部ひっくり返す可能性をほのめかしているのかもしれない…という事に気づいたのです。
もしかすると、自分はこれまでプリーストにまんまと騙されていたのかも!
さすがは英国SF作家協会賞受賞作、一筋縄ではいきません。
騙りの魔術師・プリーストの本領が発揮された逸品。個人的には収録作中のベストです。
「リアルタイム・ワールド」
異星に設置された施設で研究を続ける人々に、地球からのニュースを届ける役目の男が隠し持つ秘密とは。
「静かな緊張が続く閉鎖環境」「時間線を異動し続ける研究所」「極秘実験と未来予測」「謎のファイル」と、
壮大なハードSFに展開しそうな要素を詰め込みながら、物語はまったく想像外の方向へと転がっていきます。
初めてラストを読んだときには「えー、そうなっちゃうの?!」と開いた口がふさがりませんでした。
それでも「リアルタイム・ワールド」というタイトルにこめられた意味や、作中で語られた様々な事柄のうち
どれが真実なのか、そして主観が現実にどう影響を及ぼしたのかを考えていくと、ひとつの解釈に留まらない
多様な「可能性」を持つ世界の姿が見えてきます。
いわば「プリースト流SF」の特徴が最もコンパクトにまとまっているのが、この作品の持ち味ですね。
そしてこの短編、いろんな部分で長編の代表作『逆転世界』を思わせるところがあって、
ラストで明かされるちゃぶ台返しもよく似ています。
むしろプリーストの場合、このオチのために延々とそれまでの話を書いてきたっぽい。
ついでに『逆転世界』について触れると、あの話でプリーストが本当にやりたかったのは
「それでも世界は逆転してるんだ!」という二段オチなのだと思います。
でも普通のSFファンにとっては、最初のオチのほうが大仕掛けに見えるので、二つ目のほうは
あんまり印象に残らないんですよねー。
ガチガチのSFファンが理屈を重視する傾向と、理屈と主観では後者を優先させるプリーストの流儀が、
ここでも微妙にズレているように感じます。
まあプリーストのちゃぶ台返し的な発想に慣れてしまえば、あとはすんなりと騙りのおもしろさに
身を委ねられるわけで、そのためのガイドブックでありトレーニングキットとして最適な1冊が
『夢幻諸島から』なのだと思います。
でもこの本、ヘタをするとプリーストとの相性をはかるリトマス試験紙にもなりかねませんが(笑)。
「逃走」
敵国へのミサイル発射に立ち会っていたタカ派議員に、突然の緊急警報が伝えられる。
車で議事堂へと駆けつける議員の前に、若者の集団が現れた。
原題の「The Run」を「逃走」と訳したのは、「闘争」と読みを重ねたものでしょう。
作品自体はニューウェーブの影響を受けたストレートなSFですが、タイトルに複数の意味をこめる点や、
その後も繰り返し取り上げる戦争が主題という点で、プリーストの個性が既にはっきりと現れています。
そして「戦争という主題」にこだわり続ける姿勢は、夢幻諸島におけるプリーストの分身(の一人)である、
モイリータ・ケインとも共通するものがあります。
「赤道の時」
惑星の赤道上空を通過していく巨大な時間の渦の中を、凍りついたように舞い上がっていく飛行機たち。
眼下には夢幻の島々、そして目的地は戦争が続く南の大陸。
ここからはいよいよ「夢幻諸島」ものが続きます。(本書での表記は「夢幻群島」。)
「赤道の時」の原題は「The Equatorial Moment」ですが、これはバラードの代表作『結晶世界』の
第一部タイトル「春分(昼夜平分時)」の原題「Equinox」を思い出させます。
夢幻諸島とそこに起きる奇妙な現象の原因と思われる「時間の渦」を直接取り上げた作品として、
シリーズの基礎を成す作品ですが、それ以上に「凍りついた航空機の渦」の美しさが印象的です。
これぞプリースト流のテクノロジカル・ランドスケープ。
「火葬」
夢幻諸島でも珍しい火葬の風習が残る島にやって来た男が体験する、美と恐怖の物語。
男女の駆け引きと因習めいた土地の儀式をメインに据えた退廃的ホラーであり、作中人物のうち
誰が真実を語っているかがわからないという「信用できない語り手」モノでもあります。
官能的な快感が一転しておぞましさへと変わる感覚を、男女の機微と絡ませて書いたところに
作者のうまさを感じますが、それ以上に強烈なのが殺人昆虫スライムの気持ち悪さ。
恐怖というより、むしろ「厭な物語」の筆頭格というほうがしっくりくる話です。
「奇跡の石塚(ケルン)」
親戚の訃報を受けた主人公は、同行する警官と共にシーヴルへと渡航する。
プリーストが時間や戦争と共によく取り上げる「記憶」についての物語。
「わたし」という定義が大きく揺らぐ作中の仕掛けに評価が集まっていますが、自分はむしろ
「石塚(塔)」の立つ荒涼とした風景や、その中での体験に強くひかれました。
ああいう遺跡が立つ辺境の地を舞台にできるのは、ストーンヘンジなどの巨石文化になじんだ
英国の出身ならではの感覚なんですかね。
それにしても、あの塔は何のために作られたんだろう…と考えてしまうのがSF者の性分なのですが、
当然ながらプリーストはそれを説明してくれません(笑)。
なお、『夢幻諸島から』に登場したトームとアルヴァスンドがシーヴルで垣間見た未来は、
この作品へと続いているのですが、逆に「奇跡の石塚」で語られなかったトームの最期は
「シーヴル」にさりげなく書いてある…という、なんとも複雑な構成になっています。
「ディスチャージ」
徴兵によって過去を失った若者が、芸術作品にまつわるかすかな記憶を頼りに自己を取り戻していく。
発砲、脱走、消耗、解放など、タイトルに両義性を含む複数の意味を持たせた、訳者泣かせの作品。
芸術と戦争の関係を扱った点では「否定」と対を成す物語ともいえるでしょう。
また、「火葬」では死を導く先触れだった官能性は、ここでは再生のためのきっかけとして機能しています。
なお、作中で登場する「触発主義絵画」を描いたラスカル・アシゾーンについては、『夢幻諸島から』の
「ムリセイ」や「リーヴァー」に、主人公を助ける娼婦たちのネットワークについては「ウインホー」に、
関連するエピソードが書かれています。
これらもあわせて読むと、物語の背景や説明されなかった謎についての手がかりになるかもしれません。
書かれた順番としては『限りなき夏』に収録された作品のほうが先になるので、こうした短編群から
『夢幻諸島から』の各章が生まれてきたと想像するのも、また楽しいものです。
しかしここまで来ると、やっぱりシリーズの長編が読みたくなりますね。
古沢嘉通氏による訳者あとがきは、プリーストの経歴について簡潔にまとめた秀逸な内容です。
そしてこれを読むと、「否定」の結末がある英国SF作家の短編を思わせる理由もわかるはず。
プリーストがいまだにSF小説を書き続けてるのは、結局のところ「SFファンだから」という一言に
尽きるのかもしれません。
同じシリーズに属する短編4編を含む日本オリジナルの傑作選が、2008に刊行済みの本書です。
収録作8篇のうち、前半は非シリーズ物の短編が4つ。そのうちひとつは雑誌掲載されたデビュー作、
他3編は初期のプリーストを代表する作品が揃っています。
「限りなき夏」
テムズ川の流れを背に、かつてと変わらぬ姿で立ち続ける美しき女性。
それを眺め続ける男の周囲では、戦争と不気味な存在の影が跳梁していた。
河出文庫の『20世紀SF 70年代編』にも収録され、本書の表題にもなった作品。
ある理由で恋人と引き裂かれてしまったひとりの男の目を通して、ヴィクトリア時代の余韻を残す
1904年の風景と、ロンドン空襲の真っ只中である1940年の風景を交互に描いていきます。
謎の存在や時間凍結機といった魅力あるギミックはあくまで道具立てに留まっていて、そのへんが
SFならではの理屈を読みたがるファンにとって食い足りないところ。
でもプリーストが一番書きたかったのは「変わりゆく時代と、変わらぬヒロイン」の対比であり、
それを「時間からはみ出した者」として見つめ続ける主人公の心情なのでしょう。
そんなミスマッチに、プリーストが日本で「SF作家」として評価されにくかった理由がありそうです。
むしろ「ロマンス要素を軸にした風変わりな歴史小説」として読んだほうが、生き生きと描かれた
古き英国の姿を楽しめるような気もします。
プリーストの作品ってSFというより、H・G・ウェルズ以来の「科学ロマンス」に近いのかも。
実は『20世紀SF』で読んだとき、ラストに違和感を感じて好きになれなかったのですが、
この傑作集で他の作品と比べながら読み直した結果、ようやく自分なりに納得ができました。
読者の眼から見れば、問題の要因が取り除かれて事態が正常に復することが「幸せな結末」なのですが、
主観視点に徹するなら、あれが最も美しい「終わりなき幸福」になるのでしょう。
しかも永遠に色褪せない、最高の一瞬として。
「青ざめた逍遥」
時間の流れに影響を与えるフラックスが流れる公園に、時を渡る橋が架かっている。
これを渡った少年は、後に生涯を通じて追い求める少女の姿を初めて見た…。
プリーストの邦訳短編では「限りなき夏」と並ぶ知名度を誇る作品です。
個人的には、こちらを作品集のタイトルに使って欲しかったですね。
初めて読んだ時は、ロマンチックだけどいまひとつモヤっとした感じの残る作品だと思ったのですが、
何度か読み直すうちに印象がガラッと変わりました。
最後の1節はほのぼのとした終わり方を狙ったものだと考えていたのですが、あれは別の読み方をすると、
それまでの話を全部ひっくり返す可能性をほのめかしているのかもしれない…という事に気づいたのです。
もしかすると、自分はこれまでプリーストにまんまと騙されていたのかも!
さすがは英国SF作家協会賞受賞作、一筋縄ではいきません。
騙りの魔術師・プリーストの本領が発揮された逸品。個人的には収録作中のベストです。
「リアルタイム・ワールド」
異星に設置された施設で研究を続ける人々に、地球からのニュースを届ける役目の男が隠し持つ秘密とは。
「静かな緊張が続く閉鎖環境」「時間線を異動し続ける研究所」「極秘実験と未来予測」「謎のファイル」と、
壮大なハードSFに展開しそうな要素を詰め込みながら、物語はまったく想像外の方向へと転がっていきます。
初めてラストを読んだときには「えー、そうなっちゃうの?!」と開いた口がふさがりませんでした。
それでも「リアルタイム・ワールド」というタイトルにこめられた意味や、作中で語られた様々な事柄のうち
どれが真実なのか、そして主観が現実にどう影響を及ぼしたのかを考えていくと、ひとつの解釈に留まらない
多様な「可能性」を持つ世界の姿が見えてきます。
いわば「プリースト流SF」の特徴が最もコンパクトにまとまっているのが、この作品の持ち味ですね。
そしてこの短編、いろんな部分で長編の代表作『逆転世界』を思わせるところがあって、
ラストで明かされるちゃぶ台返しもよく似ています。
むしろプリーストの場合、このオチのために延々とそれまでの話を書いてきたっぽい。
ついでに『逆転世界』について触れると、あの話でプリーストが本当にやりたかったのは
「それでも世界は逆転してるんだ!」という二段オチなのだと思います。
でも普通のSFファンにとっては、最初のオチのほうが大仕掛けに見えるので、二つ目のほうは
あんまり印象に残らないんですよねー。
ガチガチのSFファンが理屈を重視する傾向と、理屈と主観では後者を優先させるプリーストの流儀が、
ここでも微妙にズレているように感じます。
まあプリーストのちゃぶ台返し的な発想に慣れてしまえば、あとはすんなりと騙りのおもしろさに
身を委ねられるわけで、そのためのガイドブックでありトレーニングキットとして最適な1冊が
『夢幻諸島から』なのだと思います。
でもこの本、ヘタをするとプリーストとの相性をはかるリトマス試験紙にもなりかねませんが(笑)。
「逃走」
敵国へのミサイル発射に立ち会っていたタカ派議員に、突然の緊急警報が伝えられる。
車で議事堂へと駆けつける議員の前に、若者の集団が現れた。
原題の「The Run」を「逃走」と訳したのは、「闘争」と読みを重ねたものでしょう。
作品自体はニューウェーブの影響を受けたストレートなSFですが、タイトルに複数の意味をこめる点や、
その後も繰り返し取り上げる戦争が主題という点で、プリーストの個性が既にはっきりと現れています。
そして「戦争という主題」にこだわり続ける姿勢は、夢幻諸島におけるプリーストの分身(の一人)である、
モイリータ・ケインとも共通するものがあります。
「赤道の時」
惑星の赤道上空を通過していく巨大な時間の渦の中を、凍りついたように舞い上がっていく飛行機たち。
眼下には夢幻の島々、そして目的地は戦争が続く南の大陸。
ここからはいよいよ「夢幻諸島」ものが続きます。(本書での表記は「夢幻群島」。)
「赤道の時」の原題は「The Equatorial Moment」ですが、これはバラードの代表作『結晶世界』の
第一部タイトル「春分(昼夜平分時)」の原題「Equinox」を思い出させます。
夢幻諸島とそこに起きる奇妙な現象の原因と思われる「時間の渦」を直接取り上げた作品として、
シリーズの基礎を成す作品ですが、それ以上に「凍りついた航空機の渦」の美しさが印象的です。
これぞプリースト流のテクノロジカル・ランドスケープ。
「火葬」
夢幻諸島でも珍しい火葬の風習が残る島にやって来た男が体験する、美と恐怖の物語。
男女の駆け引きと因習めいた土地の儀式をメインに据えた退廃的ホラーであり、作中人物のうち
誰が真実を語っているかがわからないという「信用できない語り手」モノでもあります。
官能的な快感が一転しておぞましさへと変わる感覚を、男女の機微と絡ませて書いたところに
作者のうまさを感じますが、それ以上に強烈なのが殺人昆虫スライムの気持ち悪さ。
恐怖というより、むしろ「厭な物語」の筆頭格というほうがしっくりくる話です。
「奇跡の石塚(ケルン)」
親戚の訃報を受けた主人公は、同行する警官と共にシーヴルへと渡航する。
プリーストが時間や戦争と共によく取り上げる「記憶」についての物語。
「わたし」という定義が大きく揺らぐ作中の仕掛けに評価が集まっていますが、自分はむしろ
「石塚(塔)」の立つ荒涼とした風景や、その中での体験に強くひかれました。
ああいう遺跡が立つ辺境の地を舞台にできるのは、ストーンヘンジなどの巨石文化になじんだ
英国の出身ならではの感覚なんですかね。
それにしても、あの塔は何のために作られたんだろう…と考えてしまうのがSF者の性分なのですが、
当然ながらプリーストはそれを説明してくれません(笑)。
なお、『夢幻諸島から』に登場したトームとアルヴァスンドがシーヴルで垣間見た未来は、
この作品へと続いているのですが、逆に「奇跡の石塚」で語られなかったトームの最期は
「シーヴル」にさりげなく書いてある…という、なんとも複雑な構成になっています。
「ディスチャージ」
徴兵によって過去を失った若者が、芸術作品にまつわるかすかな記憶を頼りに自己を取り戻していく。
発砲、脱走、消耗、解放など、タイトルに両義性を含む複数の意味を持たせた、訳者泣かせの作品。
芸術と戦争の関係を扱った点では「否定」と対を成す物語ともいえるでしょう。
また、「火葬」では死を導く先触れだった官能性は、ここでは再生のためのきっかけとして機能しています。
なお、作中で登場する「触発主義絵画」を描いたラスカル・アシゾーンについては、『夢幻諸島から』の
「ムリセイ」や「リーヴァー」に、主人公を助ける娼婦たちのネットワークについては「ウインホー」に、
関連するエピソードが書かれています。
これらもあわせて読むと、物語の背景や説明されなかった謎についての手がかりになるかもしれません。
書かれた順番としては『限りなき夏』に収録された作品のほうが先になるので、こうした短編群から
『夢幻諸島から』の各章が生まれてきたと想像するのも、また楽しいものです。
しかしここまで来ると、やっぱりシリーズの長編が読みたくなりますね。
古沢嘉通氏による訳者あとがきは、プリーストの経歴について簡潔にまとめた秀逸な内容です。
そしてこれを読むと、「否定」の結末がある英国SF作家の短編を思わせる理由もわかるはず。
プリーストがいまだにSF小説を書き続けてるのは、結局のところ「SFファンだから」という一言に
尽きるのかもしれません。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます