残照日記

晩節を孤芳に生きる。

夫婦の絆

2011-12-06 16:27:40 | 日記
【逆も真なり】 
≪結婚している男がみんな、不幸なわけではないし、幸福なわけでもない。悪い女を手に入れた男の場合は禍であり、立派な女性にめぐり会った男は仕合せなのだ。≫(エウリーピデース「断片」岩波書店版)≪だれが賢い妻を見つけることができるか、彼女は宝石よりもすぐれて尊い。その夫の心は彼女を信頼して、収益に欠けることはない。彼女は生きながらえている間、その夫のために良いことをして、悪いことをしない。…彼女は口を開いて知恵を語る、その舌にはいつくしみの教がある。≫(「箴言」31:10~12&26)

≪出産後冷める愛 夫しだいで保つ──子どもが生まれたあと、夫婦間の愛情はどう変わるのか、およそ300組の夫婦を対象にした、4年間の継続調査の結果がまとまった。出産したあと、夫を愛していると感じる妻の割合が特に大きく減少していくものの、夫が家族と一緒の時間を努力して作っている場合は、妻からの愛情を保てる傾向があることが分かった。これは、民間の調査機関のベネッセ次世代育成研究所が、全国の288組の夫婦を対象に行い、「配偶者といると、本当に愛していると実感する」割合を、妊娠中から子どもが2歳の時まで継続して調べた。それによると、妊娠中は、夫も妻も「愛していると実感する」のは74.3%で、差はなかった。ところが、出産すると「夫を愛していると実感する」妻の割合は大きく減少し、子どもが0歳の時は、およそ30ポイント下がって45.5%。1歳の時は、さらに9ポイント近く下がって36.8%。2歳の時は、さらに下がって34%となった。

一方、「妻を愛していると実感する」夫の割合は、子どもが2歳の時に51.7%あり、妻に比べて減少幅は緩やだった。また、「妊娠した時」も「子どもが0歳になった時」も、変わらずに夫を愛していると実感する妻の調査結果を調べると、「夫は家族との時間を努力して作っている(79.9%)」「私の仕事や家事をねぎらってくれる(71.5%)」などと感じている割合が高く、家族と一緒に過ごす努力や、妻をいたわることばが、愛情を保つ大切な要素になっていた。調査に協力したお茶の水女子大学の菅原ますみ教授は、「今、赤ちゃんに触れるのは自分の子どもが初めてという母親が半数に上る時代で、母親の育児のスキルが低くなっている。一方、夫はというと仕事に忙しく、育児に苦労する妻をサポートできないため、妻からの愛情の低下につながっている。地域や親など、さまざまな協力を得ながら、互いにねぎらい合い、育児の役割分担をすることが、愛情が冷めないコツだ」と話している。≫(12/5NHKニュース)

∇要するに「観無量寿経」にある“和顔愛語”(わげんあいご)が大切。和やかな顔をして、愛情のある言葉を使え。特に子育ての最中には≪育児の役割分担≫と、機を見て滋味ある「愛語」を発せよ、ということだろう。このお互いを思いやる気持や行動は、≪出産後≫数年に限らない。結婚年数が経つほど所謂「夫婦間の恋愛感情」は薄れてくる。妻は子供に、夫は日々の仕事に追われる。当然のことだ。それ故にこそ、ふとお互いに終生のパートナーのことを思いやり、「愛語」を忘れぬようにしたいものである。道元禅師曰く、≪向かいて愛語を聞くはおもてを喜ばしめ、心をたのしくす。向かはずして愛語を聞くは肝に銘じ、魂に銘ず。知るべし、愛語は愛心よりおこると。愛心は慈心を種子とせり。…愛語よく回天の力あり。≫(正法眼蔵) 道元の言うように愛語は、日頃から“愛語をを好む”ことによりふとした時に現前する。愛心や慈心も、“善い言葉”を好むことから生まれるということだろう。≪現在の身命の存する間、好んで愛語すべし。≫

∇気管支肺炎を患っていた天皇陛下の体調が回復し、本格的な公務復帰が可能と判断された。天皇陛下御回復の裏側に、美智子妃殿下との並々ならぬ厚い夫婦の絆が感じられる。TVで垣間見るお二人の仲睦まじさはいつ見ても爽やかだ。全くの余談ながら、過去の切り抜き帳を整理していたら、2004年10月20日付毎日新聞の「(妃殿下)70歳の誕生日迎え文書回答」という記事があった。≪【質問1】70歳のお誕生日おめでとうございます。お生まれになってから、さらには天皇陛下と結婚されてからの45年余を振り返りつつ、喜びや悲しみ、印象に残った出来事などをお聞かせください。【回答】古希を迎え、両親に育てられ、守られていたころが、はるかな日々のこととして思い出されます。家を離れる日の朝、父は「陛下と東宮様のみ心にそって生きるように」と言い、母は黙って抱きしめてくれました。…≫ 美智子妃殿下の母・正田富美子さんは「黙って抱きしめ」られた。「愛語」の究極は「不語」の形で表れる。