残照日記

晩節を孤芳に生きる。

スーチー女史

2010-11-14 08:06:46 | 日記

○師の道の良しと思はば汝、今、
   志すべし画(限)るべからず(雍也第六より) 楽翁

∇ミャンマー民主化運動のリーダー、アウン・サン・スー・チーさんの自宅軟禁が13日、7年半ぶりに解除された。女史の支持者への最初の挨拶は「有難う!」だったそうだが、先ずは「おめでとう!」。たゞ、<ミャンマーの軍事政権は、軟禁解除に条件は課していないとしているが、スー・チーさんの自由な政治活動を認めるのか疑問視する声も出ている>。(11/14 NHKオンライン)それにしても不当な権力に毫も屈せぬ“鉄の女”だ。マザー・テレサとアウンサンスーチー女史は老生が尊敬おく能わざる女傑たちである。

∇女史は周知のとおり、ガンジーの非暴力主義思想を受け継ぎ、「ミャンマー独立の父」と称され国民に慕われた父親アウンサンの遺志を実践する国民民主連盟(NLD)の総書記であり、1991年にノーベル平和賞を受賞された。何度も軍事政権に対する「権力への反抗」を野外集会で行い、積極的な遊説活動を展開して度々自宅軟禁されている。彼女は演説を通して、民主主義を勝ち取るためには為政者は勿論のこと国民の高い見識が欠かせない、と何度も何度も真摯で情熱的かつ格調高い言葉で迫った。──

<人は全て死にます。死を恐れるということは、自然なことです。しかし考えてみると、いつか人は皆死にます。死にたくないといってもどうしようもありません。ですから生きている間に多くの人々のために行動したとするならば、死んでも死に甲斐があります。(中略)だからこそ、私達は全て、死ぬ前に、後世の人々のためになることを考えなければなりません。(現状を)修復していくといっても、急にできるものではありません。まず、そこなわれた品行から正していかなければなりません>「アウンサン・スーチー演説集」(みすず書房版)

∇「死に甲斐=生き甲斐」、「人々のために働く」、「品行から正す」。女史は演説で繰り返し繰り返しこれらの言葉を使い、皆が道徳的にレベルの高い国民になって、「良き指導者を選び、本当に良き指導者であるかをチェックし、彼が変節したらすみやかに解任する」ことが国民の責任だと訴える。特にリーダーたる「ルージー(為政者)」に対しては「論語」でいうところの“聖人君子たれ”と絶叫している。国民に国政を信託された為政者や、企業・官庁をはじめとする組織のリーダーたちには、彼女に倣い、「ノーブレス・オブリージ(高貴な者には責任が伴う)」の自覚と実践を願いたいものである。そして我々国民も……。

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