バイブルランドin福井

安田由久が驚くべき聖書の世界をご案内します

陰謀論に振り回されるな・Qアノンを生み出す土壌 

2024-05-04 04:00:00 | ゴスペル・エッセイ
2021年1月6日朝、トランプ大統領の熱狂的支持者たち数百人が

連邦議会議事堂を取り囲み、ホワイトハウスの近くでは

トランプ大統領が数万人もの群衆に向けて演説をしました。

バイデンの勝利を認めない。

票が盗まれた。

選挙を支持した議員を吊るす絞首台を組み立て、

軍用の防弾ベストを着た群衆がなだれ込み異様な風景の中で

ひときわ目を引いたのが「Q」と書いた旗やボードでした。

問題はトランプ大統領が得体の知れないQアノンなる

ある種のカルトを煽っていたばかりでなく、

この熱狂的支持者たちのとんでもない陰謀論が世界中に拡散されていたのです。

日本でも陰謀論の本も発行され、SNSでも拡散され、

Jアノンとも言われていました。

そしてアメリカ大統領選挙が近づくにつれて

またもやQアノンが注目されています。

最近、福井県立図書館で2冊の本を借りました。

1・陰謀論はなぜ生まれるのかーQアノンとソーシャルメディア」

(マイク・ロスチャイルド著・慶応義塾大学出版会)


2・Qアノンの正体(ウィル・ソマー著・河出書房新社)


いずれもQアノンからは天敵とされているジャーナリストが

書かれたもので陰謀論を客観的に分析し、

Qアノンの陰謀論の危険性を指摘している本です。

私もこの本でQアノンのことは大方、理解できましたが、

問題はこの背景にアメリカの右派キリスト教会が

関連していることに危惧を覚えます。

トランプ大統領を生み出した共和党の最大支持母体(右派)が、

アメリカの福音派であり、日本ではキリスト教原理主義ともいいますが、

Qアノンのようなカルトを生み出すものを内包しているのです。

私も10年前まで断食祈祷院(祈りの家マナ)で20年間、牧師をしていましたが、

そこで出会った福音派、聖霊派に内在する多くの問題を体感しました。

主なものだけリストアップしますと、


1・牧師に絶対服従であり、反対意見を封じ込んでしまう

2・事実を確認せず、鵜呑みで事件処理をする傾向がある

3・聖書無謬説(注・01)に立っている

4・戦後再建されたイスラエルを神のみ旨とする

シオニズム(注・02)に賛同している


特にその20年間で忘れられないことがありました。

1999年の夏のことでしたが、私の運営する断食祈祷院に福音派の牧師が

断食祈祷のために来ておられました。

私は毎日、礼拝説教を担当していましたが、イザヤ40章は

第二イザヤが始まることを前提に聖書講義を開始したのですが、

話を始めた途端に席を立ち、すごく怒って帰ってしまいました。

この牧師は遠い奄美諸島の教会から来ておられましたので、

まさかこのことで帰られるに至るとは驚きでした。

イザヤ書は旧約聖書の神学、聖書学からもユダヤ教の立場からも、

第一イザヤ、第二イザヤ、第三イザヤ書と時代区分するのは常識なのですが、

福音派には絶対に通用しないのです。

イザヤ書は預言者イザヤが一人で書いたものだという

まさに聖書無謬節に固く立っておられたのが帰られた真の原因でした。

その後、名古屋市の福音派の集会に参加しましたら、

イザヤ書のメッセージでこの牧師も聖書無謬節に立っていましたので、

その集会では、苦難の僕の講義でしたが、

話の内容に整合性が全くありませんでした。

その時、私は聖書を絶対視する聖書の読み方に物凄い違和感を覚えました。

また福音派ではモーセ五書をモーセが一人で書いたものだとしています。

しかし、申命記を真剣に読めば、モーセが書いたとは

とうてい考えられない背景が見えてきます。

聖書の無謬節がいかに独善的な解釈を生み出し、

聖書に書かれたことを絶対のごとく捉えてしてしまう愚かさを

申命記ほど強く示してくれる書物はないでしょう。

聖書の無謬節に立ち、聖書を勝手に引用して、正当化することは、

同時に聖書を語る牧師の偶像化に繋がる可能性が高いのです。

アメリカ大統領や州知事などの選出でもその選挙戦でのメッセージは、

かなり偶像化が見られています。

そこからQアノンのようなカルトを生み出す土壌となっているのです。

またキリスト教が3割を占める韓国のキリスト教会でも

Qアノンの影響を受けた教会形成が存在するのです。

それは日本でも例外ではありません。

Qアノンに振り回されず、感化されない方法は、聖書を正しく読むことです。

そしてネット情報に左右されず、聖書の言葉をまず刻み込むことです。

そのためには聖霊に導かれる祈りしかありません。


聖書無謬説(注・01)
「聖書」は無謬である(誤りがない)ことを絶対的要件とする前提。キリスト教関連用語としては、神学者、聖書学者、キリスト信仰者が用いる用語。聖書無謬説は、キリスト教関係のキリスト教関連用語として使用されているが、聖書に書かれていることは一言一句にわたって全く誤りがないと説き、しかも聖書をそのままに「文言を鵜呑みにする」ように読むべきであるという教義を、「聖書無謬説」であると定義する神学者と教派がリベラル派に存在する。(ウィキ)

シオニズム(注・02)
イスラエルの地に故郷を再建しよう、あるいはユダヤ教、ユダヤ・イディッシュ・イスラエル文化の復興運動を興そうとするユダヤ人の近代的運動。後者の立場を「文化シオニズム」と呼ぶことがある。(ウィキ)


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