見果てぬ夢

2009年10月06日 05時27分39秒 | 日記
北海道の日本海側に小高い丘があって、断崖絶壁の向こうには、果てしない海が続く。
そこから眺める夕日は、絶品で 「生きてて良かった~」と 思わず声に出してしまう程、美しい。
陸側を見ると、広大な荒野が続き、な~んにもない。

若い頃、そこを、訪れるたびに、私には、一つの夢があった。

あの土地をぜ~んぶ買い、年寄たちが一つの集合体を作り、理想郷を作ろうと・・・。
頭の中には、一つのコロニーとして出来上がった、ユートピアの風景まで広がり、一人でワクワクしていた・・・。

夢・・・。見果てぬ夢・・・。何処までも続く夢・・・。


まず開墾、皆でやれば疲れない。 つらくない。 こわくない。
それぞれのお部屋を作り、皆が集まる集いの居間(サロン)を作り、出来れば、皆の中の子供に一人位は、医者になってもらい、
いつでも気軽に相談に乗ってもらえるようにする。

それから、牛、うま、羊、やぎ、犬、猫、ウサギ、鶏、などの動物を飼い、
畑を作り 得意な人には教師になってもらい お米も自給自足する。
ヤギや、牛から絞った乳でチーズも作り生産ラインにのせる。
「あそこで作ってるチーズは美味しいよね~安全だし…」なんて評判になったりして・・・。


完全に子供たちからは独立していて、孫たちを連れて休みの日など遊びに来てもいいようにゲストハウスも作り、
維持費程度の宿泊費を頂き、畑や乳搾りなどを体験できるようにする。

そして順送りでコロニー内の高齢者のお世話をし、そしてまたいつかは自分がお世話を受ける・・・。

雨の日や、強風の日は、昔話をしたり、余興をしたり、持ち寄った本で、読み聞かせをやったり、
音楽を聴いたり、演奏したり、歌ったり・・・絵を鑑賞したり、描いたり・・・。
まだまだ楽しいことはたくさんある。

春は、花を愛で生きているすべてのものに感謝をし、農作物の植え付けをする。
夏は、日の光を一杯浴びて海に山に出かけエネルギーをたくさんいただく。
秋は、収穫の時、自分たちが育てた大切な命を頂き自らの命の糧とする。
冬の寒い日は、皆で集い、春を待ちわびる心を話し合う。

その頃の私は、若かったから 私の倍以上も生きてきた人たち、きっと皆が色々な体験経験を持ち寄って 
素晴らしい理想郷が出来るに違いない!と思ってた。

30数年以上も昔から夢見ていた事、  今 高齢者などと呼び、老人人口が多くなり 
それに似た施設も、ぼちぼち出来始めている。
考える事は、皆 似たりよったりなんだなと、最近思う。

そして今、私もそれなりの年に達して、夢は夢で終わりそうな気持になっている。