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Audio-technica ATH-AD1000PRM長期レビュー

2012年12月26日 | ヘッドホン、音響関連
AD1000PRMはAD1000とAD2000の特性を融合し
音響性能は極めて高く、密度と厚みのある音を演出した
その高音の伸びと広がりが美しく、AD1000の正統進化verである


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ATH-AD1000PRM、ロゴが違う!
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ドライバの色も違う!
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AD2000の様なピカピカしてる金属感
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ラスカルちゃんが試聴
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見た目はAD1000とそっくりですね
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ATH-AD1000
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ATH-AD1000
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ATH-AD1000
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ATH-AD1000
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ATH-AD1000
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ATH-AD1000
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ATH-AD1000

入手してから結構時間が経ったですので
少しレビューしようと思う

前の記事「Audio-technicaヘッドホンアンプAT-HA5000長期レビュー
の時も少し紹介したが、今回も同じシステム構成で聞いてみる
ポイントは、AD1000との比較ですね、AD1000PRM+HA5000の特化記事になるかも(笑)

環境設定
ヘッドホンアンプ:Audio-technica AT-HA5000
DAC:Musiland Monitor 02 US Dragon
PC設定:Foobar2000/SoX Resampler/USB接続/ASIO/176.4KHz/24bit
RCAケーブル:Audio-technica純正AT-EA1000/0.7
電源周り:アンプはFURMAN SS-6B電源タブ使用、DACはモバイルバッテリによる給電

感想
最初に驚いたのは、本当はAD1000PRMの音はAD1000と違うこと
かつてネットでは「聞いても違いが分からない」というコメントも見たですが
僕の場合は一聴して直ぐ分かる程度、勿論ブライドテストでも全然行けると思う
AD1000PRMの音は単なる低域がより強いだけではなく、全音域に渡り音の密度と厚さが増えていた
AD1000の方は寒色系のコールドな音ですが、
AD1000OPRMはAD2000ほどウォームではないけど、より中性、温かく温もりのある音色になった
その逆、AD1000はPRMと比べて音がスッキリしてて爽やか、より聞きやすいが音の重さと輪郭の強さはやや不足
この差は、言うまでもなく最強磁気回路パーメンジュールのお陰である

SENNHEISER HD650との比較
本当はAD1000PRMの音は少しSENNHEISER HD650と似ている、ボーカル表現の密度は少し似ていた
しかしHD650と違って、AD1000PRMの高音は美しく、解像度、伸びと広がりは多分オーディオテクニカのヘッドホンの中で一番上手かったかも
HD650と比べて、AD1000PRMの高域が明るく繊細、明確かつ高解像度、高域の鳴り止まない共鳴はは美しい
AD1000の時も個性は違うですが音響性能はHD650より優れると感じたですが、AD1000PRMでは全面的にHD650より優秀と感じた

ヘッドホンアンプとの相性
最適なヘッドホンアンプはAT-HA5000です、異論は許せん(笑)
自分が持っていた色んなアンプを試したですが、
AT-HA5000は最もAD1000PRMを美しく高解像度に表現できるアンプですね
この他、AT-HA26Dも相性が良かった

オーディオテクニカ新旧ADシリーズとの比較
新しいADシリーズも出てきたので試聴した記憶を頼って比較しましょう
その前、まず音の濃さを1から10まで分けましょう、1は一番すっきりした音、10は密度の高く、厚く芳醇な音と定義する

ATH-AD1000
スッキリした音、高域の解像度は高くて繊細な音、音場はオーペンエアにしては広くない(流石に密閉式よりは広い)
ボーカルは艶やかで美しい、耳元で歌ってくれること凄く魅力な個性と感じる
高音寄りだがサ行の刺さりは全然ない、低域の量は少ないですが質がよく、スピードが速く硬い低域を表現
音の濃さ:3

音場の広さ:★★★☆
音場表現の仕方:左右広がり
低音:★★★☆
中音:★★★★
高音:★★★★★
分解能(全音域):★★★★☆
艶やかさ:★★★★
ボーカルの表現力:★★★★☆
定位性:★★★☆
音の傾向:高
評点:9.6

ATH-AD1000PRM
前述した通り、AD1000と同じ系統の音ですが、低域の量、質共に改善され、音の密度と音響性能がより高く
中域はパーメンジュールを使ったお陰でAD2000のような共鳴感がする
音場と高域の表現はAD1000と殆ど同じです
音の濃さ:5

音場の広さ:★★★☆
音場表現の仕方:左右広がり
低音:★★★★
中音:★★★★☆
高音:★★★★★
分解能(全音域):★★★★★
艶やかさ:★★★★★
ボーカルの表現力:★★★★★
定位性:★★★☆
音の傾向:均-高
評点:9.6

ATH-AD2000
ADシリーズの中で一番バランスが良く、音場では左右の広さはやや狭いですが前後の奥行きが出て立体な音場感が出る
低域はオープンエアヘッドホンとしてはとても強い、HD650と同等である
音響性能はとても強い、解像度も最高レベル
形状記憶合金とパーメンジュールを両方使ったため、音の密度はとても高く、独特な中域の共鳴が出る
低域、中域が目立ったため高域はやや暗く聞こえる、しかし決して高域が出ないわけではない、マイルドな高音
音の濃さ:8

音場の広さ:★★★
音場表現の仕方:立体
低音:★★★★☆
中音:★★★★★
高音:★★★★
分解能(全音域):★★★★★
艶やかさ:★★★★
ボーカルの表現力:★★★★☆
定位性:★★★★☆
音の傾向:均
評点:9.8

ATH-AD1000X
聞いてみたらこれもまたAD1000と同じ系統の音ですが、
新設計のイヤパッドを使ったため低域の量が増えた
音場は従来のADシリーズより広い、左右前後とも広くてサラウンドな音場感がある
しかし従来ADシリーズの特色である女性ボーカルの表現力は抑えられ、
ボーカルは遠く聞こえる、耳元で歌う感じは無くなった
高域の表現はAD1000と似ていたが音が遠くてAD1000の様な繊細さを強調するではなく、
その代わりに広くて美しい高音、大ホールで鳴り止まない演奏とオペラを聴いているような印象
音の濃さ:1

音場の広さ:★★★★☆
音場表現の仕方:立体
低音:★★★★
中音:★★★☆
高音:★★★★
分解能(全音域):★★★★☆
艶やかさ:★★☆
ボーカルの表現力:★★★
定位性:★★★★★
音の傾向:均
評点:9.5

ATH-AD2000X
これぞオーテクの本気!旧AD2000と違う系統の音、AD1000PRMの進化系と聞こえる
音場が広いだがAD1000Xのようなボーカルが遠いという欠点はなく、
オーテク伝統の「耳元で鳴る」イメージは少し取り戻せた
音の密度、厚さと中域の共鳴感はAD1000PRMとAD2000の真ん中のような感じ
低域の量ではAD2000に及ばないが質は同じ、今度は逆にAD2000Xの方は中高域を強調した
高域は沈まれることもなく、AD1000Xと同様に明るく明確
一言ですが、これはオーテク新Xシリーズの中に唯一オーテク伝統の音色を感じるヘッドホンであり
女性ボーカルは艶やかで美しい、自分の感想ではW3000ANVよりもずっとレベルが高かったと思う
音の濃さ:6

音場の広さ:★★★★☆
音場表現の仕方:立体
低音:★★★★
中音:★★★★★
高音:★★★★☆
分解能(全音域):★★★★★
艶やかさ:★★★★☆
ボーカルの表現力:★★★★☆
定位性:★★★★★
音の傾向:均
評点:9.9

結論を言うと、AD1000PRMは旧ADシリーズの中で一番平均的な音
ある意味ではAD1000PRMさえ手に入れば、AD1000もAD2000も買う必要もありません
新ADシリーズと比較すると、AD2000Xと似たような音をする(AD2000Xの方は音場が広い)

この前の秋のヘッドホン祭りにも少々試聴したですが、一緒に参考する方がいいかも
秋のヘッドホン祭でATH-AD2000X ATH-ESW11LTDを聞いてみた




パーメンジュール磁気回路について
折角ですから「パーメンジュール磁気回路」というオーテクのフラッグシップヘッドホンしか見れないキーワードについて話そうが
wikipediaによると(以下wikipediaより引用)
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パーメンジュール (permendur) は、鉄とコバルトを1対1の割合で混ぜた合金である。
実用化された軟磁性材料の中で最大の飽和磁束密度を持つことから電磁石の鉄芯等に用いられる。
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だそうです、最大の飽和磁束密度がメインですね
ソニーのフラッグシップヘッドホンだと、440kJ/m3という強力磁石を売りにしてたですね
正に磁石を売るソニー、磁気回路を売るオーテクだな(笑)

まずヘッドホンのドライバは必ず永久磁石を一個使う、この磁石は論理的に磁力が強く程音がいい
まず音声の電子信号により電磁石を駆動し、磁場の瞬時改変により永久磁石と吸引、排斥してドライバを動かすこと
ドライバが振動すると音は発し、という理屈ですね
電磁石の強さは信号の改変で決められ、この部分は論理的にヘッドホンアンプの出力電流と関わる
もう一つの要素は永久磁石とその周りにある磁気回路(ヨーク)ですね
パーメンジュール (permendur)は、永久磁石を包む磁気回路(ヨーク)の材料です

より強い磁石であるほど、ドライバの反応時間と基準位置に戻す時間差を短くして、
微小信号に対して再現する能力を増え、つまり音の解像度が高くなる
では超強力磁石も使えばいいじゃない?
確かにそうであったが、ソニーさんはこのようにやりました
でもいくら磁石を強力にしても限界がある、問題は磁石を包むヨーク(磁気回路)は最大の飽和磁束密度を決める
例えば磁石に付いた鉄も磁石の一部になりますよね
しかし純鉄が最大飽和磁束密度に制限され、
いくら永久磁石が強くでも
端にある鉄に伝わってきた磁場の強さはこの最大飽和磁束密度を超えることができない
この限界を超えると、異星磁石を使ってても無駄
本題に戻りますが
オーテクがいつも使っていたパーメンジュールは実用化した材料の中で一番最大飽和磁束密度が持つ
その働きはドライバをもっと鋭敏に、反応時間を短縮、信号の還元能力をより高く
これはイコライザを弄っても到底真似できない差である

例えば20Hzの低音を発する場合、一定な音量であればドライバは大幅に前後振動する
この時電磁力はドライバを引っ張って、音を発した後0の位置に戻すのも時間がかかる
電磁石を強くすれば0から特定電位までの移動時間が早くなれるが、特定電位から0に戻す時はドライバ自身の磁石に頼るしかない
(その時信号では0Vであり論理的に電流が流れてこない)
さらに、ドライバ自身に重さがあって、0に戻しても一定時間振動し続けます
より強い磁気回路を採用することで、ドライバの運動・復位速度を早くすることができ
復位した後の振動もより小さく、時間を短くする

自分の予測ですが、パーメンジュール磁気回路を用いることで以下の項目を改善する
1、低域のフェーズ遅延(信号と発した音のタイミング差)
2、低域の量(磁力がもっと強い為)
3、解像度
4、ドライバ復位後の振動を改善、附帯音を無くす

AD1000PRMの場合、これが原因で低域、中域の質と量が改良されたよね
高域はAD1000と殆ど変らないのは高域の振動は元々高速で幅も小さい、
空気の中で高音の伝導もロスしにくい、従来の磁気回路でも耐えられるだから明確な差が出ない

結論

とりあえず、買いですね
え?もう買えない?(笑)

中古でも入手困難な今、ATH-AD2000Xを買うべき!

今だと、NTTXStoreではAD2000Xが45300円で特価中ですよ
え?スレ違い?記事違いですね(笑)

とにかくAD1000PRMは良かった
オーテクで本当に素晴らしいメーカーで感謝します


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