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TEAC UD-301 長期利用レビュー:上品な音がするDAC付きヘッドホンアンプ

2020年11月10日 | ヘッドホン、音響関連


UD-301オープンボックス

TEAC UD-301は据え置きDAC付きヘッドホンアンプとしてのグレードを示し
普通のポータブルシステムとは明確な差を表した
例え同社のHA-P90SDと比べても、音の余裕さと全体的な性能ではUD-301はやはり上である
同社の上位機種であるUD-503と比べると、AKM4490とPCM1795の音の傾向が違うため一概には言えないが
UD-301のヘッドホン出力はUD-503に及ばないが解像度と分離度などの基本性能は同レベルであった

UD-301のヘッドホン定格出力は100mW/32Ωであるが、密閉型ヘッドホンでの利用経験ではスペース以上のパワーと余裕さを感じさせた
新品の価格は3万円で、DAC出力能力は優れており、出力インタフェースも充実している
ホームシステムの入門機としてとして私はUD-301を強くお勧めする


UD-301はサブのヘッドホンシステムとしてノートPCに繋ぐ


UD-301の正面


UD-301の裏面、RCA/XLRラインアウトと出力可変(プリアンプ機能)のスイッチがある
入力はUSB、光デジタルとコアキシャル


Androidスマホ+ONKYO HF Playerで、USB OTG接続でPCM/DSD再生ができた

世の中TEAC音と呼べるものがある

UD-301は確かにフラットよりで色付けの少ない音であるが、無色無味ではなくモニターライクにも違う
無色無味の裏の意味合いには、音が薄くダイナミック感が足りないことも含まれるが、UD-301はそうではなくTEACサウンドである
TEACサウンドというのは色付けがそこまでしないがしなやかで上品である、優れた解像度と繊細さを十分に発揮することで音楽とボーカルの本質を伝わる
これはDACであるUD-301だけではなく、自分が持ってたスピーカーのTEAC S-300HRにも感じたこと
色付けと艶自体はONKYO程ではないが、繊細かつ上品な音を静かに流していく


SONY MDR-SA3000との組み合わせ


SONY MDR-Z7との組み合わせ


Audio-Technica ATH-W1000Xとの組み合わせ


Audio-Technica ATH-W1000との組み合わせ


Audio-Technica ATH-AD1000との組み合わせ

UD-301のヘッドホンアンプ性能

UD-301のヘッドホンアンプ性能は高速、正確、高解像度である
ヘッドホンアンプは100mW/32ΩのCCLC(Coupling Capacitor Less Circuit)構成のヘッドホンアンプであり、L/R出力回路の分離は徹底してある


写真はmy-hiendの記事より引用:ヘッドホン出力基板の裏

6.3mmのジャックであるが、内部の写真に参照するとジャックまで四つの接点に繋いていた
普通の3極ジャックだと3接点で足りるはずだが、4接点だともしかしたら6.3mmのジャックは標準の3極ではなくL/RのGND分離の4極かもしれない
公式サイトの説明文にもデュアルモノーラル構成を強調したので、回路にもその証拠を表している
残念ながら僕は6.3mm 4極のプラグを持っていないので検証しようがないが
L/RのGND分離を利用できれば、バランス出力に負けないレベルのヘッドホン出力性能が得られると思う

話はヘッドホン出力の性能に戻そう

手持ちのヘッドホンではUD-301に繋いで、ほぼ全部が良い音を出している
特に美しく相性抜群と思ったのはSONYのMDR-SA3000とオーディオテクニカのATH-AD1000PRMとATH-AD2000/ATH-AD2000X
密閉型ヘッドホンのATH-W5000、ATH-W1000XとATH-A900XLTDも結構良い音がした
やや合わないと思ったのはATH-W1000、こいつに似合うのはKORGのDAC機会があればまた記事を書こう

そう、オープンエアー型ヘッドホンには特に相性が良さそうである
オープンエアー型ヘッドホンは通常の低域が弱めだが
UD-301に繋いたら低域のスピード感が良くヒートスポットも的確、高解像度のエッジも明確
低域の量こそは増えてないが表現力が良くなる感触があった
中域は前述の通り色付けは薄いだがひらったいスカスカな音ではない、ちゃんと芯があってほんのり暖かい
ボーカルでは艶ではなく透明感と繊細さで勝負!のようなスタンスを構えるのは正にTEACらしい
高域の広がりは非常に良く透明度に優れていて透き通るイメージがとても強い
これらはUD-301だけではなく、自分が聴いたHA-P90SD、UD-501 、UD-503はすべて同じ傾向であった

UD-301ヘッドホン出力の限界を知りたくて
音圧感度がやや低めのSONY MDR-Z7で聴くと自分が長く使っているFOSTEX HP-A8と何となく似ている
勿論、MDR-Z7専用と言われる程のUD-503のバランス出力に及ばず、程々合格ラインをパスした程度だ
出力の限界なのか、セパレーションと音場の構築はやや緩め明確さは少し足りない
しかし高域の解像度と広がり、クリア感は依然として素晴らしい
まあこれは出力の限界だな、100mW/32Ωでは高音圧感度の日系ヘッドホンに一番に合うかもしれない
かと言って、同じ低音圧感度のSONY MDR-SA3000は意外と良い音がする
もしかしたらオープンエアー型の為低域の音場感はそこまで目立たないかもしれない

DAC心臓部であるPCM1796の素質はAKM4490と同等

UD-301の内部構造を覗いてみるとしかっりしている
トロイダルコア電源トランスを採用して、USB電源とスイッチ電源を使う廉価DACと一線を画す
デジタル入力は専用の基盤でメイン基板と物理的に分離している、ヘッドホンアンプ部も独立基板となっている
今時のピュアDACとして、気を付けるべきところは全部対策しているという老舗メーカーならの安心感がある
DACなのに平均消費電力が10Wの所から、予想よりも色んな処理を内部で行われる様子が伺える

では、何故3万円でこれだけの物を作れるかというと、同社のUD-503/501とFOSTEX HP-A8と比べてデジタルフィルタを省き
デジタル出力も搭載していない、FOSTEX HP-A8のようにDDCとして使うのはできない
さらに言うとUD-503のようにアナログ・デジタルのデュアル電源を搭載していない
つまり必要の機能だけ搭載した簡易版である、この辺はユーザーも納得できるグレード差と思う
UD-503はDACとしての役割を重んじていると比べて
UD-301は小型DAC付きヘッドホンアンプとしての利用をアピールしているかもしれない

とは言え、ヘッドホンアンプに繋いで聴いた感じでは
UD-301はUD-503と音の傾向は違う物の、音響性能は負けていない

TI社公式サイトのPCM1795のデータシートによると
DAC SNR (Typ)(dB): 123 dB
THD+N: 0.0005%(-106dB)


そして、旭化成の公式サイトのAK4490データシートによると
DAC SNR : 120 dB
THD+N: -112dB


SNR的にはPCM1795は上だがTHD+NはAK4490の方が優秀
僕は実際にこの二つのDACを搭載したDAC/DAPをいくつかを持って
チューニングと色付けを除いて、音響性能で甲乙を付けるのは難しかった

アップサンプリングは良さげ、DSDは綿密で美しい

UD-301はデジタルフィルタを省いたが、アップサンプリング機能は搭載されている
しかも一律192KHz/24bitまでではなく、44.1KHz/48KHzによってx2(88.2KHz/96KHz)、x4(176.4KHz/192KHz)アップサンプリングとなる
一言で言うとその効果はかなり良い
いつもパソコンでの再生はFoobar2000のSoX ResamplerかResampler-Vでアップサンプリングを行っているが
それを比べて、UD-301内蔵のアップサンプリング機能の方が違和感がなくて音もより滑らか
この辺はやはりDACとの相性そしてメーカーのノーハウがあると思うので、UD-301にはソフトウェアアップサンプリングは不要かもしれない

そして、UD-301のDSD再生はPCMと全然雰囲気が違う
どう違うでいうと、DSDの音がより自然で綿密になった
PCMの方がエッジが明確で、いわゆる高解像度な音でしたが
DSDでは音の粒を感じられない程細くなり、真実味を帯びた音風景になる
この感覚はNative DSDの方が強く、DSDに変換された曲との差があった
この辺はPCM1795 DACの特性なのか、DSDの特性なのかは言い切れない


UD-301のXLR出力コネクタはオス、一般的なXLRバランス出力機能を搭載したDACは大体メス



SONY MDR-Z7に繋ぐため、XLRメス⇔3.5mmメスの変換ケーブルを作った
3.5mmは通常のL+/R+/GNDではなく、ソニーMDR-Z7仕様のHot/Cold/Nullとなるのでご注意ください


左右にも変換ケーブルを繋いで


UD-301からXLRバランス出力でMDR-Z7を駆動できた!

Teac UD-301のバランス出力機能を解放せよ

XLR出力に無理やりにSONY MDR-Z7に繋いで音の良さにビックリ
自作変換ケーブルを使ってUD-301のXLR LineoutからMDR-Z7に繋ぐ


UD-301はプリアンプの機能も兼ねていて、音量ツマミでRCA/XLR出力の音量を調整できる
そして、回路で使用されているオペアンプ(JRC4580D)よりも、Lineoutで使用されているMUSE8920のグレードが高い
DAC Lineoutシステムとヘッドホン出力の設計はは非常に似ており、多くの場合は直接互換できる
主な違いは出力インピーダンスで、UD-301の場合、XLRバランス出力のインピーダンスは200Ωである
マルチBA型イヤホンにとっては高すぎるが、大型ダイナミックヘッドホンにはそうでもない
UD-301のXLRはオスなので、MDR-Z7に繋ぐためXLRメス⇔3.5mmメスの変換ケーブルを作る必要がある、しかもZ7の為の特別仕様
世の中にこんなケーブルは何処にも売ってないので自分で作るしかない
半田付けは慣れているので、20分も掛からない程度で完成した
そして繋いでら、音の美しさにもびっくりした
これでUD-301の性能解放パズルの最後のピースを揃った

一般的なイメージでは、SONY MDR-Z7の低域がやや強く、高域はやや控えめて少し暗くである
いままでZ7を上手く鳴らしたシステムは中性か寒色系のチューニングのヘッドホンアンプには似合う、例えばPioneer U-05
このような組み合わせでは、Z7の高域を適宜に強調し、低域を締まってバランスを整える
UD-301のヘッドホンアンプ部には既にこの条件に合っているが、XLR出力は更に相性が素晴らしい

UD-301のXLRバランス出力では、MDR-Z7の音がクリアで高解像度だけではなく、非常に優れた立体音場感も作れた
特に音場感はUD-301のヘッドホンアンプ部でできなかったことで、出力の面ではやはりバランス出力が有利とも言えるでしょう
ヘッドホンアンプの出力は2VrmsだがXLR出力は4Vrms、論理的には P = I x Vなので4倍の出力パワーになれる

音場の他に、楽器演奏のセパレーションも改善された、これは経験的にL/R GND分離による恩恵かと
そして音自体はピュアになって、雑な音が無くなり洗練された音になった
しかし、元々DAC出力のはずのXLRバランス出力に欠点がないわけではない
ヘッドホンアンプの方がより暖かく音の厚さがある、XLRバランス出力はすこしだけ痩せている
経験的にこれはゲイン不足による現象で、解決方法はある
パソコン側の音量を50%まで減らし、UD-301の音量ツマミを2倍くらいにすると、回路の増幅特性でアンプゲインを高めた
すると音がさらにしっかりになって、より力強く、勢いとスケール感も出てくきた
これはまさに、UD-503で聴いたMDR-Z7の音と似ているのだ

UD-301のXLR出力をヘッドホンのバランス駆動に使えたのは実に意外でしたが
たまたまMDR-Z7との相性が良かった可能性も否めないので
予算が許せるなら、やはり正規のバランス出力機能を搭載したヘッドホンアンプを選ぶ方が良いと思う


TEAC USB DAC/ステレオプリメインアンプ AI-301DA-SP/S


ソニー ヘッドホン ハイレゾ対応 密閉型 ケーブル着脱式/バランス接続対応 MDR-Z7


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