太った中年

日本男児たるもの

事件簿三話

2011-04-24 | weblog

第一話 発砲事件

上記写真右の男はラーサガ君。親父がマフィアで本人も以前はマフィアの一員だった。現在は近くで建設しているコンドミニウムのセキュリティー。そして叔母さんの食堂へ毎日食事に来る。またバースディパーティーがあると必ず顔を出す生真面目で律儀な性格。それから彼はスゲェかわいい彼女がいるが、妻にも惚れているババエロ(女たらし)である。従ってプリンスと彼はいつかスワッピング(夫婦交換)する約束をしている。

で、それはある日の白昼だった。いつものように米屋の前で煙草を吸っていると目の前を脱兎のごとく少年が走り去って行った。続いてその少年を追いかけるラーサガ君。すると彼はプリンスの目の前で立ち止まり腰から拳銃取り出し、身構え、「パン、パン」2発発射した。突然の出来事で唖然としているプリンスに顎をしゃくり上げるフィリピン流の挨拶をしてラーサガ君は去って行った。後で聞いたところ少年が建設現場から資材を盗み出そうとしたのを発見、追いかけて発砲したそうだ。「少年はどうなった」と聞けば「知らない」とクールに答えた。

弾丸は目的があるからあんなに早く飛ぶんだ。(レイモンド・チャンドラー)

その弾丸はどうなったのだろう。(jet師範)

 

第二話 泥棒事件

上記写真は食堂の売店。で、それはある日の明け方だった。物凄い怒鳴り声と物音が聞こえ飛び起きた。物音は下の食堂から聞こえる。窓から覗くと叔父さんが若い男をはがい締めにして売店から連れ出したところだった。すぐさま若い男が泥棒だとわかった。叔父さんは腰にバスタオルを巻いた裸姿で口のまわりに歯磨き粉が付いていたからシャワーが終わり歯磨きの最中、泥棒に気付いたのだろう。そして泥棒のわき腹に一発パンチをお見舞いした。叔父さんのニックネームはダックスといい、アヒル顔の童顔、体重が100Kg近くある巨体だ。アヒル顔は凄まじい形相で2発目のヘビー級パンチを炸裂させた。ドスンと鈍い音が響く。余程パンチが効いたのか泥棒はモガクのをやめガックリうな垂れた。叔父さんは更に泥棒の首を締め上げ3発目のパンチを喰らわそうとしたところ、バスタオルがはだけ落ちそうになった。捕物中とはいえ誇り高き空軍兵士がデカいイチモツを世間に晒すワケにはいかない。両手でバスタオルを押さえた瞬間、泥棒は逃走した。すると待っていたかのように3台のトライシクルが泥棒を追走、呆気なく御用となった。叔父さんに呼ばれたプリンスは泥棒をバランガイ・ポリス(自警団)の事務所まで連行した。映画のような出来事を肴に朝から宴会が始まったのは言うまでもない。

 

第三話 マカロニ事件

上記写真お鼻ホジホジのワンちゃん横にいる男はコブラ。彼はワンちゃんと同じダバオの出身でセキュリティーの仕事をしている。で、それはある日の夜だった。酔っ払ったワンちゃんが部屋に来て友達と飲んでいるから下の食堂で一緒に飲もうという。そこにいたのがコブラ。彼も出来上がっていてワケワカラン宴会となった。

そうこうしていると酒がなくなり、ではマカロニ・バーへ行こうつーことになって、マカロニのところでワインを飲み、盛り上がったワンちゃんとコブラはマカロニの彼氏の弟と一緒にボブ・マーレーを合唱した。そしてバッファロー・ソルジャーを歌い終わったところでポリス・バスが来た。何か事件でも起きたのか。

ポリス・バスからポリスが降りるとワインを手にしていたコブラにバスに乗れと指示、続いてワンちゃんとプリンスにもバスに乗れと指示した。真っ先に乗ったのはプリンスで酔っ払いのコブラとワンちゃんはポリスに背中を押されてバスに乗った。うるさく騒いでいたから近所から苦情があったのか、まあ、興味津々だった。

バスの中でコブラとワンちゃんは酔いも醒めたらしく終始下を向き無言だった。プリンスが余裕だったのは立ち小便をして捕まり金を払って釈放された日本人を知っていたからだ。警察に限らず、あらゆる役所は袖の下を使えばどうにでもなる、黙っていても向こうから金をタカリに来るのがフィリピン社会なのである。

署に着いてオバサン署長が調書を取る。それで連行した理由を聞くとバランガイ・ルールで12時以降外の飲酒は禁止されてるとのこと。あそこはバーだぜ、つーと、飲んでいたのは道路、軒下で飲めつーことだった。で、遅れて来たマカロニに金を払えば許してくれることをいい、いくら欲しいか聞いてもらったらP500だった。

でもってP500をオバサン署長に渡して解放された。フィリピンのワイロ社会を肌で感じた事件だった。


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