いまさら韓ドラ!

韓国ドラマの感想をネタバレしながら書いています。旧作メイン

善徳余録 八百万の死にざま

2013年06月21日 | 善徳女王
ヨロブン、アンニョンハセヨ!

善徳女王を観終わって、大変楽しかった日々を思い出しております。
面白かったなぁ~。

1話ずつ感想は書いているものの、なんだかまだしゃべりたいことが
残っている感じなので、もう少し、余録という形で続けたいと思います。
よろしければ、おつきあいください。

「八百万の死にざま」
ということで、余録も続きそうなので、内容がわかりやすいように
副題をつけてみました。
好きな探偵小説のタイトルなんですけど、
ローレンス・ブロックのマット・スカダー シリーズ3作目です。
内容もあれですけど、タイトルがすごく好きで。

善徳の中のみなさんの死にざまがすごかったので、ちょっと感想を。

いや、ソップムすごかったよね?

いきなりなんですけど、わたしはずーっと思ってたんですよ。
死にざまと言えば、ピダムじゃないんかい!って感じですが、
もちろん彼は別格として後日お話しするとしてですね、ソップム。

彼は花郎としては正直いまいちな容姿で、
このブログの検索ワードにも「ソップム ほっしゃん」なんてあったりして、
そういえばほっしゃんに似てて、美男というには無理のある男でした。
ポジョンの親友というか腰巾着っぽくて、ミシル派。
キャンディ・キャンディでいえば、ニールみたいな立ち位置かな、と
勝手に想像していたのですが、意外に苦労人でした。
家柄も良くないし、貧乏だし、でも実力のあったソップムを取り立ててくれたのはミシル。
彼女がいなければ、今の自分はあり得ない。
そして同じような境遇のチルスクを尊敬していたのですね。

こいつ、ちくちく意地悪な割に真面目で、ミシルへの恩義を外せないんだよね。
ミシルの起こした政変の時も、ミシルに名分があるのか?と悩む花郎をよそに、
彼女への恩義、ポジョンへの友情、チルスクへの尊敬の念で、
破滅への道をまっしぐらに進んでいったのでした。

死に時を逃しに逃して苦しんでいたチルスクとちがって、
彼は自分の散り際をさっさと決めちゃったんですね。
最後は、アルチョンと切り結んで死んでいくのですが、なかなかの見せ場。
アルチョンも、悩むわけですよ。同じ花郎の仲間じゃないか、と。
彼はずっと中立ですから、みんなとうまくやってたと思うんですね。
そして、多少の勢力争いはあっても、国への忠誠心は同じだろ?仲間だろ?と
思っているから、あんなことを言う。
田舎豪族とは言え、力のある貴族の子弟らしいですな。甘いんだよ。
ソップムは骨の髄までたたき上げの男なので、
こんなことしでかしたちゃった後の自分の処遇だって想像ついちゃうわけよ。
どーせ死ぬんだったら、主にこの命を捧げよう。
彼もまた、ミシルに恋する男だったのかもしれないね。

最後はにやりと笑って、突き出されたアルチョンの刀を使って自害するの。
お前、そんなことされちゃったアルチョンのショックを考えてやれよな、と
言いたいところですが、わりとアルチョン、そういうとこでは悩んだり、トラウマったりしません。
そもそも、足手まといは斬る!って言って、その通りにしてた男ですから。
苦渋の決断なれど、手は下してたわけで、根っから軍人です。
彼は最終的には上大等となり、おじいちゃんになるまで生きてましたね。
よかった、よかった。

サンタクの死にざまも、なかなかでしたね。
郎徒時代からおなじみの顔。田舎ものっぽくて、ちょっと調子のいい男。
あんまり頭は良くないから、実は悪巧みなんてできっこない。
根は気のいい男なんです。
チュクパンやコドと張り合っているうちに、ミシル派の重要な部下になっちゃいました。
逃げるチャンスはあったのに、ミシルの元へ戻った男。忠誠心……ですかね?
彼は司量部として働くのですが、最終的にはピダムにくっついてましたね。
けして裏切らない男、隠し事のできない男ってんで、ピダムも使ったのでしょう。
彼も思わぬ見せ場を作ってもらいましたね。

なんか、死にゆく前に超絶美しくなったピダムのお供に歩く姿が不思議な感じでね。
ピダムのふっとみせる優しい顔が、サンタクに惜しげもなく向けられていて
なんかもったいない!と思っちゃったりして。
お前ひとりなら逃げられるだろう、と司量部令の印を持たされるサンタク。
田舎へ行って、こんなドロドロした抗争とは無縁に幸せに生きよ、と言われるサンタク。
ピダムに優しげな目で見つめられるサンタク……。
なんかずるいぞ!
わたしだってそんな風にピダムに見つめられたい!

自分を気づかってくれたピダムに深々とお辞儀をして、サンタクは逃げようとするのですが、
矢で射られちゃうんですね~。
そして泣ける!
死にそうに苦しいのに、ピダムに追っ手がかかったことを叫んで知らせるの!
ぶはって血しぶきを吐いて倒れるサンタク……。
戦とは、非情なものよのう……。

このドラマ、けっこうごぶごぶと血を吐いて死んでいく方がいて、こわい。
ピダムも最後目が真っ赤なんだもん、こわかったよ。
最初の死はさ、郎徒時代の弱虫くんだったよね。
彼も最初の数話でいなくなっちゃう役の割には、
年老いたお母さんがいたり、死に際がすごかったりして、印象深かった。
郎徒時代にトンマンが直面した「仲間の死」だからかなー。

ターミネーターばりのしぶとさを見せつけたチルスクアジョッシの最後も
よかったですねー。
ユシンとピダムがふたりがかりだよ?
このおじさん、マジで強い。剣の華麗さとかないけど、強い。
ふたりで必死になって倒したって感じで、チルスクさんのすごさが強調されてました。

ムンノもねぇ~、最後、あんな風に死んじゃうなんて……。
ピダムの頬を撫でてやりながら、事切れるムンノ。
毒矢が原因で亡くなったわけですよね。
もうダメなのかも……と思わせておいて、
しっかりピダムと話す時間を作ってくれた脚本に感謝です。
あのまま死んじゃったら、さすがにピダムも悶死しかねない。
師匠と弟子、父と子の和解が得られて本当によかった。
また、ムンノが死んだことを誰にも言わなかったピダムの心根が感動的だったんだよな。

ソファの最後も悲劇的でした。
憎みつつも、心を寄せる男の手にかかって死んでいくなんて、すごすぎる。
いろんなことがあったけど、めぐりめぐって元の場所に帰ってきた、みたいに言うじゃないですか。
こうなることが結局運命だったのだ、と。
苦労ばかりだった彼女の人生にも、幸せだった日々があったと信じたいです。

もちろん、チョンミョン王女忘れていませんよ!
毒矢で射られて、薄暗い洞窟で死んでいく一国の王女。
アルチョンでなくとも、おいたわしや……と嘆かずにはおれません。
好きな男に看取ってもらったけどね。
彼女の死に際の姿も鬼気迫るものがありましたね。
死にゆく人にへんな言い方だけど、ものすごい生命力を感じた。
死を覚悟して遺言までするのだけれど、
それでもなお、簡単には引きずり込まれないしぶとさがあったと思う。
ある意味、死は解放だったりするんだけど、
彼女はどう感じていたのだろうか?
チョンミョンさえ死ななかったら、トンマンとユシンは今頃幸せだっただろうか?

そういえば神官ソリもすごかったですね。
あんなわざとらしいこと叫びまくって死ぬなんて、バレバレじゃないか!と思いますが、
賢いミシルもその辺はスルー。ま、ドラマですから。
飲んだ直後に口から血吐いて死ぬような毒物って、どんなんがあるんでしょうか。

血を流して、汗みずくになって死んでいく、
すごい見せ場を与えられた役者さんたちの熱演もすごい。
これぞ!という死にざまを見せてくれます。
やりがいもあるんでしょうねー。

穏やかに亡くなっていった方もいますね。
チヌン大帝も自然死だったし。
ソルォン公は、傷も悪かったかもだけど、老体に鞭打ってがんばりすぎたんでしょう。
最後はピダムに見守られて亡くなりましたね。
彼にとって、ピダムもユシンも、鍛えがいのある若者だったことでしょう。
立場が違えば、いい師匠になれたのにね。
側にいたピダムは涙ぐんじゃったりして、静かな最後でした。

ミシルは大耶城の玉座に座って、毒をあおり、自死。
彼女の場合は、たいして苦しまず、眠ったように死にました。
ぱたり、と肘掛けから滑り落ちる手が、
死の瞬間を端的に表していましたね。

でもおんなじことをトンマンでもやる~?
ここは別にしてほしかったなぁ。
話しかけても返事のないトンマンを見て、ハッとするユシン、とか。
これはこれでベッタベタですけど、肘掛けからぱたり、は、ちょっとね~。

わたしはもちろん全然経験はないですけど、
矢が刺さったらすぐに死んじゃうもの?
刀で切られたら、いっぱい血が出て出血性のショックで死んじゃうかもしれないけど、
矢ってどれくらいぐさって刺さるの?
けっこう刺さっても、なんかすぐに死ねなくて、
じわじわ苦しみそうな気がするんだけど。
当たり所によるのかな……。
ピダムはいっぱい矢が刺さってるのに必死で歩けたしね。

ピダム……。
余生を供にすごそうと思った相手が、
自分に向かって必死に手を伸ばしながらも、それがかなわず死んでいく。
血だらけの目を見開いた男の死に顔。
物のように横たわる死体。
トンマンは、一体どんな思いでそれを見ていたのでしょうか。

砂漠の旅をして、死と隣り合わせで生きてきたトンマン。
自らの生き死にが問題だった頃は、まだ良かった。
仲間の死を背負いながら生きていかねばならなかった郎徒時代、
愛するものの死を嘆く暇も無く生き抜かねばならなかった女王時代。
本当に過酷な運命だったろうと思います。

でも最後に、「耐えて、耐え抜くのよ」というトンマンの言葉には、
そんな運命にも、喜びがあり、愛があったことが示されていると思いますね。

まー、とにかく死に際の鬼気迫る演技、あっぱれな死にざまに驚嘆したドラマでした。
わたしは死ぬときは畳の上で、眠るように死にたい……。
フツーでいいから……。



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