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イアン・マクドナルド

2023-07-13 23:52:43 | others

イアン・マクドナルド Ian Richard McDonald

 【パート】
   サックス、フルート、クラリネット、オルガン、ピアノ、メロトロン、ハープシコード、ヴィブラフォン、シンセサイザー、ギター、ツィター、ヴォーカル

 【生没年月日】
   1946年6月25日~2022年2月9日(75歳没)

 【出身】
   イングランド ミドルセックス州ハウンズロー区オスタリー

 【経歴】
   インフィニティ/Infinity(1968)
   ジャイルズ・ジャイルズ & フリップ/Giles, Giles & Fripp(1968)
   キング・クリムゾン/King Crimson(1968~1969)
   マクドナルド & ジャイルズ/McDonald & Giles(1970)
   センティピード/Centipede(1970, 1971)
   フォリナー/Foreigner(1976~1979)
   21センチュリー・スキッツォイド・バンド/21st Medicine Head(2002~2007)
   ハニー・ウェスト/Honey West(2013~2022)



 イアン・マクドナルドはキング・クリムゾン、そしてフォリナーのオリジナル・メンバーである。
 木管楽器、鍵盤楽器類、ギターなどを操るマルチ・プレイヤーとして知られている。またプロデューサーとしても活躍した。


 1946年6月25日、イアン・マクドナルドは西ロンドンのオスタリーで建築家の父キースと母エイダのあいだに生まれた。
 マクドナルドの生家はいわば音楽一家だったので、幼い頃からレコードで幅広く音楽に親しみ、ギターを独習した。
 マクドナルドはロンドン南西部のバタシーにあるエマニュエル・スクールに入学したが、15歳の時に学校を中退し、英国陸軍の音楽隊で5年間の勤務を開始する。この音楽隊がマクドナルドの音楽のキャリアのスタートである。
 1963年、ネラーホールの王立陸軍音楽学校に入学。そこでクラリネットや音楽理論をマスターし、サックス、フルート、ピアノなども独学で習得した。軍楽隊ではさまざまな音楽のスタイルを身につけなければならなかったが、これがマクドナルドの音楽的適応力を磨くことにつながったと言える。


 除隊後、マクドナルドはロンドンに戻り、ガールフレンドで元フェアポート・コンベンションのヴォーカリスト、ジュディ・ダイブルと一緒に音楽を作り始める。
 1968年、詩人のピート・シンフィールドらと、フォーク・ロック・グループ「インフィニティ」を結成。

 この年6月、ジュディ・ダイブルとともに、メンバーの募集広告に応じてマイケルピーターのジャイルズ兄弟とロバート・フリップからなる「ジャイルズ・ジャイルズ & フリップ」に加入する。その後マクドナルドと破局したダイブルは、7月にはバンドから離れた。
 この後専任の作詞家として、インフニティでマクドナルドとバンドメイトだったピート・シンフィールドがメンバーとなり、歌詞と照明を担当するようになる。


 1968年11月、ヴォーカリストとしてグレッグ・レイクが加入したが、ピーター・ジャイルズが12月に脱退したため、レイクはベーシストを兼ねることになった。こうしてマクドナルドのほかフリップ、マイケル・ジャイルズ、レイク、シンフィールドの陣容が整ったジャイルズ・ジャイルズ&フリップは、同年12月にシンフィールドの提案でバンド名を「キング・クリムゾン」と改めた。
 キング・クリムゾンは、1969年4月9日にロンドンのスピーク・イージーでデビューする。7月5日にはハイド・パークで行われたブライアン・ジョーンズ(ローリング・ストーンズ)追悼フリー・コンサートに出演し、ガーディアン紙から「センセーショナル」だったと報じられた。8月9日には第9回ナショナル・ジャズ・アンド・ブルース・フェスティヴァルに出演し、さらに広く注目されることとなった。


 キング・クリムゾンのファースト・アルバムの制作は1969年6月に始まった。
 プロデューサーの2度の降板などがあって制作は難航したが、同年10月10日にようやくリリースに漕ぎつける。マクドナルドはサックスやフルート、メロトロンなどを駆使してマルチプレーヤーぶりを存分に発揮したほか、作曲でも大きく貢献した。またアルバムの制作にあたっては、マクドナルドはバンドの誰よりも長い時間スタジオで作業していたと言われており、実質彼がアルバム制作のイニシアティヴを取っていたと考えられている。マクドナルドは後年「時の試練に耐えられる音楽を作ることができるかどうか試してみたかった」と語っており、その結果「クリムゾン・キングの宮殿」と名付けられたこのアルバムは、「ロック史に残る傑作」と言われるほど高く評価されることになったのである。
 しかし、ツアーの連続で疲弊しきったうえ、フリップの音楽性との相違もストレスとなり、アルバム・リリース直後に行なわれたアメリカ・ツアーの最中の1969年12月7日に、ドラマーのマイケル・ジャイルズとともに脱退を表明した。


     


 翌1970年、マクドナルドはマイケルとピーターのジャイルズ兄弟とともに「マクドナルド & ジャイルズ」を結成。同年11月にはアルバム『マクドナルド & ジャイルズ』を発表したが、当時の恋人シャーロット・ベイツとの破局をきっかけに精神に変調を来たし、療養のため渡米してしまう。そのためマクドナルド&ジャイルズはアルバム1枚のみを残して活動を停止した。


 療養を終えて帰国した後はセッション・ミュージシャン、プロデューサーとして活動する。
 帰国後最初に参加したセッションは、サックス奏者として参加したT.レックスのアルバム『電気の武者』のレコーディングである。この時使ったバリトン・サックスはメル・コリンズから借りたものだったという。またジョン・ウェットンからの依頼で、キング・クリムゾンの『レッド』にアルト・サックスで参加している。
 そのほかダリル・ウェイズ・ウルフの『カニス・ループス』、アイルランド出身のプログレッシヴ・ロック・バンド、フループの『当世仮面舞踏会』、アメリカのプログレッシヴ・ロック・バンド、ファイアーバレーの『はげ山の一夜』などでプロデュースを担当した。


 1970年代半ば、マクドナルドはニューヨークに移り住み、1976年に再び本格的な演奏活動を再開させる。
 セッションで元スプーキー・トゥースのミック・ジョーンズ(guitar)と意気投合し、新たな構想のもと1976年2月に英米混成バンド「フォリナー」を結成。
 フォリナーの作りだすオーソドックスなロック・ミュージックはマクドナルドの経歴からすると意外とも言えるものだったが、マクドナルドは依然としてバンドのアレンジとプロデュースに大きく貢献した。
 フォリナーは最初の3枚のアルバムを全米トップ5に送り込んで世界的な成功を収めたが、マクドナルドはサード・アルバム『ヘッド・ゲームス』(1979年)を発表した後、ミック・ジョーンズとの音楽観の相違を理由に1980年9月に脱退し、その後は再びプロデュースやセッション活動を行うようになる。


 1995年、アニー・ハズラム(vocal)の呼びかけによって、ボスニア・ヘルツェゴビナ救済チャリティ・コンサートに出演。 
 1996年末、スティーヴ・ハケット(guitar 元ジェネシス)のツアー・メンバーとして来日公演に帯同。セット・リストにはキング・クリムゾンのレパートリーである「クリムゾン・キングの宮殿」や「風に語りて」も含まれていた。
 1999年には旧友マイケル・ジャイルズ、スティーヴ・ハケット、ジョン・ウェットン、ゲイリー・ブルッカー、ピーター・フランプトンら豪華ゲスト陣を招き、50歳を過ぎて自身初のソロ・アルバム『ドライヴァーズ・アイズ』をリリースした。
 2002年にはジャイルズ兄弟、メル・コリンズらとキング・クリムゾンの作品を演奏する21stセンチュリー・スキッツォイド・バンドを結成。しかし2007年にドラマーのイアン・ウォーレスが死去したため、活動を停止。
 2009年、ジュディ・ダイブルのアルバム『Talking With Strangers』に参加し、サックスとフルートで数曲レコーディングした。このアルバムの「ハープソング」ではフリップと再会セッションを行っている。
 2013年、マクドナルドとテッド・ズルコウスキー(vocal, guitar)は「ハニー・ウェスト」を結成し、2017年にアルバム「バッド・オールド・ワールド」をリリースした。
 2017年、ルー・グラム(vocal)やアル・グリーンウッド(keyboard)らフォリナーのオリジナル・メンバーと、フォリナーのデビュー40周年記念公演で再結成を果たす。


 2022年2月9日、ニューヨーク市の自宅で結腸ガンのため75歳で死去。最期は家族に囲まれて穏やかに息を引き取ったという。
 マクドナルドの死去1週間前にキング・クリムゾンのドキュメンタリーの予告編が公開されたが、その中でマクドナルドは1969年にキング・クリムゾンを脱退したことについてフリップに謝罪している。


     


【ディスコグラフィ】(☆=ライヴ・アルバム ★=コンピレーション・アルバム)

 <ソロ・アルバム>
  1999年 ドライヴァーズ・アイズ/Drivers Eyes
  2019年 Take Five Steps

 <ジャイルズ・ジャイルズ&フリップ>
 ★2001年 Metaphormosis ※未発表音源
 ★2001年 ザ・ブロンデスベリー・テープス/The Brondesbury Tapes

 <キング・クリムゾン>
  1969年 クリムゾン・キングの宮殿/In The Court Of The Crimson King(UK5位 US28位)
  1974年 レッド/Red(UK45位 US66位)

 <マクドナルド&ジャイルズ>
  1971年 マクドナルド & ジャイルズ/McDonald & Giles

 <センティピード>Centipede
  1971年 セプトーバー・エナジー/Septober Energy

 <フォリナー>
  1977年 栄光の旅立ち/Foreigner(US4位)
  1978年 ダブル・ヴィジョン/Double Vision(UK32位 US3位)
  1979年 ヘッド・ゲームス/Head Games(US5位)

 <スティーヴ・ハケット>
  1996年 ジェネシス・リヴィジテッド(新約創世記)/Genesis Revisited
 ☆1998年 TOKYOテープス~ジェネシス・リヴィジテッド・ライヴ1996/The Tokyo Tapes
  1999年 ダークタウン/Darktown
  2003年 トゥ・ウォッチ・ザ・ストームズ/To Watch the Storms

 <21stセンチュリー・スキッツォイド・バンド>
  2002年 オフィシャル・ブートレグ Vol.1/Official Bootleg Vol.1
 ☆2003年 ライヴ・イン・ジャパン 2002/Live in Japan ※CD+DVD
 ☆2003年 ライヴ・イン・イタリー/Live in Italy
 ☆2006年 ピクチャー・オブ・ア・シティ ライヴ・イン・ニューヨーク/Pictures of a City - Live in New York

 <ハニー・ウェスト>
  2017年 Bad Old World

 <ゲスト参加>
  1970年 クリス・ハーウッド Nice to Meet Miss Christine
  1971年 リンダ・ルイス Say No More
  1971年 T.レックス 電気の武者/Electric Warrior(UK1位 US32位)
  1973年 ダリル・ウェイズ・ウルフ カニス・ループス/Canis Lupus
  1973年 シルヴァーヘッド 16 and Savaged
  1974年 フループ Modern Masquerades
  1974年 ハービー・マン London Underground
  1974年 キース・クリスマス Brighter Day
  1975年 ファイアーバレー はげ山の一夜/Night On Bald Mountain
  1975年 フィル・マンザネラ Diamond Head
  1976年 イアン・ロイド Ian Lloyd
  1980年 イアン・ロイド 3WC/Ian Lloyd
  1985年 スティーヴ・テイラー On The Fritz
 ☆1998年 ジョン・ウェットン Hazy Monet-Live In New York
  1998年 The Wallace & Trainor Conspiracy Take a Train
  1998年 Wachenröder
  2000年 パーク・スティックニー Action Harp Play Set/Park Stickney
  2000年 Cosmic Rough Riders Enjoy The Melodic Sunshine
  2000年 ジョン・ウェットン Sinister
  2001年 マリア・アントナコス Four Corners No Walls
  2001年 ジョーン・ベンダー Star Eyes
  2003年 イアン・ウォーレス Happiness With Minimal Side Effects
  2003年 Waking In The Blue Isn’t It Pretty To Think So ?
  2004年 Pangaea unu
  2006年 Jakko M. Jakszyk The Bruised Romantic Glee Club
  2009年 ジュディ・ダイブル Talking With Strangers
  2010年 The Third International Beautiful Acciden


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『ホエン・ジ・イーグル・フライズ』(トラフィック)

2023-07-13 10:51:17 | albums

ホエン・ジ・イーグル・フライズ When the Eagle Flies


【歌・演奏】

  トラフィック/Traffic

【リリース】
  1974年9月

【録音】
  1973年7月~1974年6月
  Netherturkdonic Studios(イングランド、グロスターシャー)
  ベイシング・ストリート・スタジオ(ロンドン)


【プロデューサー】
  クリス・ブラックウェル/Chris Blackwell

【エンジニア】
  ノビー・クラーク/Nobby Clark
  ブライアン・ハンフリーズ/Brian Humphries

【レーベル】
  アイランド/Island
  アサイラム/Asylum



【収録曲】(★=シングル)
 side:A
  ① サムシング・ニュー 3:15
    Something New(Steve Winwood, Jim Capaldi)
  ② 夢みるジェラード 11:03
    Dream Gerrard(Steve Winwood, Vivian Stanshall)
  ③ グライヴヤード・ピープル 6:05
    Graveyard People(Steve Winwood, Jim Capaldi)
 side:B

 ★④ ウォーキング・イン・ザ・ウインド 6:48
    Walking in the Wind(Steve Winwood, Jim Capaldi)
  ⑤ ロックンローラーの追憶 4:50
    Memories of a Rock n' Rolla(Steve Winwood, Jim Capaldi)
  ⑥ ラヴ 3:20

    Love(Steve Winwood, Jim Capaldi)
  ⑦ ホエン・ジ・イーグル・フライズ 4:24
    When the Eagle Flies(Steve Winwood, Jim Capaldi)


【録音メンバー】
 ☆トラフィック
   スティーヴ・ウインウッド/Steve Winwood(acoustic-piano, organ, mellotron, synthesizer, guitars, vocals)
   クリス・ウッド/Chris Wood(flute, sax)
   ロスコ・ジー/Rosko Gee(bass)

   ジム・キャパルディ/Jim Capaldi(drums, percussions, keyboards, backing-vocals⑤)
   リーバップ・クワク・バー/Rebop Kwaku Baah(percussions③⑦)※uncredited


【チャート】
 1974年週間アルバム・チャート 
   UK31位、US(ビルボード)9位、カナダ16位、オーストラリア43位


【メ  モ】
 トラフィック通算6枚目のスタジオ・アルバム。(本作以外にライヴ・アルバム2、コンピレーショ・アルバム2がある)
 アメリカではゴールド・アルバムに認定された。
 アルバム発表後にツアーを行ったが、その途中でトラフィックは解散した。

 このアルバムからベースはロスコ・ジーが起用されている。
 またパーカッションのリーボップ・クワク・バーは③「グレイヴヤード・ピープル」と⑦「ホエン・ジ・イーグル・フライズ」の2曲に参加しているが、アルバム完成前に解雇されているためクレジットはされていない。

 クリス・ウッドが作曲した「ムーンチャイルド・ヴァルカン」はこのアルバム制作時に録音されたが、結局アルバムには収録されなかった。しかしツアーでは演奏されており、トラフィックによるライヴ録音が、ウッドの死後2008年に発表された彼のアルバム『ヴァルカン』に収録されている。


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『オン・ザ・ロード』(トラフィック)

2023-07-13 10:15:40 | albums

オン・ザ・ロード On the Road


【歌・演奏】

  トラフィック/Traffic

【リリース】
  1973年10月

【録音】
  1973年4月 ドイツ

【プロデューサー】
  クリス・ブラックウェル/Chris Blackwell

【エンジニア】
  ブライアン・ハンフリーズ/Brian Humphries

【レーベル】
  アイランド/Island


【収録曲】
 side:A
  ① グラッド~フリーダム・ライダー 20:49
    Glad(Steve Winwood)/ Freedom Rider(Steve Winwood, Jim Capaldi)
 side:B

  ② トラジック・マジック 8:30
    Tragic Magic(Chris Wood)
  ③ アンインスパイアード 10:20
    (Sometimes I Feel So) Uninspired(Steve Winwood, Jim Capaldi)
 side:C

  ④ シュート・アウト・アット・ザ・ファンタジー・ファクトリー 6:40
    Shoot Out at the Fantasy Factory(Steve Winwood, Jim Capaldi)
  ⑤ なんとかしてくれ、さもなきゃほっといてくれ 10:30
    Light up or Leave Me Alone(Jim Capaldi)
 side:D
  ⑥ ロウ・スパーク・オブ・ハイヒールド・ボーイズ 17:35

    The Low Spark of High Heeled Boys(Steve Winwood, Jim Capaldi)


【録音メンバー】
 ☆トラフィック
   スティーヴ・ウインウッド/Steve Winwood(guitars, piano, lead-vocals①③④⑥)
   クリス・ウッド/Chris Wood(flute, sax)
   バリー・ベケット/Barry Beckett(organ, piano)
   デヴィッド・フッド/David Hood(bass)
   ロジャー・ホーキンス/Roger Hawkins(drums)

   ジム・キャパルディ/Jim Capaldi(percussions, drums④, lead-vocals⑤, backing-vocals④)
   リーバップ・クワク・バー/Rebop Kwaku Baah(percussions)


【チャート】
 1973年週間アルバム・チャート 
   UK40位、US(ビルボード)29位、カナダ43位、オーストラリア51位


【メ  モ】
 トラフィック通算2枚目のライヴ・アルバム(本作以外にスタジオ・アルバム5、コンピレーショ・アルバム2がある)。2枚組である。
 1973年のヨーロッパ・ツアーのうち、ドイツでのライヴを収録している。
 メンバーに、マッスル・ショールズのバリー・ベケット、デヴィッド・フッド、ロジャー・ホーキンスが加わっている。


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