∇天地は不仁なり。万物を以て芻狗(すううく)と為す。
聖人は不仁なり。百姓(ひゃくせい)を以て芻狗と為す。(「老子」)
※芻狗とは、お祭りに使う藁人形のこと。祭りが終われば捨てられる。
※百姓とは、すべての民・人々。今生きているすべての人々。
∇意訳──天地自然は一見すれば、まさに不仁なものだ(=慈しみなどない)。万物を、さながらお祭りが終われば路傍に捨てられ、顧みられることのない芻狗の如く扱う。聖人も然り。人民に慈愛を施すどころか知らん振りだ。
∇仁とは慈愛、博愛、恕(思いやり)。「不仁」は、こゝでは「大仁」の意。深意を熟察すべき名言である。自然は悠久の時間帯の中でゆっくり動いている。