宅配便を配達する人で、ある日こんな人がいた。
「宅配便です」
「はい」
「どこに置いたらよろしいでしょうか?」
「あ、ここにお願いします」
「では、印鑑かサインをお願いします」
「はい」
「ありがとうございました」
「ありがとうございました」
このやりとりの間、全く顔を見ないのだ。
確かに、目を見ないのはわかる。
面接試験のマニュアルだって、話をするときは目ばかりではなく、相手のネクタイのあたりを見るように書いてある。
でも、このやりとりのさなか、ずっと顔を上げずに足元に視線を落としている。
私があらわな格好をしていたとか、ずぼらな格好をしていたとか、特に身に覚えはないのだが。
その宅配便の人は、自分の存在を消すかのように、用事が終わると去っていった。
ドアの閉まる音は、人に届け物をしたというより、物の運搬をしたという音だった。
「宅配便です」
「はい」
「どこに置いたらよろしいでしょうか?」
「あ、ここにお願いします」
「では、印鑑かサインをお願いします」
「はい」
「ありがとうございました」
「ありがとうございました」
このやりとりの間、全く顔を見ないのだ。
確かに、目を見ないのはわかる。
面接試験のマニュアルだって、話をするときは目ばかりではなく、相手のネクタイのあたりを見るように書いてある。
でも、このやりとりのさなか、ずっと顔を上げずに足元に視線を落としている。
私があらわな格好をしていたとか、ずぼらな格好をしていたとか、特に身に覚えはないのだが。
その宅配便の人は、自分の存在を消すかのように、用事が終わると去っていった。
ドアの閉まる音は、人に届け物をしたというより、物の運搬をしたという音だった。