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胃がん検診

2016-12-17 | 健康
市町村によっては今年からバリウム検査と胃カメラ検査を選択できるようになったところが増えたようだ。自分の経験から言うと、バリウムを受けるくらいなら、胃カメラ受診を受けた方がよい。
胃バリウム検査とは放射線を照射することで胃や食道の粘膜の凹凸を「影絵」の原理で見ているだけだ。したがって内視鏡で治療できる段階の早期胃がんや早期食道がんの発見には役立たない。ごく早期の胃がんや食道がんは粘膜の凹凸を伴うことは少なく、粘膜の微細な色彩変化のみの事が大部分である。特に食道はバリウムが一瞬で胃内に落ちてしまうため、早期の食道がんをとらえることが難しい。
胃バリウム検査で発見された「胃がん」「食道がん」は進行した状態で見つかることが多く、かなりの確率で外科的手術や抗がん剤での治療になってしまい、内視鏡治療を行える早期段階での発見は難しい。さらに胃バリウム検査は放射線を照射して撮影するので、医療被ばくによる「発がん」という問題も出てくる。
 
イギリスのオックスフォード大学のグループの調査では、日本人は75歳までにガンになる人のうち、3.2%の人が放射線診断による被爆でガンが誘発されたというデーターが報告されているという。
胃バリウム検査は被爆線量のかなり多い検査だということは意外に知られていない。何枚も撮るので胸部X線写真の150~300倍もの被爆を受けてしまうという。
 
一番問題なのは私にできた扁平な悪性ガンはバリウム検査ではほとんど見つからないという事実だ。私の場合は、たまたま胃が折れ曲がって変に変形しているから精密検査を受けた方がいいと言われた。胃が変形するほどのガンならとっくに末期だと思い、自分にがんができているとは思わなかった。一応指示通り、胃カメラを受けたが、見た感じ色が変わっている部分が点在していたが、でこぼこはない。やっぱり何でもないと思ったが、医者は「これは怪しい。検体を取ります。」という。自信満々で結果を聞きに行って、悪性のスキルス胃がんを起こす未分化細胞がんと言われたときは、驚愕してしばし言葉を失った。
 
スキルス化しているかどうかは開腹してみないとわからず、場合によっては全摘と言うこともあると宣告された。結果は浸潤していなかったため、部分切除で足りたが、死を覚悟した一瞬だった。
バリウムで見つかったことは奇跡に近い。胃壁に浸潤もしていなかったのに、なぜ、胃が折れ曲がっていたのか、今もってわからない。
 
早期の胃がんはわずかな色調の変化(わずかに白っぽく退色している)だけであるため、画質の悪い 経鼻内視鏡でさえも見逃しが多くなるらしい。
 
最近、ピロリ菌駆除が保険適用になり、ピロリ菌駆除をする人が増えた。「胃がんの原因の99%がピロリ菌」と言う人もいる。そこで調べてみると・・・・
 
ピロリ菌が発見されたのは、わずか30年前のこと。ピロリ菌が胃炎・胃潰瘍の原因であることが判明した。その後、薬剤によって起こる潰瘍の存在も明らかになった。アスピリンに代表される非ステロイド性抗炎症薬と呼ばれる消炎鎮痛薬が原因の潰瘍があることがわかった。ピロリ菌に感染していない人や、抗炎症剤を飲んでいない人に胃潰瘍が起こることはまれで、起きるとしても、胃潰瘍の患者さん100人のうち1人いるかいないかという程度だという。ストレスがあっても、ピロリ菌に感染していなければ胃潰瘍になりにくいということも言われている。
 ピロリ菌に感染している人は、感染していない人に比べると、20~30倍も胃がんになる確率が高いとされる。塩分の過剰摂取といった食生活や遺伝などによる、ピロリ菌に感染していない人の胃がんは0.5~1%、ごくまれと言っていい。
 
 それでは、除菌した人は、もう胃がん検診を受ける必要はないのだろうか?そうとは言えないようだ。
 慢性胃炎の一部の方が胃がんになり、胃がんの大部分は慢性胃炎から発生する。それなら、慢性胃炎の治療(ピロリ菌の除菌)により胃がんが予防できると思われる。しかし、予防効果は感染の初期(萎縮性胃炎発症初期)は著しいが、感染の後期ではかなり低い。私自身もガンが見つかる前の10年ほど前から萎縮性胃炎と診断され、その時は「加齢のためでしょう。萎縮性胃炎は改善しません」と医者から言われた。20年前はピロリ菌と胃がんの関係もよくわからなかったのだ。
 
萎縮性胃炎を起こしていない人の除菌が胃癌予防に高い効果があることが分かってきた。つまり、胃癌を予防するなら萎縮性胃炎にかかる前に除菌をする必要があり、萎縮性胃炎を発症してしまったら、除菌の胃がん予防効果は低いのである。
 
 保険診療の枠の中で除菌するには、内視鏡検査で胃炎があることが診断されなければならないのが胃がん予防のネックになる。

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