オータムリーフの部屋

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バター値上げの背景に、農水省の「白モノ利権」

2014-10-26 | 政治

大手乳業各社は8月1日の出荷分から、家庭用のチーズやバターの希望小売価格を引き上げた。加工用の牛乳の生産量が減って、仕入れ価格が上昇しているという理由だ。特にバターについては今年5月、農水省が7千㌧の緊急輸入をするなど品不足は深刻で、スーパーで数量制限はいまも続いている。

だが、農業ジャーナリストの浅川芳裕氏は「よく考えればおかしくないか。同じ乳製品の牛乳やチーズなどが品不足になることはない。なぜバターだけが、頻繁にお店の棚から消えるのか」と疑問を投げかける。浅川氏によると、その裏には農水省のバター利権があるという。

オルタナ37号(2014年6月発売)第一特集「農水省がおかしい」から抜粋して紹介する。(オルタナ編集部)

バターについては、2008年にも品薄騒動があった。だが、翌年春には過剰在庫を抱えたかにみえた矢先の同年夏にはまた品薄になった。同省は2010年にも緊急輸入をしている。同じ乳製品の牛乳やチーズなどが品不足になることはない。なぜバターだけが、頻繁にお店の棚から消えるのか。実は奇妙でも何でもない。その答えは、天下り団体「農畜産業振興機構」によるバター輸入独占業務にある。通常の食品であれば、国産が足りなければ民間の事業者が輸入すれば済む。しかし、バターについては農水省のバター利権があるため、そうはいかない。独占輸入のペーパーワークだけで、毎年10億円以上の収入を得る。2億円近くある同機構の役員報酬の原資になっている。自ら輸入数量をコントロールし、バター不足を演出する自作自演だ。
 4月には小麦価格の値上げが発表されたが、バター利権と同じ「農水省の独占業務問題」である。日本の小麦の需要量(年間約550万㌧)の9割は外国産で、農水省が安い輸入小麦を無関税で全量買い取り、「マークアップ」と呼ばれるマージンを1㌧につき2万円ほど上乗せして高く製粉会社に販売する国家統制が行われている。

マークアップとは、1割に満たない国内の小麦農家のために支払われる補助金原資である。これにより製粉会社への売り渡し価格は国際相場の約2倍になる。消費者は高いパンや麺などの小麦製品を買わされ、差額は農水省の差配を通じた、生産者への補助金バラマキに化ける。

国産小麦の生産量はわずか74万㌧で、生産額は260億円しかない。それなのに補助金の総額は約1300億円にのぼる。生産額の5倍の補助金で農業が強くなるはずがない。一方で農水省にとっては、この補助金を特別会計にすることで、自分たちの利権にできる。輸入価格に上乗せされる輸入小麦のマージンは、農家の保護というより、役所の利権温存に使われているのだ。マークアップを廃止すれば、小麦の値上げは必要ない。

バターや小麦利権は「TPP問題」とも密接に関係している。農水省では「白いモノ(麦、バターなどの乳製品、コメ、砂糖)を扱うと出世する」(農水省OB)伝統がある。

白いモノとは農水省が独占する国家貿易品目であり、すべてTPPで「聖域品目」とされているものばかりだ。

農水省は麦500万㌧、コメ80万㌧を輸入する世界に冠たる「輸入商社」である。TPPで、農水省が恐れるのは国内農業の壊滅ではない。貿易の自由化によって「農業保護」を名目に享受してきた輸入独占権を失うことにある。(浅川 芳裕: 農業ジャーナリスト)

 

農水省に巣食うバターの利権はマスコミで取り上げられない。この話題、20年前にも読んだことがある。国家予算から見たら少ない話なので誰も真剣には取り上げないようだ。各省庁、天下り団体をたくさん作って、勝手に関税をかけて輸入商品の価格を釣り上げ、その税金は○○振興のためと称して、農家や酪農家にバラマキ、あとは役人の交際費や給料になっている。座っているだけ、輸入許可するだけで濡れ手に泡、こんなおいしい利権、手放すわけはない・・・・

農林水産省所管の農畜産業振興機構の役員・職員の年収・ボーナス(2011年)

 

役員の年収・ボーナス(2011)

役名

年間報酬

うち賞与

A理事長

902.3万円

224.9万円

B理事長

767.3万円

74.7万円

C副理事長

829.2万円

206.1万円

D副理事長

857.9万円

228.2万円

E総括理事

1,608.4万円

410.9万円

F総括理事

1,402.7万円

410.9万円

G理事

740.3万円

183.6万円

H理事

762.9万円

203.3万円

I理事

649.6万円

183.6万円

J理事

760.8万円

203.3万円

K理事

760.0万円

183.6万円

L理事

760.1万円

203.3万円

F理事

200.5万円

0万円

M理事

745.3万円

183.6万円

N理事

630.0万円

61.0万円

O監事

1,300.0万円

331.5万円

P監事

643.8万円

157.3万円

Q監事

532.8万円

52.2万円

それにしても膨大な独立法人が・・・・一体どんな仕事やっているんでしょう?

総務省発表の「独立行政法人の役職員の給与等の水準」(平成24年)上位50位/103法人

1位

原子力規制委員会

原子力安全基盤機構

231人

   809万8000円

2位

文部科学省

宇宙航空研究開発機構

430人

      781万円

3位

経済産業省

日本貿易保険

95人

   775万1000円

4位

国土交通省

都市再生機構

3063人

   765万4000円

5位

国土交通省

住宅金融支援機構

803人

   764万5000円

6位

経済産業省

工業所有権情報・研修館

43人

   761万9000円

7位

国土交通省

鉄道建設・運輸施設整備支援機構

1159人

   753万2000円

8位

厚生労働省

労働政策研究・研修機構

54人

   751万4000円

9位

総務省

平和祈念事業特別基金

9人

   750万3000円

10位

厚生労働省

年金積立金管理運用

62人

   748万7000円

11位

経済産業省

石油天然ガス・金属鉱物資源機構

305人

   748万5000円

12位

外務省

国際交流基金

110人

   718万7000円

13位

農林水産省

農林漁業信用基金

82人

   716万9000円

14位

国土交通省

海上災害防止センター

21人

   715万5000円

15位

国土交通省

国際観光振興機構

37人

   711万3000円

16位

厚生労働省

国立成育医療研究センター

28人

   707万9000円

17位

外務省

国際協力機構

981人

   707万2000円

18位

財務省

日本万国博覧会記念機構

42人

   705万4000円

19位

国土交通省

空港周辺整備機構

16人

   700万8000円

20位

文部科学省

科学技術振興機構

444人

   697万1000円

21位

文部科学省

理化学研究所

360人

   695万7000円

22位

文部科学省

日本原子力研究開発機構

2015人

   694万9000円

23位

経済産業省

中小企業基盤整備機構

620人

   689万7000円

24位

経済産業省

情報処理推進機構

116人

   687万4000円

25位

厚生労働省

勤労者退職金共済機構

228人

   681万7000円

26位

農林水産省

農業者年金基金

49人

   678万3000円

27位

経済産業省

製品評価技術基盤機構

318人

   677万5000円

28位

厚生労働省

国立健康・栄養研究所

6人

   676万6000円

29位

文部科学省

日本スポーツ振興センター

275人

   675万4000円

30位

国土交通省

水資源機構

1204人

   675万2000円

31位

農林水産省

農畜産業振興機構

174人

   674万6000円

32位

文部科学省

海洋研究開発機構

233人

   667万3000円

33位

文部科学省

日本芸術文化振興会

197人

   666万2000円

34位

厚生労働省

年金・健康保険福祉施設整理機構

9人

   665万8000円

35位

農林水産省

国際農林水産業研究センター

32人

   665万2000円

36位

国土交通省

日本高速道路保有・債務返済機構

45人

   665万1000円

37位

総務省

郵便貯金・簡易生命保険管理機構

24人

   664万7000円

38位

経済産業省

日本貿易振興機構

495人

   660万6000円

39位

総務省

情報通信研究機構

109人

   660万4000円

40位

厚生労働省

福祉医療機構

211人

   659万6000円

41位

厚生労働省

国立精神・神経医療研究センター

23人

   659万2000円

42位

厚生労働省

高齢・障害・求職者雇用支援機構

995人

   656万3000円

43位

国土交通省

自動車事故対策機構

234人

   654万9000円

44位

文部科学省

教員研修センター

29人

   652万3000円

45位

経済産業省

産業技術総合研究所

549人

   649万8000円

46位

消費者庁

国民生活センター

101人

   644万9000円

47位

環境省

環境再生保全機構

84人

   644万2000円

48位

厚生労働省

労働者健康福祉機構

1032人

   640万5000円

49位

内閣府

国立公文書館

33人

   639万9000円

50位

国土交通省

電子航法研究所

9人

   638万5000円

 


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