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ATH-A900XLTD レビュー:緋色の魂、艶やかな女性ボーカル

2020年11月07日 | ヘッドホン、音響関連
私とA900シリーズとのゆかり

私はこれまで合計4つのオーディオテクニカのA900シリーズヘッドホンを所有していた
オリジナルの無印A900、限定版のA900TI、そして今回のA900XLTD
かつてはA900LTDとA900派生のケンウッドKH-K1000を一時持っていた
A900LTDとKH-K1000は良いヘッドホンだが、自分が主催したヘッドホンイベントでネットの知り合いに譲った

考えてみれば、A900シリーズはオーディオテクニカのスタンダードラインでもある
「このレベルのヘッドホンから、オーディオテクニカが人に聞かせたい音が分かる」を表している
この意味合いもあるからこそ、A900シリーズの音は世代ごとに異なる

無印A900)は、2000年上半期の標準のオーディオテクニカの音
帯域バランスが取れており、女性ボーカルが魅力的である
解像度は中〜高であるが、ボーカルはやや刺さり気味で
低域の分離性能には改善の余地がある

A900LTDはA900の欠点を改良した進化バージョンで
イヤ-パッドの素材を帰ることで音を大幅に改善した
サ行の刺さりがなくなり、ボーカルの透明感と艶が向上し、低域の分離度も改良されA900の籠り感がなくなった



A900TIは、AD1000の技術をそのままを密閉型ヘッドホンに移行したようなもの
そのおかげでA900TIの解像度はA900シリーズの中で最高である
全帯域にわたって音が極めて繊細、バランスはやや中高域よりである。女性ボーカルの艶はA900LTDより劣るが
適切な音源に合わせるとA900シリーズの最高レベルの音にもなれる

A1000はA900LTDと非常に似ているが、高域はわずかに丸みを帯びている
permalloy磁気回路を使用することで音を少し余裕さを持ってリラックス感を味わう

新世代のオーディオテクニカ(2010~2016)になって、後継機であるATH-900Xのが販売された
ただし、A900Xはオーディオテクニカの本来の個性を失い、チューニングは欧米のヘッドフォンに近づいている
A900Xの音場はやや大きく3次元である、チューニングは低域と高域のドンシャリに偏っており、高域は刺さって金属的な音である
ボーカルの表現は香ばしくなく、音場ポジション的には大幅に後退している
A900Xが悪いというわけではなく、例えをするなら、オリジナルのA900シリーズがさまざまな雰囲気の日本の美女であったが
A900Xは突然日欧ハーフの女の子の気分になった
A900Xの致命的なデメリットは低域の分離は不十分であり、そして音は気密で濁っている
解像度の性能でもA900より優れていない
その原因もあるか、台湾と日本でのA900Xの売上は良くないだそうです
そう、今回のA900XLTDの登場まで




A900XLTDのチューニング

A900XLTDが登場する前に、オーディオテクニカはファンからさまざまな「アドバイス」を受けていたに違いない(笑い)
そのためか、AD2000Xからオーディオテクニカのチューニング傾向は女性ボーカルの魅力を強調し
ボーカルの表現と立体な音場感を考慮したチューニングに再び戻った
A900XLTDのチューニングでは中域の艶に重視して、音場と楽器の表現もある程度配慮している
方向性としてはW3000ANVと少し似ていて、そしてW3000ANVよりも女性ボーカルの艶を強調している




中域とボーカル:
A900XLTDの女性ボーカルはとても美しく、Aシリーズの中では最高だと思う
適切なソースに接続すると、ボーカルは磁性的な魅力があり、ボーカルの残響は響き渡る感触が強い
このような音は普通パーメンデュールを使用したフラッグシップヘッドフォンにのみ出るはず(例えばW3000ANV/AD2000X)
どうできたかは分からないが、豊かで魅力的な中域性能には驚く
普通は、密閉型ヘッドホンとオープンエアー型ヘッドホンの女性ボーカルの艶はを上下付けるのは難しい
また、A900XLTDとAD1000PRMのどちらのボーカルが美しいを決めるにも無理がある
それでもA900XLTDの女性ボーカル表現はA900シリーズの中には最高レベルである




低域:
A900XLTDの低域の量は、W3000ANVと同等でA900Xよりやや少ない
低域の量は十分で、中程度のスピード感と解像度がある、適切な役割を担うがそれほどパンチ感はない
低域の質ではA900X/A900/A900LTDと比較すると、分離度と帯域配置に一定の改善が見られる
※低域のスケール感とインパクトさを求めるならMDR-Z7は最適




高域:
A900XLTDの高域性能は非常に優れており、音が透き通って、透明度、解像度はすべてA900シリーズの最高レベルである
大事なのは高域は艶としっかりした芯があることで感情的であり、A900TIのような無機質、機械的な音ではない
ただし、A900XLTDの高域性能は再生ソースと関係していて、推力が不十分だったりチューニングの相性が悪かったりだと高域の粒はに粗く聞こえることもある

音場:
A900XLTDの音場サイズは中型で立体感があり、ポジショニングは良いであるがWシリーズヘッドホンのような自然な空気感はない
たとえば、W1000Xのような木ハウジングのヘッドホンは、オープンエアーのように自然な音場が広がり
無印のW1000でも雰囲気と空気感の作りに非常に優れている
W5000は密閉感が全くなく、それそれは木材の残響特性を活かした特別な音体験であった
その代わり、アルミハウジングを使用したA900XLTDは、まだ気密感が残るが同じ素材の密閉型ヘッドホンと比べると良い方だ

A900XLTDのシステム構成例

優秀:
HP-A8 +AT-HA22TUBE、AT-HA5000
Fiio E12

良好:
SONY PHA-1/2、FOSTEX HP-A8、Fiio E17、AT-HA26D

普通:
SONY Walkman Z1070

手持ちの再生機器はあまりにも多いため全てテストすることは暇人じゃない限り不可能なので
一般論として、中域に艶があり、高域の広がりが自然で明るい再生機器はA900XLTDに似合うと思う

まとめ

A900XLTDは、3万円以下の価格帯では一番お勧めの密閉型ヘッドホンである
再生ソースを選ばず、スマホに繋いでも良い音が鳴り出す
適度な色合いであるが癖が少なくボーカルが美しい
すでにW3000ANVをお持ちの場合でも、外出用のヘッドフォンとしてA900XLTDをお勧める
ただし、A900XLTDの性能を限界まで発揮したいなら、システムの構成に多少の試行錯誤を行う必要がある



ATH-A900XLTD
均衡なバランス、中域がわずかに目立つ(5-5-6-6-5)
低域:★★★★
中域:★★★★☆
高域:★★★★☆
解像度:★★★★
ボーカル性能:★★★★☆
音場サイズ:★★★☆
音場の形:中型立体


audio-technica アートモニターヘッドホン(限定生産 ATH-A900XLTD

オープンボックス






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1 コメント

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レビュー依頼 (林遠)
2021-10-28 21:55:45
失礼致しました。Amazonでカメラのバッテリーを販売している林遠です。
ブログを拝見しました。弊社のNP-FM500Hレビューブログ記事を書きしてくれませんか。
こちらは無料でサンプルを提供します。
連絡メールはjp02@vertue.cnです。
御返事お待ちしております。どうぞよろしくお願いします。
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