私が2017年に滋賀県高島市で
「古民家ファスティング藤樹の宿」をオープンした目的は、
断食の主流であった「酵素断食」からの脱却でした。
私が断食祈祷院を開設したのは1995年でした。
その時は韓国式水断食(注・01)でしたが、酵素を手造りで作り、
断食祈祷に来られる方たちに提供しました。
その後、この方式が日本の断食施設の中核となっていったのです。
また副食に玄米菜食を用いる断食施設もあり、
多様な断食施設が日本中に多く出現していきましたが、
基本的には水と酵素水で断食の主流でした。
そして私も2015年までは、酵素断食を指導させていただきましたが、
この間、実は2人が断食期間中に召されてしまうアクシデントが起こりました。
当時の断食施設の受け入れは、自己責任を明確にしていましたので
刑事責任は問われませんでしたが、
断食の怖さを味わい知るところとなり、二度と死者を出さないため、
私は玄米菜食を中心とした「超少食」を普及しようと
新たな断食施設を模索して、2017年に「古民家ファスティング藤樹の宿」を
滋賀県高島市の琵琶湖の畔に開設したのです。
しかし、オープンの真の目的は、断食こそ日本の救国になると思ったからです。
すでに日本の食料自給率は先進国中、類をみない低さで、
日本はイザ戦争となればたちどころに飢餓に襲われ、
多くの国民は餓死者が続出することは間違いなく、
断食こそ国を救うと思ったのです。
日本国民が全員、超少食に移行すれば、
餓死は防げるという思いがあり、「超少食」としたのです。
そして最近、図書館で借りた本は、
『食糧危機の未来年表 そして日本人が飢える日』(高橋五郎著・朝日新聞出版)
で、あらためて日本の食糧危機が書かれていました。
日本の公式発表では日本の食糧自給率は38%です。
先進国では異常に低い数字ですが、この本では
その半分の18%が実態で、カロリーベースの自給率は、世界で128番目
たんぱく質自給率だと155位だという、実に驚くべき低さなのです。
日本ではこのような低い食糧自給率だと知っている人も少ないし、
日頃食べている多くの食糧は、
「海外に依存しているな」というなんとなくの感覚はあるようですが、
コンビニやスーパー、レストランへ行けば食べたいものは
すぐにでも手に入ります。
また急激な円安で食料価格が高騰していますが、
日本人の消費者の多くは、「じたばた騒いでもどうなるわけでもなし」
といった諦め感で、飢餓などとは誰に考えたこともないのが実態でしょう。
これまで食糧をここまで海外に依存できたのは、
日本の経済成長とその成果の一部としてため込んだ1兆ドルを超える
潤沢な外貨準備があったがためです。
しかし、日本の毎年の経済成長率は先進国のなかでも0%で、
工業製品が輸出競争力を失いつつあり、輸出に以前ほどの勢いがなくなり、
一方で円安傾向がはっきりしたにもかかわらず
エネルギー需要の世界的な伸びや資源高などから輸入額が大きく伸び、
貿易収支は赤字が拡大し、
黒字が出てもわずかという体質に陥ってしまったのです。
こうして貿易収支が赤字体質に変わったのは、円安や新型コロナの前、
2008年のリーマンショック以後のことで、
以前のように貿易黒字が外貨準備の源泉になる
という時代は過ぎ去ったのです。
また貿易がだめなら直接投資収益が大きいから大丈夫ともいえず、
輸出力の低下は貿易収支と第一次所得収支の黒字を合わせた
経常収支に与える影響が避けられなくなってきています。
このため、経済力が強く世界の隅々から食料を買いあさってこられた
これまでの日本の購買力が落ちることは避けられない時代に入り、
この傾向は今後、ますます強くなることは間違いありません。
では日本政府は有事を想定しているのかですが、農水省のサイトには
それが図解入りで書かれていますが、それを読むと応は甘すぎます。
たとえば主食のコメですが、農水省によると、
コメの政府備蓄量は100万トン程度と決められ、
民間在庫(販売待ちの在庫)を合わせた月別の
保管量(政府備蓄+民間在庫)は月によって変動し、農水省によると、
最多は全国の新米が出そろう11月で450万トン程度、
最少は収穫期が始まる前の8月で200万トン程度と、
250万トンもの差があるのですが、
政府はそれで十分だと太鼓判を押しているようです。
しかし、この量では有事や大災害を想定したものからほど遠く、
「10年に一度の不作(作況指数92)や、通常程度の不作(作況指数94)が
2年連続した事態」が前提としていますので、世の中が平和である時は
これでもいいでしょうが、イザ有事の際にはまったく意味を持たないのです。
日本に直接関係する有事にでもなると、
海外にほぼ100%依存する農業機械向けの石油燃料と
化学肥料や化学農薬の原料は大きな制約を受けます。
今、平均年齢68歳の稲作「高齢者農業」を支えてきたのは、
農業機械化と化学肥料・農薬で、そのほか、ほぼすべてを海外に
依存する超低自給率の小麦・大豆・トウモロコシ、肉類に食用油原料、
野菜類や加工食品、魚介類の輸入も、
平和のときとまったく同じようなわけにはいきません。
四方を海で囲まれた日本列島自体が海上封鎖される可能性もなくはないのですが、
最も懸念される事態は、マラッカ海峡や台湾海峡、
インドネシアからグアムまで膨らんで日本列島に至る
第二列島線(中国が想定する海上軍事線)を通過する船舶のリスクがあります。
アメリカもイザという時に果たして守ってくれるでしょうか。
この危機意識の共有が日本国中にまったくできておらず、
後は関心ある方は、『食糧危機の未来年表 そして日本人が飢える日』を
図書館で借りて、詳しく読んでいただきたいのです。
何度も繰り返しますが、それをすべて解決する方法が
私たちが昨年まで展開してきた「超少食ファスティング」なのです。
それをこれからどのように伝えていくかが問われます。
韓国式水断食(注・01)
私は韓国のオサンリ祈祷院で生まれて初めて断食したのですが、3万人収容できる祈祷院の断食方法は、水だけで時々塩をなめるという方法だけでした。韓国の場合、キムチを日頃の食生活で食べるので、体力維持が可能と分かり、私は1996年から日本で最初の酵素断食を開始したのです。その後、酵素断食は通販で売られるようになり、ブームとなりました。