【冬来りなば春遠からじ】 P・B・シェリー詩
≪…予言の喇叭(ラッパ)を響かせてくれ! おお、西風よ、/冬来りなば春遠からじ、と私は今こそ叫ぶ!≫(「イギリス名詩選」岩波文庫)
≪北朝鮮、「聖地で特異現象」報道 正恩氏の権威づけ狙う──北朝鮮の朝鮮中央通信は21日、金正日総書記の死去の当日や発表日に、中朝国境にある白頭山で湖の氷が割れるなど「特異な自然現象」が起きたと伝えた。死去とこれらの現象を関連づけることで、金総書記と後継者金正恩氏の権威を高める狙いとみられる。 白頭山は故金日成主席が抗日パルチザン闘争の根拠を築いた地で、革命の聖地とされている。北朝鮮は金総書記が生まれた場所とも宣伝している。 同通信によると、金総書記が死去した17日の朝、白頭山山頂のカルデラ湖「天池」で氷が割れ、大音響が響き渡った。気温は零下22.4度まで下がり、周辺は吹雪。「天地を揺るがすような大音響が発生したのは観測以来初めて」という。≫ (12/23 朝日新聞オンライン)
∇相変わらず下手な芝居よりもっと拙劣なる「金正恩様の特異物語」が発せられている。世界中の誰もが「バカな国だ」と嘲笑し、北朝鮮の国民自身も恥ずかしく思っている筈である。──今、あたかも「冬至」を過ぎて「一陽来復」の兆す万物変移の時侯。この「一陽来復」の語は、「易経」復卦から生まれた。「易経」を解釈する上で、経の本文を補翼する10編の書(十翼)があるが、その一に「序卦伝(じょかでん)」という書がある。「易経」総数64卦が組まれたその順序を述べたものである。「復卦」は24番目の卦で、その前の23番目が「剥」卦で、文字通り剥奪の意を含む。「序卦伝」に曰く、≪物は以て尽くるに終わるべからず。剥すること上に窮まれば下に返る。故に之を受くるに復を以てす。≫と。易の原理は、「窮まれば変ずる」である。「冬至」までじわじわ陰の気が増長して物事を萎縮せしめるが、「冬至」より以来、陽気が徐々にかつ確実に盛んになりつつあるのであり、遠からずして春の暖かい季節になるのである。この微妙なる兆しが現れたところが一陽来復である。
∇重要なのは、一陽来復の「冬至」のあと、冬至よりも一層寒い「小寒」「大寒」が来るのであるが、傍目には見えないが、間違いなく陽気が次第に勢力を増しつつあるのだ。こんな時節の処世法はどうすべきか。「十翼」の一、「象伝(しょうでん)」に曰く、≪昔の優れた聖王は、この卦象を見て一陽来復する冬至の日には、関所を閉ざして商人旅行者などの足を止め、自身も巡幸視察をやめて、やがて来る陽気盛大なる時を待ち、その時の準備に勤しんだ。≫と。まさに英国の詩人、シェリーの詩「西風 に寄せる歌」の一節にある「冬来りなば春遠からじ」の意、≪苦境を耐えぬけば、やがて幸福・繁栄の時期を迎えられるというたとえ。≫(「大辞林」)の通りである。クリスマス寒波がこの連休を襲ってきている。昨夜などは寝床が深深と冷え切って堪らなかった。だが、今朝、図書館に行く途中、「二十一世紀の森と広場」の「緑の里」の川端の柳にふと目をやると、上掲写真の如き、春の芽吹きが現前していた。「冬来りなば春遠からじ」。北朝鮮の人民にも、きっと春は来る。この度の金総書記の死去が「剥」から「一陽来復」への変移の時であることを希求する!
≪…予言の喇叭(ラッパ)を響かせてくれ! おお、西風よ、/冬来りなば春遠からじ、と私は今こそ叫ぶ!≫(「イギリス名詩選」岩波文庫)
≪北朝鮮、「聖地で特異現象」報道 正恩氏の権威づけ狙う──北朝鮮の朝鮮中央通信は21日、金正日総書記の死去の当日や発表日に、中朝国境にある白頭山で湖の氷が割れるなど「特異な自然現象」が起きたと伝えた。死去とこれらの現象を関連づけることで、金総書記と後継者金正恩氏の権威を高める狙いとみられる。 白頭山は故金日成主席が抗日パルチザン闘争の根拠を築いた地で、革命の聖地とされている。北朝鮮は金総書記が生まれた場所とも宣伝している。 同通信によると、金総書記が死去した17日の朝、白頭山山頂のカルデラ湖「天池」で氷が割れ、大音響が響き渡った。気温は零下22.4度まで下がり、周辺は吹雪。「天地を揺るがすような大音響が発生したのは観測以来初めて」という。≫ (12/23 朝日新聞オンライン)
∇相変わらず下手な芝居よりもっと拙劣なる「金正恩様の特異物語」が発せられている。世界中の誰もが「バカな国だ」と嘲笑し、北朝鮮の国民自身も恥ずかしく思っている筈である。──今、あたかも「冬至」を過ぎて「一陽来復」の兆す万物変移の時侯。この「一陽来復」の語は、「易経」復卦から生まれた。「易経」を解釈する上で、経の本文を補翼する10編の書(十翼)があるが、その一に「序卦伝(じょかでん)」という書がある。「易経」総数64卦が組まれたその順序を述べたものである。「復卦」は24番目の卦で、その前の23番目が「剥」卦で、文字通り剥奪の意を含む。「序卦伝」に曰く、≪物は以て尽くるに終わるべからず。剥すること上に窮まれば下に返る。故に之を受くるに復を以てす。≫と。易の原理は、「窮まれば変ずる」である。「冬至」までじわじわ陰の気が増長して物事を萎縮せしめるが、「冬至」より以来、陽気が徐々にかつ確実に盛んになりつつあるのであり、遠からずして春の暖かい季節になるのである。この微妙なる兆しが現れたところが一陽来復である。
∇重要なのは、一陽来復の「冬至」のあと、冬至よりも一層寒い「小寒」「大寒」が来るのであるが、傍目には見えないが、間違いなく陽気が次第に勢力を増しつつあるのだ。こんな時節の処世法はどうすべきか。「十翼」の一、「象伝(しょうでん)」に曰く、≪昔の優れた聖王は、この卦象を見て一陽来復する冬至の日には、関所を閉ざして商人旅行者などの足を止め、自身も巡幸視察をやめて、やがて来る陽気盛大なる時を待ち、その時の準備に勤しんだ。≫と。まさに英国の詩人、シェリーの詩「西風 に寄せる歌」の一節にある「冬来りなば春遠からじ」の意、≪苦境を耐えぬけば、やがて幸福・繁栄の時期を迎えられるというたとえ。≫(「大辞林」)の通りである。クリスマス寒波がこの連休を襲ってきている。昨夜などは寝床が深深と冷え切って堪らなかった。だが、今朝、図書館に行く途中、「二十一世紀の森と広場」の「緑の里」の川端の柳にふと目をやると、上掲写真の如き、春の芽吹きが現前していた。「冬来りなば春遠からじ」。北朝鮮の人民にも、きっと春は来る。この度の金総書記の死去が「剥」から「一陽来復」への変移の時であることを希求する!