残照日記

晩節を孤芳に生きる。

現状位置

2011-04-09 15:39:31 | 日記

【独楽吟】 橘暁覧(=江戸末期の歌人・国学者。福井の人)

○たのしみは妻子むつまじくうちつどひ頭ならべて物をくふ時
○たのしみはまれに魚煮て児等皆がうましうましといひて食ふ時
○たのしみは家内五人五たりが風だにひかでありあへる時
○たのしみは三人の児どもすくすくと大きくなれる姿みる時
○たのしみはあき米櫃に米いでき今一月はよしといふとき

<内閣府が8日発表した3月の景気ウオッチャー調査によると、3カ月前と比べた街角の景況感を表す現状判断DI(指数)は前月比20.7ポイント低下の27.7、2~3カ月先の見通しを示す先行き判断DIは20.6ポイント低下の26.6と大幅に悪化、ともに過去最大の落ち込みを記録した。これを踏まえ、内閣府は「景気は東日本大震災の影響で急激に厳しい状況に陥っている」との基調判断を示した。>(4/9時事通信)

∇内閣府発表の「平成23年3月調査結果(抜粋)」によれば、景況感低下要因は次のとおり。【家計動向関連DI】は、物流の停滞による商品入荷不足、消費マインドの冷え込み・自粛ムード、計画停電による営業時間短縮の影響で大幅に低下した。買い控えや飲食・旅行・宿泊分野でのキャンセルの続出がみられた。【企業動向関連DI】は、生産設備等の損壊や取引先企業の被災、原材料・資機材の供給不足や入荷の遅延、原燃料価格の高騰によるコスト上昇、計画停電の影響などにより、生産活動に支障を来していること等から大幅に低下した。【雇用関連DI】は、震災後に企業が先行き不安感を持っていること、一部の企業で採用や求人の見直し・延期がみられること等から、大幅に低下した。──又、NHKの最新企業100社アンケートでも、震災被害を受けた企業は95社、部品や商品の調達に「影響がある」が84社、計画停電について「影響がある」が81社と、震災が経営に深刻な影響を与えている実態が浮き彫りになっている。

∇現在までに震災の影響を受けて倒産した企業の数は、少なくとも17件に上り、負債総額は190億円を超えた。倒産件数は今後、大幅に増える恐れがある。大震災後早くも一ヶ月になる。新聞の切抜きを机上に並べて、眼前に横たわる問題点をランダムにざっと拾い出して整理してみることにした。先ずは何を差し置いても、今尚引続き発生している余震の覚悟だ。専門家の予測では、大震災の影響で各地で地震活動が活発化しており、これからも誘発地震は続く、という。マグネチュード8クラスもあり得るとの指摘がある。いずれにせよ、「広義の余震」「双子地震」による巨大地震の再来は“想定内”とし、まだ半年~数年間警戒すべし、とされる。個人的防災対策には手が抜けない。緊急課題とされるのは復興シナリオだ。手近なところから述べれば、義援金の配分について。日赤や中央共同募金会に集った約1300億円分の第一次配分基準額が決まった。死亡・行方不明35万円/人、住宅全壊35万円/戸・半壊は18万円etc etc どれだけの慰労効果に繋がるか。

∇復興財源をどうするか。<内閣府は大震災の直接的な被害だけで16兆~25兆円に達すると試算した。…数次にわたる補正予算の規模は10兆円を超えるとの見方も出ている>(4/2 日経)。政府の第一次補正予算案は規模4兆円超の見通し。国債を発行せずマニフェスト見直しと年金向け財源を活用する方向で検討中だが、震災国債を発行し、日銀が引き受ける案や増税已む無し論も燻っている。復興後の「東北地域未来都市」は、行政・医療関係等重要機能の“集中と分散”をバランスさせた、津波被害を回避する“高台都市構想”が、菅総理の口から発言されている。将来のエネルギー政策、特に原子力発電の位置づけや放射能汚染地区の今後等々を絡み合わせた綿密な具体策は煮詰まっていない。尚、放射能汚染問題は深刻で、現在の住民避難目安の安全距離・30キロ圏の是非と、風・地形による「飛び地汚染」や農地等土壌汚染、そして漁業問題等々はこれからだ。

∇又、原発電問題は、<2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減する>という政府目標の変更を余儀なくされ、世界的規模での原発反対潮流を受けて、温暖化対策そのものゝ根本的見直し論に発展するだろう。原発撤廃か、原子炉の安全対策強化による持続か。代替電力に何を活用するか。それは世界的緊急課題だ。尚、国内の消費電力への対策は、計画停電から節電方式に重点が移った。夏場の停電が大きな山場で、大口需要には25%減、小口需要家は20%減、家庭用は15%減の節電目標が設定される見通しである。福島第一原発等での事故処理は未だ継続中で、予断を許さない状況が続いている。終息するのはいつだろうか。見通しが立たないことも影響して、風評被害は相変わらず減らない。放射線のリスク評価を専門家の衆知を集めて確定すること、特に食品の安全基準の見直し等を急ぐ必要がある。

∇この度自衛隊の貢献度は大きい。<全自衛隊員の半数近い10万人超と500機を超す航空機や50隻の艦艇も機動力を発揮している>。(4/9 朝日)長期戦に備え、隊員の確保・交替の用意周到さ、そして日本の防衛以外の国連平和維持活動等の海外任務との絡み合いも十分考慮されねばならない。「将来の自衛隊像」も並行して議論されるべきであろう。まだ/\色々な問題・課題が浮き彫りにされているが、最後に政治について。震災復興に向けて与野党の「大連立」の動きが取沙汰されている。この際、民主・自民が手を携えて「挙国一致」で国難に当るべきだ、否、自民党は<健全な野党として対応する>(谷垣氏)、戦時中の「大政翼賛会」の如くならないために、時限組織からなる「与野党協議会」方式で行くべきだ。etc etc 関係者が互いに模索中である。外交政策は暫く置き去りか? 個人的には、改めて人生について、特に今回のような突発的な大惨事到来を想定した処世法について真剣に模索・考究している。……


最新の画像もっと見る