愛読しているドラマブログで取り上げられていた米ドラマ「ハンニバル」
これ、huluで配信されてるじゃん!ということで、思わず視聴しました。
思い立った時にすぐ観られるって本当に便利ですね。
さて、この「ハンニバル」ですが、
主役は言わずと知れた連続殺人鬼で人肉喰いの悪魔、ハンニバル・レクター博士。
トマス・ハリスという超寡作な作家の作品で、
当時一世を風靡した「羊たちの沈黙」の主人公であります。
ん、「ハンニバル」の主人公はウィル・グリアムじゃねぇの?
「羊たち」はクラリス・スターリングじゃ?
というご意見もあるかと思いますが、
やっぱレクター博士でしょう!
あの圧倒的存在感。
この世にこんな邪悪な存在がおるんか、という恐怖。
「羊~」が日本で紹介されたのは1988年。
今から30年近く前ですが、おそろしいですね、怖いですね、
こういう猟奇的な犯罪者を描いた作品の先駆けといった印象がありますが、
どうなんでしょうが、小説界に詳しいみなさま?
「プロファイリング」という言葉がメジャーになったのは間違いないかもですね。
なんか元FBIのプロファイラーって人がちょいちょいテレビに出てた記憶があります。
同時に、「あんなのインチキ!」って声も多数上がってましたが。
わたしは、といえば、とにかく海外のミステリーとかスリラーとか大好きだったので、
原作を一度は読みましたし、映画も観まして。
なによりFBIアカデミーがあるという「クワンティコ」という地名が大好きで。
アメリカ人の発音する「クワンティコ」という単語の響きがみょーに気に入り、
今でも大好きな言葉のひとつです。
いまわの際に、カッと目を見開いて流ちょうな発音で「クワンティコ!」とか言いたい。
マジで。
残された人々は何がなんだかわからんと思いますが……。
んで、なんで今さら「ハンニバル」なんだい?と思いつつ、
ちょっとドラマを観ておりましたところ……
ブラーヴォ!
映画ではアンソニー・ホプキンスが演じたレクター博士を、
マッツ・ミケルセンというデンマークの俳優さんが演じており、
この方が異様にセクシーなのであります。
アンソニーおじさんがどうこう言う気は毛頭ありませんが、
なぜかわたしの脳内では「顔のちっちゃいおじさん」というカテゴリで、
おそろしい犯罪者でありながら人を魅了する人物、という印象が薄くて。
ちんまるこい、気味の悪いおじーちゃんが怖い、みたいな感じでね。
その点、ダンディー・マッツ(適当に命名)はステキな紳士なのであります。
もう、薄いくちびると、くいっと出たあごが良くってねぇ。
隠された秘密がよりいっそうその妖しさを際立たせるというかなんとういか。
とにかく横顔がステキッ。
背も高いし胸板も厚いしね。
高級スーツに包まれた肉体が美しい。
所作が美しいんだね、きっと。
おそらく脱いだらそのセクシー度数は一気にゼロゲージでしょう。
着てたほうがエロい人です。
そのくせ憎むべき犯罪者なんだよなぁ……。
そしてそのレクター博士に見込まれちゃったFBI捜査官(もどき)のウィル・グレアムがまたイイ。
犯人への共感性が異常に高く、プロファイルだなんだか知らねーけど見えちゃうんだよっ!な人です。
そもそもアカデミーの教官にはなれるけど、現場に出るには不適格だという……。
影響され過ぎちゃうんですね。
このナイーブな青年を演じるヒュー・ダンシーも美青年なんだか美中年なんだか。
40才ですからね、中年でいいのか。
彼のあやうさと、自分自身をどこか恐れているようなびくびく加減がたまりません。
映像も美しいですのよ。
レクター博士のご自宅の食事シーンはいつもため息が出る~。
と同時に吐き気がするっていうね。
とにかく制作にかけてるお金が違うんだろうなぁ。
グイグイと引き込まれて6話目まで観ました。
ところがそこでふと、
「原典当たっておいたほうが楽しめるんじゃないか?」と
思い立ちまして、原作と映画の両方あたっておこうと思った次第。
そんなわけで、簡単に6話までのメモを残しておきたいと思います。
以下もちろんネタバレ有りなんで、未視聴の方は回避よろしくお願いします。
1 アペリティフ(食前酒)
FBIアカデミーで教鞭を執っているウィル・グリアムは、
行動分析課のジャック・クロフォードに現場で捜査協力するように頼まれます。
ウィルは自閉症スペクトラムの一種で、ものすごく犯人の心情に共鳴しちゃうので、
精神的に不安定になりがち。
でも、もともと捜査官にはなりたかったわけで、仕事を引き受けます。
友人のアラーナ・ブルーム博士(女性)がいつも気をつけていて、
彼が落ち込みかけると精神的に助けていたのですが、
彼女はこの捜査協力には反対。
ジャックは、ウィルの精神的安定をはかるために、
ハンニバル・レクター博士にそのへんのフォローを頼みます。
彼らが追いかけているのは、年頃の女の子を殺し続けている連続殺人鬼。
不思議なことに、最新の現場を観たウィルには、
犯人が被害遺体に対して、愛情を持ち、
非常に敬意を払っていることがわかったのでした。
殺した後、謝罪の気持ちから遺体の一部を食べ、鹿の角につるす犯人とは?
いったい、どんなやつが?
捜査が進む中で新たな被害者が出ますが、
今度は野っ原の真ん中で、鹿の角にぶっさされて飾られた姿で見つかります。
「ミネソタのモズ」と捜査関係者はささやきますが、
ウィルだけがこれが模倣犯(コピーキャット)の仕業だと気づきます。
だって、この現場には反吐が出るような悪意しかない。
ただ面白がって、自己顕示欲をあらわにした、醜悪な模倣犯が出たのです。
しかし、この吐き気をもよおすような模倣殺人のおかげで、
ウィルのプロファイリング能力が一気に覚醒します。
冴えに冴えた洞察力で、女子学生殺しの犯人に迫っていくのですが、
そこに、ある思惑を秘めたレクター博士の邪悪な介入があり、
ウィルは犯人を射殺する結果になってしまいます。
ただ救いは、犯人の娘が、父親に首を切られながらも一命を取り留めたこと。
事件後、ウィルが病室を訪れると、
そこには呼吸器につながれ、意識の戻らない娘の手を握ったまま
眠り込んでしまっているレクター博士の姿があるのでした。
********************************
く、喰わされた……喰わされた~!
う、ウィルが、レクター博士の持ってきたソーセージを食べたよ!ノォォォォォ!
すべてはジャック・クロフォードが悪いんだyo!
ウィルの精神的安定をはかるため、って名目だろうけど、
本音は彼の共感能力に超興味を持ってるんでしょ。
アラーナが彼を研究することを断ったから、レクター博士に頼んだのよね?
(レジデント時代の恩師である彼を紹介したのはアラーナですけどね)
名目上は、今追っかけている殺人犯を精神分析してね、って依頼なわけだけど……。
博士はすでにウィルにぞっこん状態。
なんかもう、おいしいね、って食べてるウィルが不憫な上に、
思わずわたしも吐き気が……。
(おそらく)人肉を喰わされ、目の前で人が首から血を噴き出させて死に、
連続殺人犯を射殺せざるを得ない状況に追い込まれ……。
無垢なウィルが、自分も知らないうちにレクター博士に犯されまくった第1話ですな。
アペリティフとは、食欲を増進させるための食前酒の意。
震えながら必死で娘さんの首を押さえるウィルと、
冷静にそのサポートをやってのけるレクター博士の目。
いや~、そそるわ~。
2 アミューズ ブーシュ
自分が撃ち殺した犯人の幻影にうなされるウィルですが、
事件はすっかり終わったわけではありません。
7人の遺体はどこへ消えたのか?共犯者がいたのか?
ジャックは、いまだ昏睡状態の娘、アビゲイルが共犯ではないかと疑います。
しかしウィルは納得できませんでした。
傷ついているとわかっていても、ジャックはウィルを手放すことができません。
レクター博士のセラピーを受けることを条件に、上層部もウィルの復帰を容認。
ウィル自身も、現場復帰を望んでいるのかいないのか、よくわからないのですが。
そんな中、森の中で少年たちが奇妙な死体を発見しました。
きのこの苗床となった人々が9人も、きれいに並べてありました。
死体はごく浅く埋められ、菌糸が十分に伸びるまでは栄養を与えられ、
生かされていたのです。
たっぷりと栄養を与えられた遺体には、きのこがびっしり生えていました。
フレディ・ラウンズという、ネットニュースサイトの記者が、
ウィルのまわりを嗅ぎまわり始めます。
スキャンダラスな記事を書くためには、なりふりかまいません。
レクター博士にまでまとわりつき、博士も渋い顔です。
きのこ栽培を行なっていた犯人は、薬剤師でした。
糖尿病患者に偽薬を処方し、昏睡状態にして部屋へ連れ込む手口です。
ウィルは最新の被害者を間一髪で救いましたが、犯人は取り逃してしまいました。
フレディ・ラウンズのウィルについて書いた悪意ある記事が原因で。
アビゲイルの病室で眠り込み、ウィルは夢を見ます。
鴉の羽毛を生やしたおおきなヘラジカが、彼の前を誘うように通り過ぎていく。
不思議でおそろしい光景でした。
きのこ殺人犯は、奇妙な論理でウィルを慕います。
思考は移動し、変異・進化する。まるできのこの菌糸のように。
ウィルの特異な共感力は、まさにそれだと確信した犯人は、
アビゲイルとウィルをつなげてあげようと彼女を病院から連れ出そうとし、
ウィルに捕まりました。
人を殺すことに、ある種の爽快感を感じてしまったウィルは、
自分がおそろしくて、許せなくて、動揺しているのです。
彼はレクター博士との対話を通して、自己を見つめます。
自分の導き手は博士であると、知らず知らずのうちに、彼を頼るようになっています。
********************************
きのこ、いいねぇ~。
ああやって美しく生やすってたいへんだったろうねぇ、美術さん。
そのかいあってか、全体にグロテスクというよりは幻想的な雰囲気すら漂っています。
まったく犯罪者の頭の中は理解できねーぜ。
それにしてもこの記者は悪党ですね。
レクター博士が食べていた豚の腰肉、彼女かと思いました。
喰われろ!
とうとうジャックも肉料理のご相伴にあずかってしまいましたが、
どうでしょうか。
最終的に人肉を口にしていたとわかったら、どんな気分になるんでしょうか。
みなさんたいがい、嘔吐するようですね。
人間は「脳」によって生かされているんですね、やっぱり。
しかし、レクター博士は易々とウィルの懐に入り込んでしまいました。
人殺しに快感を覚えてしまったウィル。
ナイーブに悩むウィル。
博士をパドル(櫂)にして進んでいったら、
おそろしい場所に連れて行かれてしまうんじゃないかなぁ。
うう、心配。
ちなみにタイトルのアミューズ・ブーシュは、ひとくち大の単体で供されるオードブル。
だそうです。
なんか、シェフのあそび心を発揮するターンらしくて、みなさん凝るみたいですね。
3 ポタージュ
連続殺人犯のホッブスは、娘アビゲイルを愛していました。
独立して自分のもとを離れていくなんて悲しすぎる。
その心境のせいで、娘によく似た女性たちを殺し、最後は娘を殺そうとしました。
昏睡状態だったアビゲイルは、意識を取り戻します。
ジャックはアビゲイルを共犯だと信じて疑いません。
確かに彼女は、父親に仕込まれて鹿を解体することもできたし、
敬愛の気持ちを持ってその肉を食することも教わっていましたが……。
アラーナは彼女の主治医となり、
ジャックは密かにアビゲイルの家族になりたいと思っています。
ウィルは、ホッブス事件の中であらわれた模倣犯を分析し、
犯人を「知能の高いサディスト」と評し、
ホッブスの殺人を完璧に理解したうえで模倣し、
あまつさえそれを芸術の域まで高めたと評価します。
レクター博士は密かにご満悦です。
アビゲイルとの最初の出会いは、
下劣な記者ラウンズによってゆがめられてしまいました。
ウィルの望むように、彼女と心を通わせることはできませんでした。
アビゲイルの心に入り込んだのは、レクター博士です。
ひとりぼっちになったアビゲイルに寄り添ってくれた親友が殺され、
彼女を殺したと思われる男も、アビゲイルに近づいて殺されました。
男は、模倣犯が殺した女性の弟だったのです。
「親友を殺したのは自分じゃない」と言いたかった彼ですが、
恐怖に駆られたアビゲイルが、彼を刺し殺してしまいました。
ナイフで。
腹をズタズタに。
いまだ父の共犯だと疑われているアビゲイルは、おそろしくなります。
そこでレクター博士が、彼女にある提案をします。
死体を隠そう、と。
自分の犯行を隠してくれた博士。
本当に正当防衛だったの?自分でも確信が持てず動揺するアビゲイル。
父の凶行を誘発した事件直前の1本の電話。
その男はレクター博士その人なのです。
アビゲイルは、彼が電話の男だと気づきますが、
「所在確認をしただけだ」
という博士の言葉を信じます。
私たちは、誤解を招くミスを犯しただけなのだ、と信じるのです。
アビゲイルと博士は、互いの秘密を守る約束をしました。
これで共犯です。
……共犯?
********************************
アビゲイル……。
第1話の殺人は、ずーっとつながって尾を引くんだね。
この子は賢い娘ですが、結局博士のいいように操られていきます。
サイコの娘はサイコなのか?
視聴者もモヤモヤしながら観る展開ですな。
そもそも、あんな目にあったわりには、冷静なアビゲイル。
狩猟の作法を仕込まれていたせいなのでしょうか。
それともまだ心がフワフワしていて、現実感が薄いせいなのでしょうか。
アラーナが、「あの子は人を操って情報を引き出そうとする」と言いますが、
そのへんはよくわからなかったなー。
とにかく記者の女が最悪最低で胸くそが悪くなりますよ。
あいつとレクター博士のせいで、どんどん状況が悪くなっていく。
おそろしい。
レクター博士は、模倣犯の意図をすべて見抜いているウィルをみて、
とても満足げ。
優秀な生徒?を持って喜んでいる先生みたいです。
ウィルは、ホッブスに電話をかけてきた男こそが、模倣犯だと言い切ったしね。
「ビンゴ!」って言いたいだろうな。
ひとりだけ死体をさらされた女性を殺したのは、博士。
アビゲイルの友達を殺したのも、博士。
女性の弟が犯行に及んだと見せかけて、ですね。
そして彼がアビゲイルに接触するのも、アビゲイルが彼を殺すのも、
おそらく博士の想定内。
ウィルとアビゲイルをつなげたいのは、博士もおなじなのかもしれません。
ただ、その方法がより狂気的なんじゃないか、と思います。
埋めてキノコ生やすより狂気的な方法っていったいなんなんだ?と
問われると、返す言葉もありませんが。
もっとまわりくどくて、サディスティックな方法があるはずですよ。
だって、死体は痛みを感じない。心も、体も。
サディストのレクター博士は、傷ついたウィルを、アビゲイルを、見たいんじゃないかな。
毎回登場する衝撃的な死体は、今回ありません。
てか、鹿の角につるされた女性は出てきますがね、
このビジュアルにはもう慣れたんで。
それより、クッションの詰め物にされてる女性の髪の方がリアルでこわいです。
ああ、ここまで書いて、もう6000字超えちゃったよ……。
思ったより字数が多くなったので、分割しますね。
4~6話までは次の記事で。
ちぇっ、あっさり書くつもりが、いつもなんだかんだ長くなっちゃうんだよな。
たくさん書きゃいいってもんじゃないと自戒しつつ、
次回へつづきます。
これ、huluで配信されてるじゃん!ということで、思わず視聴しました。
思い立った時にすぐ観られるって本当に便利ですね。
さて、この「ハンニバル」ですが、
主役は言わずと知れた連続殺人鬼で人肉喰いの悪魔、ハンニバル・レクター博士。
トマス・ハリスという超寡作な作家の作品で、
当時一世を風靡した「羊たちの沈黙」の主人公であります。
ん、「ハンニバル」の主人公はウィル・グリアムじゃねぇの?
「羊たち」はクラリス・スターリングじゃ?
というご意見もあるかと思いますが、
やっぱレクター博士でしょう!
あの圧倒的存在感。
この世にこんな邪悪な存在がおるんか、という恐怖。
「羊~」が日本で紹介されたのは1988年。
今から30年近く前ですが、おそろしいですね、怖いですね、
こういう猟奇的な犯罪者を描いた作品の先駆けといった印象がありますが、
どうなんでしょうが、小説界に詳しいみなさま?
「プロファイリング」という言葉がメジャーになったのは間違いないかもですね。
なんか元FBIのプロファイラーって人がちょいちょいテレビに出てた記憶があります。
同時に、「あんなのインチキ!」って声も多数上がってましたが。
わたしは、といえば、とにかく海外のミステリーとかスリラーとか大好きだったので、
原作を一度は読みましたし、映画も観まして。
なによりFBIアカデミーがあるという「クワンティコ」という地名が大好きで。
アメリカ人の発音する「クワンティコ」という単語の響きがみょーに気に入り、
今でも大好きな言葉のひとつです。
いまわの際に、カッと目を見開いて流ちょうな発音で「クワンティコ!」とか言いたい。
マジで。
残された人々は何がなんだかわからんと思いますが……。
んで、なんで今さら「ハンニバル」なんだい?と思いつつ、
ちょっとドラマを観ておりましたところ……
ブラーヴォ!
映画ではアンソニー・ホプキンスが演じたレクター博士を、
マッツ・ミケルセンというデンマークの俳優さんが演じており、
この方が異様にセクシーなのであります。
アンソニーおじさんがどうこう言う気は毛頭ありませんが、
なぜかわたしの脳内では「顔のちっちゃいおじさん」というカテゴリで、
おそろしい犯罪者でありながら人を魅了する人物、という印象が薄くて。
ちんまるこい、気味の悪いおじーちゃんが怖い、みたいな感じでね。
その点、ダンディー・マッツ(適当に命名)はステキな紳士なのであります。
もう、薄いくちびると、くいっと出たあごが良くってねぇ。
隠された秘密がよりいっそうその妖しさを際立たせるというかなんとういか。
とにかく横顔がステキッ。
背も高いし胸板も厚いしね。
高級スーツに包まれた肉体が美しい。
所作が美しいんだね、きっと。
おそらく脱いだらそのセクシー度数は一気にゼロゲージでしょう。
着てたほうがエロい人です。
そのくせ憎むべき犯罪者なんだよなぁ……。
そしてそのレクター博士に見込まれちゃったFBI捜査官(もどき)のウィル・グレアムがまたイイ。
犯人への共感性が異常に高く、プロファイルだなんだか知らねーけど見えちゃうんだよっ!な人です。
そもそもアカデミーの教官にはなれるけど、現場に出るには不適格だという……。
影響され過ぎちゃうんですね。
このナイーブな青年を演じるヒュー・ダンシーも美青年なんだか美中年なんだか。
40才ですからね、中年でいいのか。
彼のあやうさと、自分自身をどこか恐れているようなびくびく加減がたまりません。
映像も美しいですのよ。
レクター博士のご自宅の食事シーンはいつもため息が出る~。
と同時に吐き気がするっていうね。
とにかく制作にかけてるお金が違うんだろうなぁ。
グイグイと引き込まれて6話目まで観ました。
ところがそこでふと、
「原典当たっておいたほうが楽しめるんじゃないか?」と
思い立ちまして、原作と映画の両方あたっておこうと思った次第。
そんなわけで、簡単に6話までのメモを残しておきたいと思います。
以下もちろんネタバレ有りなんで、未視聴の方は回避よろしくお願いします。
1 アペリティフ(食前酒)
FBIアカデミーで教鞭を執っているウィル・グリアムは、
行動分析課のジャック・クロフォードに現場で捜査協力するように頼まれます。
ウィルは自閉症スペクトラムの一種で、ものすごく犯人の心情に共鳴しちゃうので、
精神的に不安定になりがち。
でも、もともと捜査官にはなりたかったわけで、仕事を引き受けます。
友人のアラーナ・ブルーム博士(女性)がいつも気をつけていて、
彼が落ち込みかけると精神的に助けていたのですが、
彼女はこの捜査協力には反対。
ジャックは、ウィルの精神的安定をはかるために、
ハンニバル・レクター博士にそのへんのフォローを頼みます。
彼らが追いかけているのは、年頃の女の子を殺し続けている連続殺人鬼。
不思議なことに、最新の現場を観たウィルには、
犯人が被害遺体に対して、愛情を持ち、
非常に敬意を払っていることがわかったのでした。
殺した後、謝罪の気持ちから遺体の一部を食べ、鹿の角につるす犯人とは?
いったい、どんなやつが?
捜査が進む中で新たな被害者が出ますが、
今度は野っ原の真ん中で、鹿の角にぶっさされて飾られた姿で見つかります。
「ミネソタのモズ」と捜査関係者はささやきますが、
ウィルだけがこれが模倣犯(コピーキャット)の仕業だと気づきます。
だって、この現場には反吐が出るような悪意しかない。
ただ面白がって、自己顕示欲をあらわにした、醜悪な模倣犯が出たのです。
しかし、この吐き気をもよおすような模倣殺人のおかげで、
ウィルのプロファイリング能力が一気に覚醒します。
冴えに冴えた洞察力で、女子学生殺しの犯人に迫っていくのですが、
そこに、ある思惑を秘めたレクター博士の邪悪な介入があり、
ウィルは犯人を射殺する結果になってしまいます。
ただ救いは、犯人の娘が、父親に首を切られながらも一命を取り留めたこと。
事件後、ウィルが病室を訪れると、
そこには呼吸器につながれ、意識の戻らない娘の手を握ったまま
眠り込んでしまっているレクター博士の姿があるのでした。
********************************
く、喰わされた……喰わされた~!
う、ウィルが、レクター博士の持ってきたソーセージを食べたよ!ノォォォォォ!
すべてはジャック・クロフォードが悪いんだyo!
ウィルの精神的安定をはかるため、って名目だろうけど、
本音は彼の共感能力に超興味を持ってるんでしょ。
アラーナが彼を研究することを断ったから、レクター博士に頼んだのよね?
(レジデント時代の恩師である彼を紹介したのはアラーナですけどね)
名目上は、今追っかけている殺人犯を精神分析してね、って依頼なわけだけど……。
博士はすでにウィルにぞっこん状態。
なんかもう、おいしいね、って食べてるウィルが不憫な上に、
思わずわたしも吐き気が……。
(おそらく)人肉を喰わされ、目の前で人が首から血を噴き出させて死に、
連続殺人犯を射殺せざるを得ない状況に追い込まれ……。
無垢なウィルが、自分も知らないうちにレクター博士に犯されまくった第1話ですな。
アペリティフとは、食欲を増進させるための食前酒の意。
震えながら必死で娘さんの首を押さえるウィルと、
冷静にそのサポートをやってのけるレクター博士の目。
いや~、そそるわ~。
2 アミューズ ブーシュ
自分が撃ち殺した犯人の幻影にうなされるウィルですが、
事件はすっかり終わったわけではありません。
7人の遺体はどこへ消えたのか?共犯者がいたのか?
ジャックは、いまだ昏睡状態の娘、アビゲイルが共犯ではないかと疑います。
しかしウィルは納得できませんでした。
傷ついているとわかっていても、ジャックはウィルを手放すことができません。
レクター博士のセラピーを受けることを条件に、上層部もウィルの復帰を容認。
ウィル自身も、現場復帰を望んでいるのかいないのか、よくわからないのですが。
そんな中、森の中で少年たちが奇妙な死体を発見しました。
きのこの苗床となった人々が9人も、きれいに並べてありました。
死体はごく浅く埋められ、菌糸が十分に伸びるまでは栄養を与えられ、
生かされていたのです。
たっぷりと栄養を与えられた遺体には、きのこがびっしり生えていました。
フレディ・ラウンズという、ネットニュースサイトの記者が、
ウィルのまわりを嗅ぎまわり始めます。
スキャンダラスな記事を書くためには、なりふりかまいません。
レクター博士にまでまとわりつき、博士も渋い顔です。
きのこ栽培を行なっていた犯人は、薬剤師でした。
糖尿病患者に偽薬を処方し、昏睡状態にして部屋へ連れ込む手口です。
ウィルは最新の被害者を間一髪で救いましたが、犯人は取り逃してしまいました。
フレディ・ラウンズのウィルについて書いた悪意ある記事が原因で。
アビゲイルの病室で眠り込み、ウィルは夢を見ます。
鴉の羽毛を生やしたおおきなヘラジカが、彼の前を誘うように通り過ぎていく。
不思議でおそろしい光景でした。
きのこ殺人犯は、奇妙な論理でウィルを慕います。
思考は移動し、変異・進化する。まるできのこの菌糸のように。
ウィルの特異な共感力は、まさにそれだと確信した犯人は、
アビゲイルとウィルをつなげてあげようと彼女を病院から連れ出そうとし、
ウィルに捕まりました。
人を殺すことに、ある種の爽快感を感じてしまったウィルは、
自分がおそろしくて、許せなくて、動揺しているのです。
彼はレクター博士との対話を通して、自己を見つめます。
自分の導き手は博士であると、知らず知らずのうちに、彼を頼るようになっています。
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きのこ、いいねぇ~。
ああやって美しく生やすってたいへんだったろうねぇ、美術さん。
そのかいあってか、全体にグロテスクというよりは幻想的な雰囲気すら漂っています。
まったく犯罪者の頭の中は理解できねーぜ。
それにしてもこの記者は悪党ですね。
レクター博士が食べていた豚の腰肉、彼女かと思いました。
喰われろ!
とうとうジャックも肉料理のご相伴にあずかってしまいましたが、
どうでしょうか。
最終的に人肉を口にしていたとわかったら、どんな気分になるんでしょうか。
みなさんたいがい、嘔吐するようですね。
人間は「脳」によって生かされているんですね、やっぱり。
しかし、レクター博士は易々とウィルの懐に入り込んでしまいました。
人殺しに快感を覚えてしまったウィル。
ナイーブに悩むウィル。
博士をパドル(櫂)にして進んでいったら、
おそろしい場所に連れて行かれてしまうんじゃないかなぁ。
うう、心配。
ちなみにタイトルのアミューズ・ブーシュは、ひとくち大の単体で供されるオードブル。
だそうです。
なんか、シェフのあそび心を発揮するターンらしくて、みなさん凝るみたいですね。
3 ポタージュ
連続殺人犯のホッブスは、娘アビゲイルを愛していました。
独立して自分のもとを離れていくなんて悲しすぎる。
その心境のせいで、娘によく似た女性たちを殺し、最後は娘を殺そうとしました。
昏睡状態だったアビゲイルは、意識を取り戻します。
ジャックはアビゲイルを共犯だと信じて疑いません。
確かに彼女は、父親に仕込まれて鹿を解体することもできたし、
敬愛の気持ちを持ってその肉を食することも教わっていましたが……。
アラーナは彼女の主治医となり、
ジャックは密かにアビゲイルの家族になりたいと思っています。
ウィルは、ホッブス事件の中であらわれた模倣犯を分析し、
犯人を「知能の高いサディスト」と評し、
ホッブスの殺人を完璧に理解したうえで模倣し、
あまつさえそれを芸術の域まで高めたと評価します。
レクター博士は密かにご満悦です。
アビゲイルとの最初の出会いは、
下劣な記者ラウンズによってゆがめられてしまいました。
ウィルの望むように、彼女と心を通わせることはできませんでした。
アビゲイルの心に入り込んだのは、レクター博士です。
ひとりぼっちになったアビゲイルに寄り添ってくれた親友が殺され、
彼女を殺したと思われる男も、アビゲイルに近づいて殺されました。
男は、模倣犯が殺した女性の弟だったのです。
「親友を殺したのは自分じゃない」と言いたかった彼ですが、
恐怖に駆られたアビゲイルが、彼を刺し殺してしまいました。
ナイフで。
腹をズタズタに。
いまだ父の共犯だと疑われているアビゲイルは、おそろしくなります。
そこでレクター博士が、彼女にある提案をします。
死体を隠そう、と。
自分の犯行を隠してくれた博士。
本当に正当防衛だったの?自分でも確信が持てず動揺するアビゲイル。
父の凶行を誘発した事件直前の1本の電話。
その男はレクター博士その人なのです。
アビゲイルは、彼が電話の男だと気づきますが、
「所在確認をしただけだ」
という博士の言葉を信じます。
私たちは、誤解を招くミスを犯しただけなのだ、と信じるのです。
アビゲイルと博士は、互いの秘密を守る約束をしました。
これで共犯です。
……共犯?
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アビゲイル……。
第1話の殺人は、ずーっとつながって尾を引くんだね。
この子は賢い娘ですが、結局博士のいいように操られていきます。
サイコの娘はサイコなのか?
視聴者もモヤモヤしながら観る展開ですな。
そもそも、あんな目にあったわりには、冷静なアビゲイル。
狩猟の作法を仕込まれていたせいなのでしょうか。
それともまだ心がフワフワしていて、現実感が薄いせいなのでしょうか。
アラーナが、「あの子は人を操って情報を引き出そうとする」と言いますが、
そのへんはよくわからなかったなー。
とにかく記者の女が最悪最低で胸くそが悪くなりますよ。
あいつとレクター博士のせいで、どんどん状況が悪くなっていく。
おそろしい。
レクター博士は、模倣犯の意図をすべて見抜いているウィルをみて、
とても満足げ。
優秀な生徒?を持って喜んでいる先生みたいです。
ウィルは、ホッブスに電話をかけてきた男こそが、模倣犯だと言い切ったしね。
「ビンゴ!」って言いたいだろうな。
ひとりだけ死体をさらされた女性を殺したのは、博士。
アビゲイルの友達を殺したのも、博士。
女性の弟が犯行に及んだと見せかけて、ですね。
そして彼がアビゲイルに接触するのも、アビゲイルが彼を殺すのも、
おそらく博士の想定内。
ウィルとアビゲイルをつなげたいのは、博士もおなじなのかもしれません。
ただ、その方法がより狂気的なんじゃないか、と思います。
埋めてキノコ生やすより狂気的な方法っていったいなんなんだ?と
問われると、返す言葉もありませんが。
もっとまわりくどくて、サディスティックな方法があるはずですよ。
だって、死体は痛みを感じない。心も、体も。
サディストのレクター博士は、傷ついたウィルを、アビゲイルを、見たいんじゃないかな。
毎回登場する衝撃的な死体は、今回ありません。
てか、鹿の角につるされた女性は出てきますがね、
このビジュアルにはもう慣れたんで。
それより、クッションの詰め物にされてる女性の髪の方がリアルでこわいです。
ああ、ここまで書いて、もう6000字超えちゃったよ……。
思ったより字数が多くなったので、分割しますね。
4~6話までは次の記事で。
ちぇっ、あっさり書くつもりが、いつもなんだかんだ長くなっちゃうんだよな。
たくさん書きゃいいってもんじゃないと自戒しつつ、
次回へつづきます。
もので・・・。私は食事をしつつドラマを見る事が
多いのですが、さすがにこの作品はちょっと厳しい
ですね。グロは平気なんですが、食人というのは
ドラマだとわかりつつキモイですね。
さて、私の9月の予定をTBしましたので、暇な時
にでもよろしく。
ふっふっふ、プーさんの視聴予定はすでにチェック済みですよ。
このドラマ、食事のシーンは本当に優雅ですが、
その裏にあるものを想像するとうぇって感じです。
人にとっての最大の禁忌ですものね。
「ハンニバル」を観終わったら、わたしもブレイキングバッドの第4Seasonを観なくては。
ジェシーが心配です。