残照日記

晩節を孤芳に生きる。

会議の法則

2011-12-02 17:05:59 | 日記
【パーキンソンの「会議の法則」】
≪「議題の一項目の審議に要する時間は、その項目についての支出額(重要性)に反比例する」──即ち、仕事や議題の重要性などよりも、自分の関心や分かり易いことに時間・労力を注ぐ傾向にある。難しい問題は避けて通るか、先送りする傾向にある。≫

≪一川防衛相、給与自主返納を検討 続投の意向も強調:一川保夫防衛相は2日午前の記者会見で、米軍普天間飛行場移設問題に絡む田中聡前沖縄防衛局長の不適切発言に対する自らの監督責任について、給与の自主返納を含めた対応を検討していることを明らかにした。田中氏の処分とあわせて判断する。一川氏はまた、1日の参院東日本大震災復興特別委員会で平成7年の米海兵隊員らによる少女暴行事件を「正確な中身を詳細には知ってはいない」と答弁したことについて「知ってはいたが、委員会の場で詳細に説明する事案と異なる」と弁明した。自民、公明両党が閣僚の資質に欠けるとして、一川氏の問責決議案を参院に提出する方針を決めたことには「自分の責任をしっかりと果たしていくことに全力投球したい」と続投の意向を強調した。≫(12/2 産経新聞)

∇自民・公明両党が参議院に一川防衛大臣に対する問責決議案を提出する動きを見せていることについて、社民党の福島党首も訪問先のアメリカで、≪「アメリカ軍普天間基地の移設問題を巡る防衛省沖縄防衛局の前の局長の発言はあまりにひどい」と述べ、一川大臣に対する問責決議案が提出されれば、賛成せざるをえないという考えを示した。≫(12/2 NHKニュース)。問責決議案が提出されれば可決される趨勢にある。──嗚呼、それにしても程度の低い政治家たちよ! 給与の自主返納を検討するぐらいで居座ろうとする防衛相も防衛相だが、こんな重要な時期にマタゾロ「問責決議案」とは。肝心の消費増税法案については、≪ 自民党の谷垣禎一総裁は24日の記者会見で、国会提出前の民主党との協議には応じない考えを示した。自民、公明両党の幹事長、国対委員長らも同日会談し、提出前の協議に応じない方針を確認した。≫(12/1 朝日新聞) ≪仕事や議題の重要性などよりも、自分の関心や分かり易いことに時間・労力を注ぐ傾向にある。難しい問題は避けて通るか、先送りする傾向にある。≫とするパーキンソンの「会議の法則」そのものである。

∇パーキンソンの法則とは、英国の歴史学者・政治学者シリル・ノースコート・パーキンソン(1909~1993)の同名の著書に含まれた警句のいくつかをさしていう。例えば「組織の人員(役人の数)は、仕事の重要性とは無関係に一定の割合で増加する」とか「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」など。実証的法則ではないが、官僚組織の弊害を指摘した。どんな仕事を担当する部署にせよ、役人は部下が増えることを望み、相互に仕事を作りあうという習性があるから、という「増員の法則」はともかく、「会議の法則」は色々な形で未だに生きている。パーキンソンが当時の事例で上げていたのが、①原子炉計画に要する予算(約1000万$)に対する議事時間は2分30秒。②事務職員のための自転車置き場の予算(350$)については1時間15分だった。「凡俗の法則」などとも呼ばれる。原子炉計画に要する予算についてはよく分らない、流れが原子炉推進方向にあるので「賛成」で決着。一方、自転車置き場については議員の誰もが知っている容易な問題である。だから、○○にしたらどうか、否、△△にすべきだ、と1時間も……。(笑)。分る/\。

∇我が国の一川防衛相の問責決議案提出に対しては、野党側の「利害関係」が結束を早めた。余りにも明確に「批判可能」かつ、政権を叩くに容易な格好の材料だからだ。パーキンソンの法則に従うのは「消費増税法案」に関するもの。内容は極めて簡単、いつか増税しなければ財政破綻が来ることは誰もが知っている。もと/\自民・公明が掲げていた。総論賛成だが、選挙民の顔がチラ/\する。パーキンソンの≪難しい問題は避けて通るか、先送りする傾向にある。≫のルールが厳然と効いている。先月の30日の参院本会議で今年度の税制改正法が可決した。だが、≪富裕層の所得増税や相続増税など大型改正のはずだったが、「ねじれ国会」の影響で、主な項目は軒並み見送られた。…実現したのは、認定NPO法人に寄付したときの優遇措置や法人税率の5%引き下げなど。ただ、法人税は復興財源の捻出のため、減税相当額を3年間増税し直す。実際に税率が下がるのは2015年度から。≫(12/1朝日新聞) 何てことはない、皆、先送りだ。米国もオバマ大統領が財政赤字削減や富裕層への増税案の旗振りをやっているが、共和党や茶会の抵抗にあって瓦解しそうである。いずこも同じ師走の夕暮である。寒い/\。