残照日記

晩節を孤芳に生きる。

人口&食料

2011-03-02 21:01:22 | 日記
≪大雑把にいえば、世界の国々は三つに分けることができる。体重を増やさないことに多額の金を費やす国、生きるためにたべる国、次の食事がどこで手に入るかさえもわからない国の三つである≫(D・S・ランデス著「強国論」竹中平蔵訳)

<人口は、制限されなければ、等比数列的(幾何級数的)に増大する。生活資料は、等差数列的(算術級数的)にしか増大しない。><=世界の人口を、任意の数、たとえば10億とすれば、人類は、1、2、4、8、16、32…などの比率(等比数列的)において、また生活資料は、1、2、3、4、5、6、などのよう(等差数列的)に増大するだろう。><その結果、貧しいものは、さらにわるい生活をしなければならないし、またかれらのうちのおおくのものは、きびしい困窮を余儀なくされなければならない。労働者の数もまた、市場における仕事の割合をこえるから、労働の価格は低下の方向に向かわなければならないし、他方、食糧の価格は、同時に、上昇する傾向があるであろう。>。(マルサス「人口論」中公文庫版)

∇国連人口基金データによれば、2010年現在の「人口の多い国トップ10」は、1位 :中国 13億5410万人/2位 :インド 12億1450万人/3位 :アメリカ 3億1760万人/4位 :インドネシア 2億3250万人/5位 :ブラジル 1億9540万人/6位 :パキスタン 1億8480万人 /7位 :バングラディシュ 1億6440万人/ 8位 :ナイジェリア 1億5830万人/9位 :ロシア 1億4040万人 /10位 :日本 1億2700万人 。中国とインドで、世界人口全体(192国と42地域ある)の4割!、 上位10ケ国で6割を占めている。尚、ヨーロッパのEU27カ国は、合計で4億9千万人。因みに人口の少ない国トップ5は、1位 :ツバル0.9万人/2位 :ナウル共和国1.2万人/3位 :パラオ共和国2.1万人/4位 :サンマリノ共和国2.9万人/5位 :モナコ公国3.3万人   

∇貧富の差の一例=100万ドル以上の金融資産を持つ人が、世界で950万人、日本に148万人、 北米・欧・日で9割以上を占める。(メリルリンチ推計06年末時点) 上位から20%の富んだ人がモノの86%を消費し、貧しい20%の人の消費はわずか1.3%(国連調べ) 5人に1人、子どもも含め、12億人がひどく貧しい状態で、1日1ドル未満で生活し、 5億人が飢餓か、栄養不足に苦しんでいる。──昨年10月1日に実施した平成22年国勢調査の速報値によれば、日本の総人口は1億2805万6026人で、17年実施の前回調査から約28万8千人増とほぼ横ばい。都道府県別で人口が増加したのは東京、神奈川、千葉など9都府県だけで、大都市圏への集中と地方の減少傾向が顕著になった。世帯数は45都道府県で増加し、初めて5千万を突破した。(2/25 産経新聞)

∇<2050年には人口25%減、約6割の地点で人口が半減に 国交省長期展望>──国土交通省は21日、過疎化や人口減少がこのまま続いた場合、2050年に、日本の総人口が05年より25%超減り、人口が半分以下になる地点が全国の6割以上にのぼるとの長期展望を取りまとめた。三大都市圏に人口が集中する一方、少子化で人口1万人以下の市町村の人口が激減すると予想した。生産人口が減れば、国力の低下につながるだけに、政府には早急の少子化対策が求められる。──展望では、50年の総人口は05年より25・5%減少し9515万人になると試算した。うち、15~64歳の生産年齢人口は4930万人(05年比41・6%減)となり、人口に占める比率は14・3ポイント減の4930万人に減る見通し。一方、65歳以上は3764万人と全体の4割を占めると予想した。>(2/21 産経新聞)

∇<食料需給見通し> 農林水産省による2020年までの世界の食料需給の見通しによれば、途上国・新興国の人口増と所得向上による食生活の変化で増え続ける食料需要に増産が追いつかず、食料の不足傾向が強まると分析。需要面では、人口増に加え、中国など新興国で肉や乳製品、卵、油脂類などの消費が増え、その生産に必要な飼料穀物や大豆の需要が増加。米国などのバイオ燃料向け需要も伸び、穀物消費量が急増。一方、生産面では地球温暖化による洪水や干ばつなどが頻発、水資源の不足も深刻化。単位面積当たりの収穫量が伸び悩むため、穀物生産は需要増大に追いつけず、08年で国連食糧農業機関が危険水準とする17%を下回り、15%まで低下するとみている。(2/18 毎日新聞 )

∇<食料高騰、打つ手見えず 「新興国vs先進国」利害対立、G20揺さぶる>──国連食糧農業機関(FAO)によると、今年1月の主要食料価格指数は2008年6月を上回り、過去最高の水準に上昇した。①最大の理由は、新興国需要の急増だ。なかでも中国では、飼料用にも使われるトウモロコシの輸入量が3年前の20倍超に激増。自給している小麦も、「いずれ輸入国になる」といわれている。②そこに先進国の金融緩和による世界的なカネ余りが拍車をかけた。景気回復に手間取る日米欧は超低金利政策を続け、「過剰な流動性」の供給で膨張した投機マネーが、商品市場に流れ込んでいる。──食料価格高騰は中東諸国で相次ぐ政変の一因とも言われている。(1/19毎日新聞他)

∇マルサス「人口論」の予言は“当らずとも遠からず”で、世界全体で見れば人口は幾何級数的に伸び、食料事情は算術級数的にしか延びず、世界に於ける物質享受に対する裨益格差は、益々拡がっている。日本の人口減は寧ろ望ましい姿なのかもしれない。技術力や教育の質を高め、食料自給率を上げる。人口は5000万人程度まで減少することを放置する。問題は高齢化率と長寿大国の返上だが、北欧諸国に範を求め、「スモール・イズ・ビューティフル」の小国家主義を目指す。競争するのは技術力と教育の高さのみ。暫くは杞憂せずとも現在程度の経済力は保てる。人口が減っても経済規模が激減せぬ限り、「一人当たりGDP」は影響を受けない。

∇因みに人口超大国10傑を、国民の富を示す代表指数の一つである「一人当たりGDP」(09年度)でみると、現在断トツなのが世界で6位の米国と8位の日本である。米国が46000ドル、日本は40000ドル。続くのがロシア・ブラジルで日本と比較すれば5分の1、中国・インドネシアが10分の1、インド・パキスタン・ナイジェリアは40分の1、そしてバングラディシュにいたっては80分の1である。「国富」は人口規模の多少によらず、技術力や教育水準の高さが生産性・競争力を規定していることを示唆している。されば、2050年に日本の人口が世界17位になることで悲観する必要はさら/\ない。少子高齢化に微銭を投ずるよりも、「教育・技術立国」を将来像に据えることが“食料危機─人口減”への脱却コンセプトではないだろうか。


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