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岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ヒャクニチソウ - キク亜科

2021-07-24 09:59:16 | みんなの花図鑑

私は和名「百日草」で覚えたのでこちらを使いますが、園芸では「ジニア(Zinnia)」とも呼ぶことが多いらしいですね。
どちらにしても、キク科キク亜科の花です。わざわざ「キク亜科」と分類するのはなぜかというと、
キク亜科の花は 舌状花(一枚の花弁が目立つ部分)と筒状花(中心のシベが目立つ部分)との2種類で構成されているんですよ。




キク亜科のほかには タンポポ亜科があり、この花序はすべて舌状花から構成されていて、乳管組織が発達するので 葉や茎をちぎると白い乳液が出るのはご存じのとおりです。
ともに、たくさんの小花から構成されています。
蕾のとき 花(花弁やシベ)を包んでいる器官を「萼」といいますが、キク科のばあい 萼に相当する器官は、たくさんの小花を「まとめて包んでいる」ので「総苞」といいます。
その上で一枚の花弁を大きく伸ばしているのが 個々の舌状花です。




さて、中心部の筒状花のほうですが、ヒャクニチソウでは昭和新山のように盛り上がっています。
筒状花の山は 山麓から開花していきます。
黄色く林立しているのがいま最盛期の花で、その向こうは 蕾、手前の溶岩のような部分はすでに花後で 花弁も枯れ落ち褐色の残滓になっています。




火山に似ている例として身近なところで昭和新山を出しましたが、私自身は ミャンマーの「タウン・カラッ(Taung Kalat)」という溶岩ドームを思い出します(▼)。

Ralf-André Lettau - Photo taken by Ralf-André Lettau,
Attribution, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=598535による

昭和新山とどうちがうかというと、ドームの頂上に 金ピカの お寺があることです (^^♪

正面からは見えませんが、溶岩ドームの裏手に急な階段があり、老若男女、裸足になって頂上まで上がっていくのです。ミャンマーの有名なお寺は このような山の頂にあることが多いのです。お参りするのはお年寄りが多いだろうに、これでは付き人が大変じゃ、と心配するのは私だけ?

ヒャクニチソウの筒状花はドームの上に金ぴかのシベが立っているのです。





筒状花は外側から1列ずつ、輪になって順次、開花していきます。
黄色く5つに割れて開いているのが花冠です。黄色の毛が密生しています。
手前(ふもとのほう)は すでに花が終わった状態です。

下図は ミクロの扉・埼玉大学教育学部金子研究室「ヒャクニチソウ」に挿入されている書籍よりの図版に 私が色付けしたものです。





スプーン咲き?

舌状花の花弁がクルっと巻いて筒になっています。




でも咲き方は同じです。
中心部の赤じそ色のワカメのようなもじゃもじゃは何でしょうか?
「筒状花の基部に1個ずつ、先が不規則に細く裂けた紅紫色の苞があり、筒状花が開花するまでは苞の先だけが見え、蕾は隠れて見えない。」(三河植物観察「ヒャクニチソウ」)




このスプーン咲きの筒状花部分はまだつぼみの状態ということが分かりました。
では、手前にちらほら Yの字型のめしべが立っていますが、これは何でしょう?

これは 舌状花の雌しべですね。
先ほどのイラストでも分かるように、舌状花は 大きな花弁一枚とめしべだけから出来ていて、雄しべは無かったのです。




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