残照日記

晩節を孤芳に生きる。

民意の行方

2011-07-17 16:38:52 | 日記
【戦略は見えざるもの、戦術は見えるもの】
≪老子曰く、「相手を弱めようと思ったら、しばらくは強がらせて増長させよ。又、相手から奪ってやろうと思ったら、しばらくはこちらから施して与えるにかぎる。こういう戦略を「微明(びめい≒深謀遠慮)」という。魚は淵より脱すべからず。国の利器(統治法)は以て人に示すべからず。(手の内は相手に知らせるな)」と。≫(「老子」第36章)

【古代インドの帝王学】
≪王権は助力者により完うされる。車輪は一つのみで転ずることはできない。それ故、大臣たちを任命し、彼等の意見を聴くべきである。(では、どのような者を大臣に任命すべきか)某人A曰く、「共に学んだ人々を大臣に任命すべきである」と。否、某人B曰く、「彼らは共に学んだ仲間であるから、王を軽蔑する。むしろ、自分と共通の秘密を有する人を大臣に任命すべきである」と。王が多くの人々に秘密を告げれば告げるほど、その行為により無力となり、それだけ多くの人々の支配下に帰す。──大臣の任命熟慮すべし。≫(カウティリヤ「実利論」岩波文庫より)

≪自民党は、報道機関の論調を調べ、内容に問題があれば対抗措置を講じる「メディアチェック」の担当議員を新設した。菅内閣の支持率が著しく低迷しているのにもかかわらず、自民党の支持率が思うように伸びない原因の一つに報道機関の自民批判の影響があると見ているためだが、“八つ当たり”気味の対応には党内から疑問の声も出ている。…主にテレビ報道を点検し、事実誤認や公平性を欠く内容があれば、局側に抗議したり、放送倫理・番組向上機構(BPO)などの第三者機関に申し立てたりする方針だ。メディアチェックの導入は、石原幹事長が主導した。衆院の当選回数別の懇談会で、若手から「なぜ党の支持率が上がらないのか考えるべきだ」との意見が提起された際、石原氏は「自民党を批判するテレビのコメンテーターが悪い」と、テレビ報道に強い不満を示したという。…党内では「メディアに責任をなすりつけるようでは支持回復はおぼつかない」(中堅議員)と冷ややかな声もある。≫(7/17 読売新聞 )

∇我が「政治改革」論も、「国民投票」をはじめとする国民参加の諸方法を論じたり、選挙制度の改革などを述べる段階に来ているのだが、政局が目まぐるしく動いているので、ついそちらに興味がひかれて(?)話題がそれてしまう。今回もお許しを!──さて、菅内閣がメタ/\の瀕死状況下、自民党の支持率の上がらないことにやっと気づき、首脳陣が焦りだした。“メディアチェック”なる愚行は、森内閣末期など、党の支持率が著しく低迷した際、報道対策として取られるケースがあった、という。石原幹事長は日本テレビ記者の出身だそうだ。彼が、≪自民党の支持率が思うように伸びない原因の一つに報道機関の自民批判の影響があると見ている≫そうだが、「ダメ菅」「スッカラ菅」「戦後最悪の菅内閣」「党の体をなさない民主党」等々民主批判に比べたら、寧ろ報道機関の自民批判など甘すぎるくらいだ。手元に新聞数紙を広げ、最近の読者の「声欄」などをざっと読んでみれば、支持率の上がらない理由は一目瞭然、氷解するはずである。ヒントの一つに「プルーターク英雄伝」の次の話がある。石原幹事長が、人間心情の複雑性という点に気がつけば大したものだが……。

∇人気は妬みの反作用を生じさせることがある。古代アテネには、市民達にとって、この人がいては国のためにならないと思う人の名を貝殻に書き付けて投票する、という“貝殻追放”の制度があった。アリスチデスという信望の厚い政治家がいた。彼が町を歩いていると、見知らぬ一人の賎しい男が、袖を引きとめてこう言った。「旦那、すまんがワシは字が書けねえ。ちょっと書いてもらいてえ」と貝殻を差し出した。アリス「何と書けばいいのか」 男「アリスチジス」 アリス「……何故その男を追放しようと思うのか」 男「なあに、特に理由はないが、あんまり皆がアリスチジス/\と褒めるのを聞くのがうるさいからサ」。アリスチジスは、苦笑しながら黙って自分の名前を貝殻に書いてやった──。これとは逆に、メディアや野党が、あまりに「ダメ菅」「スッカラ菅」「戦後最悪の菅内閣」等々と騒ぐと、何もしないで敵失ばかり狙い、国会質疑で「菅おろし」しか言及できない狡猾無能な野党に、「国民」の鋭い目がそれを見抜き、弱者・菅直人首相への同情心が沸いて、集中批判への反作用現象が起こることもあり得る。民意は微妙なるもの。尚、民主党内でも、鳩山氏が「親小沢」路線を鮮明にして結束を強化する由の報道が入っている。これ又愚の骨頂。又、≪首相、9月国連総会意欲 演説草案作成指示 8月退陣封じ≫(7/17産経新聞)とか。はてさて、どうなることやら…#%$&*!???


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