魔王 第18話

ヒドス！

ひどすぎるわ～。漢字で書きますと、非道すぎる。
こんなのってないわ！こんなのってあんまりだわ～！

スンハの本当の姿に気付いてしまったヘイン。
図書館に来てみたものの、帰ろうとしているスンハを呼び止め、
つかの間のデートにでかける。
手をつなぎ、喫茶店に入り、ブランコを揺らして笑い合うふたり。

ヘインは、彼に何も言えず、別れるのだが、母の胸にすがり、泣いてしまう。
スンハは、ひとときの幸せを思い出し、家でひとり、ついつい笑顔になるのだった。


本当に美しいヘイン

ね、いいでしょ？しあわせでしょ？このデート風景は！
ヘインに手をとられたスンハが、すごく動揺してるのがかわいくて仕方ない。
そのくせ、手を握り直すんですよ、大胆にも。
自分リードポジションがあるもんね。

そして魔王にあるまじき笑顔でパッピンスらしきものを食されたりなんかして。
どこにあるんだか知らんが、ブランコふたりのりしちゃったりして。
ヘインの手に自分の手を重ねちゃったりして。
熱いぜ、おふたりさん！←親父的突っ込み

そんだけ近かったのに、川面を眺める時は直立不同なふたりが新鮮。
ピュアだわ～。

今まで、ヘインはオスのことも心配してたし、いいのかな、と思ってたけど、
相思相愛ね！問題ナッシングよね？！



……って、そんなわけねーだろ！（怒）

問題ありありなんだよ、実際さ～。
ヘインはスンハの正体知っちゃって、でもこの楽しい一日を台無しにしたくなくて言えなくて、
彼がどんなに寂しくてひとりだったか知ってるからこそ、彼を愛さずにはいられなくて、
すごく泣いちゃって、でもスンハはそんなこと知らずにニヤケてて、
いいわけないんだよ、そんなの！

親友ジュヒとのエピソード、よかったんだけどね……。
「よかった！わたしも宇宙人なの。ともだちになろ！」って、
あんたら「宮」のあの芸術学校で一緒のクラスだったんじゃない？とか思っちゃった。
あ、あっちは高校か。ヘインは中学で会ったって言ってたっけ。

なんかスンハがうちに帰っても妙に浮かれてるし、
すごく腹がたってきちゃったの。
スンハに、というより、この過酷な運命に。

でもダメなんだよね、彼が陥れた人々と同様に、スンハにだって選択肢があったはず。
彼が選択したのは、地獄で孤独に生きることだったのよ。
彼を見捨て、無関心だったのは世間だけれど、
そうでない人たちだっていたはずでしょ？

本当のオ・スンハだって、お姉さんだって、ファン兄さんだって。
その時点で、計画を破棄することだってできたはず。
だけどスンハは、破滅の道を選んで、彼自身が地獄の門をくぐったのよ。

何度もいうけれど、せめて本当のことが裁判で明らかになり、
テフンの名誉が守られていたなら、こんな結果にならなかったろうに……。

翌日、ヘインは仕事を病欠するのだが、ふいに家を出て行方がわからなくなった。
心配したスンハは、彼女を探して教会へ行ってみる。
そこには、神の前にひざまづくヘインがいた。

「また倒れているんじゃないかと、すごく心配したんですよ」というスンハに、
ヘインはとうとう自分が知ったことを告げるんです。
「なぜ、あの傘を貸してくれたお兄さんだと気付かなかったのかしら。
寂しそうな背中が、教えてくれていたのに」って……。

もうスンハの驚愕はいかばかりか。
漫画だったらガーンガーンガーンと三連続で書き込まれているところです。
ヘインは、スンハに、もうトンネルから出てこなきゃいけないって言うんですよ。
私がそばにいるからって。あなたのそばにいるからって。チョン・テソンのそばに……。

こないだはヘインに手を握られてうれしそうだったスンハが、
彼女が伸ばした手をさけて、思わず後ずさりするんですね。
まるで何かを恐れているように。

もちろんスンハは、なんのことだかわからない、という演技をするのですが、
ヘインには通用しません。
スンハは、僕には誰も必要ないって、彼女を拒絶します。
彼の全てを受けいれて、これからともに生きていこうという
彼女の救いの手を振り払ってしまうの。

「ヘインさんが見たことは、何ひとつ証明できません。
12年前もそうだったように...今もあなたは何一つ証明できやしないんだ」

き、きびしい……。

彼女には見えていた。テフンが、ヨンチョルを守ろうとしてオスに向かっていた真実が。
でも、それは証明することのできないこと。
だけど、彼女にも実は見えていなかったのよね。
オスがナイフを使わず、拳でテフンを突き上げたことは。

だって神様じゃないんだもん！
超能力があったって、万能じゃないんだもん！



でもきびしい。
これはヘインに向かって、
「おまえには僕を救うことなどできやしないんだ。あの時も、今も」
って言ってるのとおんなじことでしょ？
こんなこと言われて、ほんとにつらかったでしょ、ヘイン。
でも本当に苦しいのは、やめたくてもやめられなくなったあなた自身だ、と
ヘインは理解してくれていますけどね。

もう、ドラマがめちゃくちゃになってもいいから、
スンハにはここで改心してほしかったです。
すんごい懲役刑になりそうだけど、情状酌量の余地は無きにしもあらずだし、
生きていてくれさえすればいいよ！
だってこのままだと絶対死んじゃうでしょ？スンハや！

だが、断るの。

スンハはわかってるんだよねー。
自分がどんなに汚れているか。
引き返せない道を歩んできたか。
ここで自分だけが降りて、しあわせになんかなっちゃいけないということが。

スンハの表情が、苦悩と絶望と怒りの表情が、これまたイイんですよ！
そして泣く！声をあげて。



スンハとオスの利害関係は、表面上今回は一致しています。
ソクジンは無実だと信じているオス、
ソクジンは無実だと知っているスンハ。

オスは親友を助けるために、スンハに頭を下げます。
どうしたら、彼を救えるのか？
スンハは、オイディプスの義務を果たすのか？とききます。

オイディプスは、自らの出自を知らず、
実の父を殺し、母を娶り、国を治めた王なのですが、
呪われた真実を知って驚愕。両目をつぶし、放浪の旅に出るのです。
フロイトのエディプスコンプレックスという考え方の元になったギリシャ神話ですね。

親友を救うために実の兄を告発する結果になるだろう、とスンハはわかっている。
いや、オスがどんな選択をするか見物だといっているから、
もしかしたら兄を救うために真実に目をつぶるかも、と思っているのか？

いやいや～、テフンの仇と思っていながらも、
今やスンハはオスのことを信頼しているのではないですかね？
彼がきっと、今度こそ真実を明らかにする努力をしてくれると。

ここで思ったのですが、
スンハの復讐の本筋はここだったのかな、と。
自分の兄が殺されてしまったのと同じように、
オスにも、自らの手で兄を葬らせたかったのかな、と。
へたしたら、ソクジンもヒス兄さんも自殺しそうな勢いですもんね。
してやったりと思っていたヒス兄さんも、スンハからの赤い封筒におびえてるし、
お父さんには結局全然認められてないし。
あそこまでしたのにかわいそう。

この兄弟、どっちかというとオスの方がお父さんに見込まれてると思うのですが、
どっちにしろ、スンハやソクジンの方が有能だから好きだ、というおとっつぁんなんですよね。
お？あれ？オイディプスの義務とは、無意識の父親殺しなわけだから、そういうこと？
最終的にはヒス兄さんごときじゃなくて、カン議員の首か？

「もうすぐ終わる……！」
とつぶやく黒手袋の男は、やはりヨンチョル。
コインロッカーから赤い封筒を取り出していたのは、彼だ。
デピルの供述で、彼に指示を出していたのも吃音のある男、ヨンチョルだと思われた。
しかし、証拠がない。警察には、真犯人を追い込めるだけの証拠が無いのだ。

ヘインが気付いていることを気付いたカン・オス。
自分が気付いていることを気付かれたと気付いたヘイン。
ややっこしいけど、オスはいいやつだ……。

ヘインは、スンハが実際に手を下したとは思えないので、そこを確認したいのかな。
でもスンハは、自分が捕まりたくないから、手を汚さないのかというと、
ちょっと違う気もするんだけど、どうなんだろう？
やはりそこは、保身のための汚さなんだろうか？
かつての被害者とはいえ、犯罪者を擁護できないのは十分承知だけど、
何か意味があったのだと思いたい。
そして復讐が完了したあかつきには、彼も破滅を覚悟しているのだと信じたいな。

しっかし、都合のいいときだけ
サイコメトリー発動せず、ってのはずるくないですか！


あんなにばんばん手をつないじゃって、なんか見えないのかよー。
ふたりともしあわせすぎたから、ぽわぽわで発動しなかったのかな……。
スンハがチョン・テソンだって、もうわかっちゃったからいいのかな……。

なんか……なんでみんなこんな？
誰一人しあわせになれないじゃん！
みんな不幸になってくじゃん！
どこまでやっても気が済むことなんて無いんだし！
だって死んだ人は生き返らないんだから！
だからといって、起きたことを簡単には赦したくないし！
どーすりゃいいんだよーーーー！

うう、どんなにつらくても、デートのシーンと教会のシーンはリピートしちゃう。
スンハとヘインが、お互いに惹かれ合ってくれてほんとうによかった。
どんな結果になっても、その思い出だけで、スンハはほほえむことができると思うからさ。