先日、NHKスペシャル『メイドインジャパン逆襲のシナリオ』で日本の半導体産業が衰退した理由を解説していた。
80年代、日本の半導体は世界を席巻していた。
だが、その後米国や韓国に逆転を許してしまう。
理由はいくつかあるだろうが、番組ではその大きな理由の一つが日米構造協議にあるとしている。
冷戦が終結し、米国のソ連への姿勢に変化が見られたことも大きいが、当時の米国の貿易赤字の4割を日本が占めていた。危機感を募らせた米国は、日本の対米輸出を減らす様々な難題を日本に求めてくる。
やり玉に上がったのが車と半導体。
それまで、日本では半導体は産業のコメと言われ、政府による手厚いバックアップ体制があった。
政府はこれを改め、内需拡大へと舵を切る。
日本の半導体業界の成長はストップし、その間隙をぬって韓国、台湾が台頭する。
やがて米国の半導体産業も競争力を取り戻し、現在に至る。
日本の半導体産業は韓国や台湾に負けたのではなく、米国政府に敗れたのである。
前に、東芝の社長が雑誌のインタビューで、半導体の投資に銀行が金を貸してくれなくなったと当時のことを振り返っていた。装置産業である半導体産業で、銀行の投資が受けられなければ、かなり厳しい状況であったことは容易に想像がつく。
輸出を減らすために、米国での生産に踏み切った自動車業界とは明暗を分ける結果となったのである。
番組では、メイドインジャパンの復活には政府の協力が不可欠だとしている。
大切なのはターゲットと環境整備。3Dプリンターや介護ロボットなど、新たな成長分野に集中投資するべきであると。
例えそれらがうまくいったとして、日本は半導体産業の二の舞を防げるのだろうか?
日米構造協議で、日本が米国の要求を受け入れた背景には、日本製品の主な売り先が米国であるという弱みがあった。
スーパー301条に代表される極端な保護主義政策をとられると、日本経済は成り立たない。
では、どうすればいいのか?
中国をうまく利用すべきである。
米国と対立したときは中国と接近するように見せかけ、中国と対立したときは米国とタッグを組む。そんな、高度な外交を含む舵取りが要求されるのではないだろうか?
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