オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

アフラックの日本郵政乗っ取り-TPPの序章

2013-07-27 | 政治

いよいよ「アフラック」と日本郵政の提携劇という形で、アメリカ資本の日本市場乗っ取りが始まった。日本郵政の西室泰三が「提携を進める中で新しいことができると内心期待」などとコメントしているが、日本郵政と提携を結んでいた日生より「今回の話は遺憾」というコメントが出ていることからも、如何にこれが理不尽な提携劇であるかが推察できる。
 共同で進めていたがん保険の商品開発は、日本郵政グループの経営体制の見直しなどの影響で頓挫している経緯もあり、5年にわたり提携関係を築いてきた日本生命保険は悔しさをにじませる。生保各社が脅威に感じるのは全国2万にも上る郵便局の強固な販売網だ。ある大手生保幹部は「我々の営業拠点の数とは1ケタ違う」と恐れを隠さない。がん保険など「第3分野」と呼ばれる保険に強いアフラックが全国2万の郵便局のネットワークを活用できれば、国内生保への影響は避けられない。実際、株式市場でも生保各社への影響が懸念され、提携が表面化した2日間で生保株は軒並み売られ、第一生命保険の株価は9%も下げた。ただ、今回の提携については、現時点では生保業界からは表立った批判は出ていない。日本のTPP交渉参加をめぐり、米国側はかんぽ生命の事業拡大に反対してきた。日米両国の生保の提携発表がTPPの交渉参加のタイミングだったことで、「日米交渉に水を差すことはできない」(大手生保幹部)と、反発の機会を封じられた格好だ。

 国民皆保険は日米を問わず、保険会社の敵である。自由な競争を阻害しているとして、早晩なくなるかもしれない。財政の負担もこれから膨大になるから、福祉予算を切りつめたい政府も喜んで廃止するだろう。

 アメリカには長い間、国民皆保険制度はなかった。例外的に高齢者と障害者には公的医療保険、低所得者には医療扶助があるだけで、大半のアメリカ人は民間の医療保険に加入する。ただし、民間の保険会社は保険料が高く、誰もが入れるわけではない。また民間の会社なので、儲けを出すため簡単には保険が給付されない。保険に加入しない人や加入できない人はアメリカ国民の6人に1人。実に5,000万人近い人が無保険の状態にあった。
 これまで、アメリカは全く国民皆保険を目指してこなかったわけではない。20世紀以降、T.ルーズベルト、H.トルーマン、J.F.ケネディー、B.クリントンといった歴代大統領が国民皆保険の制定に挑んできたが、共和党の反対にあってつぶされた。
 近年、やっとオバマ政権が、医療保険への加入を義務づける医療保険改革法(オバマケア)を制定することができた。保険料の支払いが困難な中・低所得者には補助金を支給することにより、保険加入率を94パーセント程度まで高めるのがその骨子だ。

 なぜ、アメリカでは皆保険が実現しなかったのか。それは、医療マーケットの主導権を維持したい医師会や保険業界が、政府の介入に反対したためだ。また、大企業を中心とする雇用主提供医療保険がきわめて手厚かったことも皆保険の必要性が低い理由でもあった。
反対派の言い分は
・「医療保険制度に入るかどうかなどは個人の自由。国が強制することではない。アメリカは自由の国。保険が強制になったらそれはもう社会主義国家だ。」
・「ただでさえアメリカの企業は弱っているし、アメリカ財政も悪化している。それなのにオバマケアは企業負担を増やし、財政をさらに悪化させる。」
・「アメリカは日本とは違う。どんどん貧しい移民がやってくる。人口はこれからも増えていく。自分の国で生きていけない人たちまでアメリカが面倒を見る余裕はない。」

 医療保険改革においても、オバマの立場は、個人の自由選択でもなければ、国家による一元的管理でもなく、公も民も管理された競争のもとで、無保険者を減らすことにあった。その背景には、慢性的な不況があり、企業が従業員に手厚い医療保険を提供できなくなった点にある。また、医療業界はオバマケアの導入でむしろ業績アップのチャンスを得たと言われている。改革法は一見すると人道的配慮のようだが、医療業界の利益に最大限に配慮している。たとえば低所得者は医療費の一部が政府によって保障されるので、これは新たな医療保険への加入を促す。保険会社にとっては、いままで加入できなかった人々を保険契約のターゲットにできるわけだ。
 アメリカにおいて、近代的な民間医療保険の歴史は100年だが、皆保険の歴史は始まったばかりだ。
 
2013.7.17 21:08 産経ニュース
 オバマ米大統領が2010年に関連法を成立させた医療保険改革「オバマケア」が“後退”を余儀なくされている。オバマ政権は今月初め、企業が従業員に医療保険を提供することを義務づける制度の開始を先送りすることを決めた。負担を強いられる企業からの強い不満を受け、制度の開始を中間選挙後に回すことが狙いとみられる。共和党は「オバマケアが機能しないことの表れだ」と攻勢を強めており、さらなる修正を求める声が高まりそうだ。
 「オバマ政権は極めて正しい選択をした」。約4200万人の雇用を生み出す小売業界を代表する全米小売業協会のトラウトワイン副会長は制度の先送りを歓迎した。
 先送りが決まったのは、1週間に30時間以上働く従業員が50人超いる企業に対し、従業員への医療保険提供を義務づける制度。違反すれば従業員1人あたり2千ドルの罰金も科される。当初は14年1月から始まる予定だったが、15年1月に遅らされた。ジャレット大統領上級顧問は「より分かりやすい制度にするための一時的な措置」と説明する。
 しかしワシントンでは先送りの真の理由は「14年の中間選挙で共和党からの攻撃を避ける」(共和党系政治コメンテーター)ことにあるとの見方が強い。企業に負担を強いるこの制度には「企業が人を雇いにくくなり、経済活動が抑制される」といった批判があり、共和党の支持基盤である産業界などが強く反発してきた。制度の先送りはオバマケアを選挙の争点から外す効果があるというわけだ。
一方の共和党はオバマ政権が看板政策を後退させたことで勢いづく。
 共和党のマコネル上院院内総務は、「オバマケアが約束通りに機能しないことをオバマ政権も認め始めたようだ」とする声明を発表。共和党のキング下院議員は「制度を変えるなら、議会を通すべきだ」と手続きの不透明さを批判した。
 オバマケアは昨年6月の最高裁判決でも、州が連邦政府の支援を受けて運営する低所得者向け公的医療保険(メディケイド)の提供対象拡大に歯止めをかけられた。判決では、州が対象を拡大するかどうかを判断する余地が認められ、テキサスやフロリダなど18州が対象を拡大しないことを決定。他の9州でも拡大が決まっていない。
 オバマ政権は個人に対する健康保険加入の義務づけは予定通り14年1月にスタートさせる予定だが、軌道修正がオバマ政権のイメージ低下につながることは避けがたい状況だ。

 アメリカの皆保険制度は雇用主に従業員の医療保険を提供するように義務づけるもので、官が一括管理する日本の国民皆保険制度とは異なる。日本の制度の長所は保険料が所得に応じて決まることである。民間の医療保険ではありえない考え方だ。アメリカの皆保険への道はいまだ遠い。世界に誇れる日本の皆保険制度が存続することを強く望みたい。
アメリカ国内の保険会社の市場縮小の見返りに、北の脅威と尖閣問題を煽って鴨葱日本をTPPに引き込んだと見るのはうがちすぎた見方だろうか?皆保険制度の廃止は日本の保険会社にとってもメリットは膨大だから、TPP締結賛成なのは至極もっともな話だ。強大なアメリカの保険会社に負けてもそのおこぼれにあずかれるというわけだ。
 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿