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オータムリーフの部屋

残された人生で一番若い今日を生きる。

100m世界新記録 23.15秒

2014-03-06 | 健康
90歳クラスで陸上100メートルの世界記録保持者、守田満(もりたみつ)さんをテレビ朝日『報道ステーション』が特集した。松岡修造が取材した。
熊本県八代市で「八代のウサイン・ボルト」と呼ばれているらしい。昨年10月に『2013国際ゴールドマスターズ京都大会』で90歳クラス陸上100メートルの部で23.15秒の世界新記録を樹立した。彼女は現在、200メートル55.62秒の世界記録も保持している。
100メートルを全力疾走するシーン、地元の少年陸上クラブとの練習でタイヤを引っ張って走る姿など、彼女の日常生活を放映した。
走るだけではなく、階段を駆け上がったり、腕立て伏せや脚を振り上げる運動なども軽々とこなす。自宅でもベッドの上で自転車こぎ運動をするのが日課で、朝起きたら150回、夜は250回はやらないと気がすまない。食事は朝ごはんに焼いた豚肉と生卵を欠かさず、週に2回はウナギを食べ、夜は日本酒を1合以上飲む時もある。
「私の勝手な考えですが、身体が欲しがっているということは、それだけ身体の力になる。スタミナが付いているのだと思う」と守田さんは語る。
認知症とは無縁で、頭までしっかりしているのだ。

守田さんは69歳の時に引っ張り出された町内の運動会で走ったことをきっかけにマスターズ大会に出場した。70~74歳クラス・100メートルの部で日本新記録を出すと80歳以降から次々と世界記録を打ち立てた。
だが、自分の走りを一番応援してくれた夫の哲雄さんが2005年に他界してからはふさぎこんだ時期もあった。「主人は私が大会に行くと必ずついてきてくれた。ついて行くのが楽しみだったみたい…」という彼女は、そんな哲雄さんが喜ぶはずだと思い直して走リ続けている。
陸上クラブの子どもたちはおばあちゃんではなく、「守田さん」と呼ぶ。同じ陸上選手と見なしているのだ。

守田満さんは「5年なんてすぐに来る。95歳になったら次の5年もすぐですよ。100歳で世界記録を更新するまで頑張りたい」と元気に語っている。

ソールが摩耗したシューズを見てプレゼントをしたいと語った松岡修造、熱血スポーツキャスターの取材は彼女の元気を余すところなく伝えた。
 
 
 老人医学の専門家が、「老人にはタンパク質が必要で特に75歳を過ぎたならば栄養価のある食べ物をたっぷり食べることが大事だ」と言っていた。
守田さん以外で宮崎秀吉さんという103歳の男性がいて、100歳以上の陸上の世界新記録保持者だった。こちらの方はそもそも走る人がほとんどいないから走りさえすれば世界チャンピオンになれる。
 老人ランナーは若く見える。帽子をかぶっていれば20歳くらいサバ読める人はざらにいる。顔や身体に脂肪が付いていないから、若々しく見える。いわゆる年寄り顔とは顔に脂肪が付いて、たるみやしわがブルドックを連想させる状態になることを言う。どんな美形でも年齢を重ねると顔が崩れていく。
 病院以外に行く所がないから、病院に遊びに行く。神経痛や膝関節の痛み、腰の痛みなど加齢からくる病変はあきらめるしか対処方法がない。だから、病気のことを忘れて、子供とトレーニングしたり記録を更新して楽しみを見出す方が、はるかに健康的である。
 老人は保護の対象ではなく埋もれた人的資源だと見なせば、日本ほど素晴らしい資源を持っている国はない。そのことをマスターズ陸上大会の元気印の老人達が教えてくれている。
 

運動は長寿の遺伝子を活性化する

2014-02-22 | 健康

適度な運動は心身によい影響を与える。脂肪を燃やすことで、肥満や糖尿病だけではなく、様々な疾患に効果がある。
 運動によって特定のホルモンが増加し、それが脂肪を燃焼させる役割を持っていることが分かった。このホルモンはイリシン(Irisin)と名づけられ、肥満や糖尿病のみならず癌を含むほかの様々な疾患の、予防や治療に使うことができるようになるだろうという。
 脂肪細胞には、脂肪を貯めるための白色脂肪細胞と、燃焼させるための褐色脂肪細胞の2種類がある。褐色脂肪細胞は乳幼児に多く見られ、大きなエネルギーを生み出す元になっているが、大人には殆ど存在せず、白色脂肪細胞として貯まっていくだけとなってしまう。
 運動によって生成されるイリシンには、その白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞に変える遺伝子を活性化させる働きがあると言う。 運動によるイリシンの生成だけでなく、その摂取が健康に有用であるのかを調べるために、マウスを使った動物実験が行われた。肥満を患い糖尿病にかかりそうなマウスにイリシンを注入したところ、10日後には血中の糖分とインスリンの量が改善し、体重も僅かながら減少した。 この実験は短期間で行われたが、長期に渡りイリシンを摂ることでもっと大きな効果を得られるようになるだろうという。また注入されたイリシンは運動によって生成される量と変わらなかったため、副作用は表れなかった。

 一方、脳の中ではイリシンが脳由来神経細胞因子(BDNF)を増加させることがわかってきた。BDNFは、いわゆる「神経栄養因子」で、神経細胞の分化・成長に関係するほか、シナプスを伸長させる働きがある。うつ病や統合失調症、アルツハイマー病など脳神経系の疾患ではBDNFの減少が確認されている。したがって、BDNFを増やすイリシンは運動が脳の健康に好作用するキーファクターだと考えられるわけだ。主任研究者は「イリシンをベースに神経変性疾患の発症予防や、認知機能の低下を治療する薬を開発したい」としている。


 さらに最近の研究でイリシンは長寿の遺伝子を活性化することがわかってきた。人間の遺伝子の中にはテロメアと呼ばれる部分があり、この部分が長いほど老化しにくいという説がある。つまり、遺伝子のテロメアが長いほど健康で居続けられる、と言えるわけだ。英国アストン大学の研究者たちは、イリシンとテロメアの長さに関係あり、と睨んで調査を行ない、結果をアメリカ老年学会(American Aging Association)の機関誌で発表した。81人の健康的な老若男女を集め、採血し、含まれているイリシンの量を測定し、同時に血中の細胞の遺伝子を調べ、テロメア部分の長さを測った。それらの数値をグラフにして眺めてみると、イリシンの量が多い人ほど、テロメアが長かった。なぜそうなるかまでは、この調査ではわかっていない。だが、体内にイリシンを増やせば、テロメアが長くなり、老化が防げると考えるのは自然だ。イリシンを増やす方法は運動。活動する筋肉細胞がイリシンを作るからだ。筋トレなんかがいいらしい。
 

ファイトケミカル

2014-02-21 | 健康

ファイトケミカルとは野菜や果物などの植物が持つ化学成分。ファイトケミカルの抗酸化力などが、生体調節機能に深く関わっているとしてクローズアップされている。食品機能性研究センターのセンター長、食品の抗酸化力に対する統一指標の確立を目指すAntioxidant Unit研究会の常務理事である津志田藤二郎氏の話は興味深い。


 ファイトケミカルの“phyto”は植物、“chemical”は化学成分という意味。野菜や果物にはビタミンやミネラルといった栄養素、食物繊維が含まれるが、それ以外の、「非栄養素」も身体の健康維持・増進に役立つ作用を持つことがわかり、それらを含めて現在ではファイトケミカルと呼ぶようになってきた。

 ポリフェノールやカロテノイドといった抗酸化物質、そして大根やわさびなどの辛み成分であるイソチオシアネートなどが注目されている。ファイトケミカルの機能として最も重要なものは抗酸化性で、生物は酸素中で生活しているので、鉄が錆びるのと同じで放っておけば酸化という過程を経て朽ち果てていく。それを還元する状態に持っていく、つまり酸化を防ぐ方向に持っていくことが、すなわち生命を維持するということ。私たちは様々な食品を食べて生命を維持していますが、それはすなわち還元状態を身体の中につくるということだとも言える。

 がんや老人性認知障害、生活習慣病なども酸化を促進する“活性酸素”と何らかの因果関係があると言われている。活性酸素による遺伝子の傷害や、たんぱく質の酸化による機能喪失、あるいは脂質の酸化による過酸化物の生成など、酸化によって生命維持にそぐわない状態がもたらされている。

 ポリフェノールは、お茶などに含まれるカテキンや、赤ワインやブルーベリーなどのアントシアニンなどが代表的。カロテノイドには、緑黄色野菜に多いβカロテンや、トマトなどに含まれるリコペンなどがある。カロテノイドは脂溶性の抗酸化物質で、水溶性の抗酸化物質であるポリフェノールと1セットになって身体の中で役割を果たしている、つまり脂溶性成分と水溶性成分の両方をバランスよく摂取することが不可欠だと考えられる。またβカロテンの介入試験では、単独の成分を高用量摂取しても発がん抑制に効果がなかった、あるいは逆に喫煙者の場合は肺がんリスクが高まったという報告がある。このようなことからも、単一成分だけを摂取するのではなく、普通の食事のように様々な成分を一緒に摂取することが重要なのではないかと思う。

 イソチオシアネートは大根やわさびなどの辛み成分で、抗酸化性というよりも、肝臓や消化管での解毒酵素を活性化することが大きな特徴。つまり体内の様々な危険な物質を代謝して排泄する作用を持つ。

 乳酸菌は腸管内の細胞に作用して免疫増強機能を発揮するが、ファイトケミカルは体内に吸収されてから働く。両者は別の機能として作用しているわけで、相乗効果はあり得ると思う。はっ酵乳とフルーツを組み合わせて食べるのは、非常にふさわしい食べ方だと思う。


ファイトケミカルを効率よく摂取する方法は?
ファイトケミカルは植物の細胞壁に囲まれているため、加熱して通出する必要がある。.


<ファイトケミカルスープに使う材料>一人分
●キャベツ 100g
●ニンジン 100g
●タマネギ 100g
●カボチャ. 100g
 水 1リットル

<それぞれの栄養成分>
 ●キャベツ・・・グルコシノレート
 ●ニンジン・・・α-カロテン、β-カロテン
 ●タマネギ・・・イソアリイン、ケルセチン
 ●カボチャ・・・β-カロテン


.<作り方>
1.全ての野菜を食べやすい大きさに切り、鍋に入れる。
2.水を1リットル加え、強火で沸騰するまで煮込む。
3.沸騰したら弱火にし、ふたをしてコトコト20分煮込む。
(ファイトケミカルがスープに溶け出し、おいしく食べられるのが20分)

<代用品>
●キャベツ→白菜、ブロッコリー、小松菜
●ニンジン→セロリ
●タマネギ→長ネギ
●カボチャ→ズッキーニ.

鶏の手羽中とカブのごろごろスープ
<材料>(2人分)
鶏の手羽中 6本
カブ(葉付き) 大2個
水 3カップ
ファイトケミカルスープ(具材なし) 2カップ
粗挽き黒コショウ 適宜
パルメザンチーズ 適宜
.<作り方>
1.火をつける前に手羽中を皮目を下にして並べてフライパンに入れ香ばしく焼き、途中出てきた脂が気になったら拭きとる。(強火~脂が出てきたら中・弱火に)
2.水を加えて煮る。(沸騰するまで強火)
3.沸騰したらカブを入れる。 ※カブは四つ切り・葉は1cm角(温度が下がるので強火にする)
4.さらに沸騰したら火を弱める。(強火~中火)蓋はしない。
5.火が通るようにひっくり返しながら煮て、カブの色が透き通ってきたらファイトケミカルスープを入れ再び強火にし、ひと煮立ちしたらお好みで黒コショウとチーズをふり完成。
.
鮭のミルクスープ
<材料>(2人分)
ファイトケミカルスープ 2カップ(具材とスープをバランスよく)
サケ缶(180g) 1個
ジャガイモ 1個
牛乳 2カップ
パセリ 小1
塩 適宜
コショウ 適宜
.<作り方>
1.ファイトケミカルスープを鍋に入れ、ファイトケミカルスープの具材と同じくらいの大きさに切ったジャガイモとサケ缶(汁ごと)を加える。
2.強火でふたをし、沸騰するまで煮込む。
3.沸騰しジャガイモが煮えたら牛乳を加える。
4.火を強めスープが温まったら、お好みで塩、コショウを加える。
5.パセリを散らせ完成。


野菜と果物の7色のファイトケミカルと食品例がやさいでだんらんのHPに載っている。


歯の健康を維持する食べ物

2014-02-10 | 健康
 
歯は一生もの。最後の日まで自分の歯で食事をしたいものだ。虫歯を予防することはもちろん、歯茎や、口腔内の環境も快適に保っておきたい。そのためには日ごろから、歯磨きやデンタルフロス、うがいなどでセルフケアをし、定期的に歯医者に行くことが大切になる。「MindBodyGreen」によると、歯医者がすすめる歯にいい4つの食べ物があると言う。
1.チーズ
チーズはカルシウムが豊富で、酸の少ない食べもの。カルシウムは歯を強くして劣化するのを防ぎ、白さを保ってくれるのにも一役買ってくれる。またチーズに含まれるカゼインと呼ばれるたんぱく質は、虫歯予防にも効果的であることがわかってきているそうだ。
2.リンゴ
リンゴやセロリのように歯ごたえがあり、食物繊維が豊富な食べものは歯に良いとされている。歯ごたえがあるものは唾液をよく分泌させ、酸に傾いた口の中を中和してくれるほか、食物繊維が菌を絡めとってくれる働きもあるという。また、適度に硬いものを食べることで歯茎も強くなる。「1日1個のリンゴは医者を遠ざける」というイギリスのことわざがあるが、その医者とは、どうやら歯医者も含まれるようだ。
3.セサミオイル(ごま油)
歯にオイルが良いといわれてもピンとこないかもしれないが、オイルにはプラーク(歯垢)を減少させる働きがあり、歯肉炎に効果的とされている。料理に使って食べるのもいいが、スプーン1杯のごま油を口に含んでうがいをするのもおすすめだそう。ごま油でうがいをすることは、インドの伝統的な医療・アーユルヴェーダで古くから実践されている健康法のひとつ。
4.ブロッコリー
ブロッコリーをはじめとする緑食野菜には鉄が豊富に含まれている。この植物性の鉄が歯にコーティングをほどこし、酸からのダメージを守ってくれることがわかってきたという。食事の初めの方に食べるといいそうだ。

アレルギーの根治を目指す免疫療法

2014-02-10 | 健康

日本人の2人に1人は何らかのアレルギーを持ち、今や「国民病」になっている。

 1月20日、JT傘下の製薬会社である鳥居薬品の株価はストップ高となった。前週の金曜にスギ花粉症治療用の花粉エキス「シダトレン」について、厚生労働省から国内製造販売の承認を受けたことが好感されたものだ。

 さまざまな種類のアレルギー薬が販売されているが、シダトレンは全く毛色が異なる。抗ヒスタミン薬など既存のクスリは、目のかゆみや鼻水、鼻詰まりなどの症状を一時的に抑える対症療法。対して、シダトレンは「舌下免疫療法」というスギ花粉症の根治を目指す治療に使われる。
根治療法への待望論が膨らむ背景には、スギ花粉症などアレルギー患者数の急増がある。1998年に16.2%だったものが2008年には26.5%となり、10.3ポイントも上昇した。今や国民の4人に1人、およそ3000万人がスギ花粉症患者になっているのだ。一度発症すると大半は治ることがないので、雪だるま式に増えてきた。
 問題はスギ花粉症だけではない。アレルギー性鼻炎全体で見ると、有病率は98年の29.8%からさらに上昇し、08年では39.4%に達している。
 食物アレルギーは小・中・高等学校で有症率4.5%まで増え、有症者数は約45万人に上る。食物アレルギーは大人でも増えている。
 実は食物アレルギーの治療も、常識が百八十度転換する激変ぶりを見せている。スギ花粉症の舌下免疫療法と同じように、“治す〟ための「経口免疫療法」が一部で始まっている。
 
 アレルギーは、花粉やダニ、動物の毛、フケなど環境中に広く存在するさまざまなアレルギー物質、時には食べた食物を自分の免疫が異物として認識して過剰反応し、炎症を起こすことによって発症する。気管支に発症すればぜん息、鼻粘膜に発症すればアレルギー性鼻炎、目の粘膜ならばアレルギー性結膜炎となる。
 多くのアレルギーには、IgE抗体と呼ばれる物質が関与しており、これにアレルギー物質が結合すると、ヒスタミンなどのさまざまなアレルギーを引き起こす化学伝達物質が作られる。
 アレルギーになりやすい体質の場合、乳児期のアトピー性皮膚炎や食物アレルギーから始まり、幼児期にはぜん息、思春期にはアレルギー性鼻炎など、成長に伴ってアレルギー症状が変わり、アレルギー症状が増えていく傾向にある。アレルギー疾患に順番にかかっていく様を行進に例えて「アレルギーマーチ」とも呼ばれる。最近はすべてのアレルギー疾患が低年齢化する傾向にあり、幼児期からぜん息や花粉症などのアレルギー性鼻炎を発症することがある。
国民の2人に1人が何らかのアレルギーを抱える現代、経済面でもビジネス面でもアレルギーの影響は無視できないものとなっている。2000年にまとめた旧科学技術庁の報告書は、スギ花粉症による経済損失が年間2860億円に上ると推計している。当時から患者数が倍増した現在、損失額は5000億円規模になっていても不思議ではない。

 ただ、アレルギーに悩む人口が多くなれば、ビジネスチャンスも膨らむ。アレルギーの治療や対策に関わる市場は拡大しており、医療用医薬品、市販医薬品、食品・飲料、健康補助食品、日用品・化粧品、家電・インテリアを合計するとすでに1兆円を超え、今後、さらなる成長が見込まれている。

 一方で、せっけん「茶のしずく(旧商品)」で約3000人が小麦アレルギーを発症したように、アレルギーのトラブルは頻発している。アレルギーに絡むリスクも無視できない。 (『週刊ダイヤモンド』副編集長 臼井真粧美)


シダトレンは花粉エキスを元にした薬で、使用方法は、1日1回、舌下に垂らして2分後に唾液と一緒に飲み込むだけ。減感作療法といって、アレルギーの原因となる物質を長時間かけて少しずつ投与し、身体を徐々に慣らしていく治療法だ。これまでも皮下注射による減感作療法を行っている病院はあったが、この薬なら痛みもなく自宅で簡単に服用できる。臨床試験では1年半の投薬で80%以上が効果を実感している。(完治・・・10% 症状が半分程度になった・・・50% 症状が軽くなった・・・20% 変化なし・・・20%)
ただし、良いことばかりではなく、アナフィラキシーショック等の急激なアレルギー反応を引き起こす危険性があるので、投与については慎重に判断する必要がある。そのため、処方することができるのは学会や製薬会社の講習会を受講し、登録が認められた医師のみ。現在は舌下投与による減感作療法は保険で認められていない。今年の5月~6月には保険が適用される見込みだ。適応患者は12才以上65才未満。治療期間は2~3年になるという。


ビタミンEと抗酸化物質は肺がんを増大させる。

2014-02-08 | 健康

健康のためにサプリメントを摂取している人は少なくない。そのサプリの1つであるビタミンEや抗酸化物質を、初期の肺がんを患う人が摂取するとがんの進行を早めることがマウスを使った実験で明らかになった。スウェーデンの研究者らが肺がん初期のマウスに、ビタミンEと抗酸化物質アセチルステインを投与してその影響を調べた。その結果、ビタミンEなどが投与されなかったグループに比べ腫瘍の増大が認められた。しかも腫瘍の性質がより攻撃的になり、死亡するのも早かった。研究責任者のマーティン・バーゴ博士は「抗酸化物質の摂取で腫瘍の増加は3倍になった」と話す。また、腫瘍の成長スピードはビタミンEと抗酸化物質の投与量に比例することもわかった。
抗酸化物質は、遊離基と呼ばれる分子によって引き起こされる細胞のダメージを止める働きがある。研究チームによると、遊離基による細胞破壊がDNAに及ぶとがんにつながるが、抗酸化物質はこうした破壊から体を守る役目がある。しかし、すでに細胞のDNAに破壊が起こっているときは、抗酸化物質は本来とまったく逆の役割を果たしてしまうのだという。
今回の結果はあくまでもマウスの実験から得られたもので、人間にもあてはまるのかどうかは今後の研究課題だ。

良質の睡眠をとらなければ、がん細胞の成長スピードが加速し、しかもがん細胞の性質が攻撃的になることが最近の研究でわかった。睡眠が断続的になることで免疫システムにダメージが加わり、免疫をコントロールしたり、初期のがん細胞を排除しようとしたりする能力が損なわれるためという。研究では、腫瘍細胞をネズミに注入し、静かな環境で睡眠をとるグループと、2分おきに電動ブラシが作動して睡眠が妨害されるグループを比較した。4週間続けたところ、睡眠が妨害されたグループのネズミの腫瘍は、安眠グループに比べ2倍の大きさになっていた。また、睡眠不足が免疫機能を低下させ、がん細胞の攻撃性を強めることもわかった。
研究を主導したシカゴ大学コマーこども病院の小児科部長デイビッド・ゴザル氏は「睡眠と腫瘍の間にはつながりがあるのではないかと考えられていたが、今回の研究はそれを疫学的に証明するもの」と意義を強調する。また、「中年以降に睡眠障害とがんの両方を抱える人の割合が多くなることも、今回の研究成果と相関関係があると考えられる」と指摘している。

今まで良いとされていたビタミンEや抗酸化物質ががん細胞の勢いを促進するとは???どういう仕組みでがん細胞に働きかけるのか、今一わからない。とにかく、健康に良いと思って摂取していても後で害があるとされる物質には事欠かない。いくら好結果をもたらすものでも過剰に摂取することは止めた方が良いだろう。
睡眠障害ががん細胞を増殖させると言うことは、ありそうなことだ。睡眠に限らず、ストレスは万病のもと、気をつけるに越したことはない。


馬と子犬の友情ーバドワイザーのスーパーボウル向けCM

2014-02-01 | 健康
泣くのは笑うことより健康とストレス解消に有効だと言う。
人前で泣けない人は多いだろうが、1人でも泣けなくなっている人は要注意かもしれない。

脳ストレスをコントロールするのに効果的なセロトニン研究者である、東邦大学医学部統合生理学教授・有田秀穂先生によると、泣くことは「心と身体を健康に導くチカラがある」ことが近年わかってきたと言う。人間が流す涙は、ドライアイ防止や角膜保護のために分泌される「基礎分泌の涙」、「玉ねぎを刻んだ時や目にゴミが入った時に防御のために出る「反射の涙」、そして悲しみや感動で流す「情動の涙」の3種類に分けられる。
「情動の涙」とは、感情が高まることで流れる涙で、脳の司令塔とも呼ばれる「前頭前野」に血流が増え、激しく興奮することで涙が出る。この涙には他者への共感があり、子どもは共感ができず、この涙は流せない。つらいことや悲しいことを乗り越え、共感を司る前頭前野が鍛えられた大人だからこそ流せる涙だと言う。
 
また、泣くことは眠ることと同じくらいリラックス作用がある。人はストレスを感じると、交感神経が極端な緊張状態になり、交感神経の優位な状態が続く。この緊張をゆるめ、ストレス解消する方法は眠ることと涙を流すこと。泣くのをがまんすると、ストレスが解消しないばかりか、また新たなストレスにつながってしまう。その状態が続くと、高血圧や胃潰瘍などになる危険性も高まる。 笑うことも、免疫力が高まり健康につながると言われるが、ストレス解消という意味では、泣く方が効果が持続すると言う。

スーパーボウルの視聴者数は1億人を越え、スポンサー各社は毎年スーパーボウル向けに特別なCMを制作している。昨年の好評を博したのはビール会社大手〈バドワイザー〉が制作した「馬と調教師(トレーナー)の別れと再会」を描いたCMだったが、今年もバドワイザーのCMが昨年を上回る勢いで評判になっている。CMはYouTubeにもアップされていて、2,670万回以上視聴されている。
今回の主役は馬と子犬。厩舎の隣にブリーダーの施設があり、そこから1匹の子犬が柵をくぐり抜けてやってくる。子犬は馬と友達になるが、トレーナーに見つかって、施設に送り届けられる。それでも、何度も柵をくぐり抜けてやってくる子犬。やがて子犬は引取先が決まり、飼い主となる男性の車に乗せられて施設を去っていく。馬と別れたくない子犬は窓にしがみついて鳴き、馬もそれを聞きつけて柵を跳び越え、車を追いかけていく。そして……。バドワイザーの愛称バド(bud)には「親友」「相棒」という意味がある。今年のCMも「best buds」のイメージを伝える感動的なストーリーになっている。

昨年のCM。こちらの方が涙腺をより刺激するようです。

劇場で大泣きした映画、The Horse Whisperer(モンタナの風に抱かれて)のフルバージョンがYou Tubeにアップされていた。ロバートレッドフォードもいいが、モンタナの風景も素晴らしい。時間のある方はどうぞ。
ニューヨークで暮らす弁護士のロバート、雑誌編集長のアニー、13歳の一人娘グレース。ある日、グレースが乗馬中の事故で親友と右足を失い、愛馬ピルグリムは事故のショックで暴れ馬になってしまった。深く傷ついた娘と馬を立ち直らせるため、アニーは弁護士の夫ロバートをひとりニューヨークに残し、馬を癒す能力(ホース・ウィスパラー)を持つカウボーイ、トム・ブッカーの元を訪れる。トムはアニーの強引な態度に呆れるが、グレースが協力するならばという条件つきでピルグリムの治療を引き受ける。トムの自然に逆らわない優しく誠実な治療法により、ピルグリムは徐々に回復し、グレースも少しずつ笑顔を取り戻していった。そしてアニーはトムに、またトムもアニーに、心惹かれはじめる。そんな時、アニーに会社から解雇命令が届いた。トムに恋していたアニーは、意外にも全くショックはなかった。あるキャンプの夜、ふたりはキスを交わすことになる。しばらくして、ロバートがニューヨークからやって来た。ロバートはすっかり元気になった娘の姿を見て、トムに心から感謝するが、アニーはそんな夫を見ているのがつらかった。やがてピルグリムはグレースを背に乗せ、歩けるまでに回復する。そろそろモンタナを去る時が来たようだ。ロバートはアニーのトムに対する感情に気づいており、すべてを彼女の決断にまかせることにした。アニーは悩んだあげく、恋心を引きずったまま、夫と共にニューヨークに帰っていくのだった。

 雄大なモンタナの大自然を舞台に、傷ついた少女と馬の癒しと再生、男と女の切ない愛の交わりを、美しい映像で綴っていくドラマ。監督・製作・主演はハリウッドを代表する名優ロバート・レッドフォード。共演は「イングリッシュ・ペイシェント」のクリスティン・スコット・トーマス。

 


がんが治る未来

2014-01-26 | 健康
岡山大大学院医歯薬学総合研究科の藤原俊義教授らの研究グループは、ウイルス製剤「テロメライシン」が休眠状態にある細胞周期を回転させることで効率よく胃がん幹細胞を殺傷することを世界で初めて明らかにした。「テロメライシン」は同大学で開発された国産の抗がんウイルス製剤。岡山大学発のバイオベンチャー企業オンコリスバイオファーマ株式会社によって臨床開発が進められている。「テロメライシン」ががん細胞に感染すると1日で10万~100万倍に増え、がん細胞を破壊する。正常組織細胞にも同様に感染はするが、がん細胞破壊に関与する酵素テロメラーゼの活性化がないため、ウイルスが増殖せず、正常組織での損傷は少ないという。
がん幹細胞は分裂して自分と同じ細胞を作り出したり、いろいろな細胞に分化することが可能で、分裂停止状態を維持した“休眠状態”に留まることもできるため、増殖期にある細胞には有効な抗がん剤や放射線が休眠状態のがん幹細胞に効きにくく、再発の原因となっていた。
研究グループの実験によって、がん幹細胞が持つ周期に「テロメライシン」が影響を与え、休眠期から活動期に移行させることで効率よく細胞死を誘導できることが判明した。
がんは1981年以降、日本人の死因の第1位を占めてきたが、今回の研究成果によって「テロメライシン」ががんの再発を防ぎ、根治を目指した治療戦略の確立に有効であると考えられる。


熊本大学でもがん転移の抑制効果のある酵素が発見された。発見したのは熊本大大学院生命科学研究部の尾池雄一教授らの研究グループ。
正常な細胞に比べて肺がんや乳がんのがん細胞から多く分泌されるたんぱく質「ANGPTL2」にがん細胞を活発にし、転移を促進させる機能があることはこれまでの研究でわかっていたが、同研究グループは「ANGPTL2」とは逆にがん細胞で分泌が減る酵素「TLL1」が「ANGPTL2」を切断することを発見した。また、「ANGPTL2」が切断されることによってがんの進行が遅くなることもマウスの実験によって明らかとなった。「MMPs」と呼ばれる酵素が「ANGPTL2」を活性化させることも判明したという。
今後、「TLL1」が人体に与える影響や、「ANGPTL2」が切断されることによって起きる副作用の可能性なども明らかにしていく必要があるが、「TLL1」を活性化させる方法が見つかれば、がん転移を抑える治療薬の開発に向けて大きく前進すると期待される。

ガン医療分野における研究は日進月歩の進化を遂げている。がんが治る未来は案外早く訪れるかもしれない。


睡眠薬

2013-11-11 | 健康

睡眠薬には3種類ある。種類により、睡眠を促すメカニズムや、効果の範囲、副作用の度合いが異なる。
・バルビツール酸系
脳に直接作用し、睡眠を促す効果が強く、睡眠だけでなく呼吸にも影響が及んでしまう。バルビツール酸系は、過去には主流であった。麻酔の一種でもあるため、摂取量を間違えると命に関わる場合もある。現在ではほとんど使用されていない。
・ベンゾジアゼピン系
ベンゾジアゼピン系 の睡眠薬は、現在主流となっている睡眠薬。
脳内の抑制の神経伝達物資である「GABA」の催眠作用を増強し、自然な眠りを促す。しかし副作用の危険性は未だ残っており、特に依存性の問題がある。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬を長期間利用すると、 体内で耐性が出来上がる 。よって、睡眠効果を得るためには内服量を増やすことになり、日中の眠気がとれない状態になってしまう。
また、医師に相談しない状態で服用し、自己判断で急に服用をやめると 反跳性不眠
や 離脱症 という、服用前よりも症状が悪化した状態になる。
・非ベンゾジアゼピン系
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬 は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の副作用を軽減させるために開発された。
マイスリー
アモバン
このどちらも速効性のある超短時間型睡眠薬。

睡眠薬は、 半減期 というものによっても分類を行うこともできる。
半減期とは、睡眠薬を服用してから、効果を及ぼす成分の血中濃度が最高値の半分になるまでの時間。

1.超短時間作用型
作用発現時間:10~15分程度
作用持続時間:2~4時間程度
超短時間作用型睡眠薬は、主に寝つきになんらかの障害がある入眠障害の人に処方される。
ハルシオン
マイスリー
ルネスタ
アモバン
2.短時間作用型
作用発現時間:15~30分程度
作用持続時間:6~10時間程度
短時間作用型睡眠薬は、主に夜に何らかの理由で目が何度も覚めてしまう中途覚醒の症状を持つ人に処方される。
リスミー
ロラメット
レンドルミン
3.中間作用型
作用発現時間:30分程度
作用持続時間:20~25時間程度
早朝に目が覚めてしまう早朝覚醒の症状を持つ人に処方される。作用持続時間が長いため、次の日の日中においても眠気が残る。
ユーロジン
ベンザリン
ロヒプノール
4.長時間作用型
作用発現時間:30分~1時間程度
作用持続時間:かなり長時間
長時間作用型睡眠薬は、主にうつ病等の精神的な疾患を持つ人に、抗不安薬として処方される。
ソメリン
ドラール
ダルメート

以上は医師の処方なしには購入できないが、市販されている睡眠改善薬がある。

・エスエス製薬  「ドリエル」、「ドリエルEX」
・グラクソ・スミスクライン  「ナイトール」
・大正製薬  「ネオデイ」
・サトウ製薬  「マイレスト」
・第一三共ヘルスケア  「グ・スリーP」
・カイゲン  「プロリズム」
・大昭製薬  「カローミン」
・浅田飴  「おやすみーな」
・東宝製薬  「ドリーネン」

これらの睡眠改善薬は、すべてが主な成分として中枢作用の強い抗ヒスタミン剤である「塩酸ジフェンヒドラミン」が配合されている。
塩酸ジフェンヒドラミンは、皮膚のかゆみを鎮める、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状を抑える目的で広く使われているが、確かに眠気を催すという副作用がある。
つまり、睡眠改善薬は、塩酸ジフェンヒドラミンの持つ催眠作用を利用してつくられているわけだ。
上記の睡眠改善薬は、錠剤タイプ・カプセルタイプ、1回1錠・2錠などの違いはあるが、すべて1回あたりの塩酸ジフェンヒドラミンは50mgである。そのため、期待される効果・効能の面では、ほとんど同じといってよい。

私が時々服用しているマイスリーは超短時間型睡眠薬ということだ。以前、お湯で服用して、うわ言に近いことを口走り周りを不安にさせたことがある。調べてみると重大な副作用として以下のものが報告されている。

・依存:長期間多量に服用した場合、体が薬に慣れ、薬をやめにくくなる。急に中止すると、強い不安感、ふるえ、けいれん、混乱、幻覚症状等があらわれる場合がある。
・精神症状:朦朧状態、異常行動、夢遊症状、興奮、取り乱す、幻覚(もともと精神障害がある場合可能性大)
・一過性前向性健忘:服薬後、寝るまでの事を覚えていない、 夜中に起きたときの事を覚えていない、朦朧状態。
・呼吸抑制・炭酸ガスナルコーシス:息苦しい、窒息感、翌朝の頭痛、頭が重い。
・肝臓の重い症状:だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が褐色。

私が経験したのは幻覚と言う副作用に近い症状だ。周りのものが歪んで見えたり、二重三重に見えた。服用後しばらく起きていると、確かに周りのものが湾曲したり、うごめいたり、気味の悪い視覚障害が起こる。10分で効き目が表れると言うことだから、服用した後はすぐに寝床に入るべきだろう。確かに朝まで持続せず、夜中に目が覚めることがある。


高血圧

2013-11-10 | 健康

高血圧について、情報収集してきた知識をまとめてみた。

高血圧症とは動脈に異常に高い圧がかかる状態で、放っておくと合併症を引き起こす。現在治療中の患者数は約 700 万人、未治療の人を含めると約 3000 万人いるといわれている。
高血圧症の原因
1. 本態性 以下の諸要因がなく遺伝素因によるとされており、高血圧の中で最も多いタイプ。
2. 腎実質性 腎機能が悪くなると血圧が高くなる。
3. 腎血管性 何らかの原因で腎動脈が狭窄すると、昇圧物質が分泌されて高血圧になる。
4. 内分泌性 甲状腺機能亢進症、原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫といった疾患では高血圧になる。
5. 心臓性   大動脈弁閉鎖不全症などで高血圧になる。
 
高血圧症の症状は、頭痛 、肩こり、耳鳴り、めまい、動悸、吐き気、手足のしびれ等。 高血圧症の合併症には血圧が高いことによるものと、動脈硬化によるものがある。
脳浮腫、脳出血、クモ膜下出血、心肥大・心不全、腎硬化症、大動脈解離、脳梗塞など、重篤なケースになる場合も多い。
軽症高血圧 140 ~ 159       または        90 ~ 99
中等症高血圧 160 ~ 179      または       100 ~ 109
重症高血圧 180 以上        または       110 以上
 
 減量、有酸素運動、アルコール制限、禁煙、減塩など非薬物療法で、軽症高血圧症なら 80% 以上が改善可能。筋力トレーニングは血圧を急激に上昇させるので不向き。
薬物療法には、血管を拡張する薬、利尿を促進する薬、交感神経から緊張をとる薬などがある。
起床後1時間以内、排尿後、服薬前、朝食前の安静時、座位1 - 2分後に測定。夜の場合は就床前の安静時、座位1 - 2分後に測定。家庭血圧は135/85 mmHg以上は治療対象、125/75 mmHg未満を正常血圧と見なす。
 
 一般的に病院で高血圧と診断される大部分の原因は、上行大動脈の動脈硬化症による脳内酸欠を防ぐため、血圧が上がっている状態。
 食塩の過剰摂取が高血圧の大きなリスクとなるのは、身体の電解質調節システムに原因がある。細胞外液中でナトリウムをはじめとする電解質の濃度は一定に保たれており、この調節には腎臓が大きな役割を果たしている。濃度が正常より高いと飲水行動が促され、腎では水分の再吸収が促進される。反対に、濃度が低い場合は腎で水分の排泄が進む。結果として、血中のナトリウムが過剰の場合は、濃度を一定に保つため水分量もそれに相関して保持され、全体として細胞外液量が過剰となる。
腎のナトリウム排泄能(通常、ナトリウム0.15-0.3mol/日、食塩9-18g/日に相当)を超えて塩分を摂取している場合、上記のメカニズムで体液量が増加して高血圧を来す。ナトリウム過剰で高血圧をきたしやすい遺伝素因も存在することが確認されている。食塩感受性高血圧の病態については、摂取したナトリウムを腎から排泄しきれず、夜間も腎臓でナトリウム排泄のため多くの血流を要する夜間高血圧が良い説明モデルとなる。
 
 アンジオテンシンは昇圧作用を持つ生理活性物質。アンジオテンシンI~IVの4種があり、アンジオテンシンII-IVは心臓収縮力を高め、細動脈を収縮させることで血圧を上昇させる。腎臓の傍糸球体細胞から分泌されるレニンの作用によって、アンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンI が作り出され、これがアンジオテンシン変換酵素、キマーゼ、カテプシンGの働きによって、アンジオテンシンII に変換される。  アンジオテンシンI は昇圧作用を有さず、アンジオテンシンII が最も強い活性を持つ。(アンジオテンシンIII は II の4割程度の活性で、IV は更に低い)。 アンジオテンシンII は副腎皮質にある受容体に結合すると、副腎皮質からのアルドステロンの合成・分泌が促進される。このアルドステロンの働きによって、腎集合管でのナトリウムの再吸収を促進し、これによって体液量が増加する事により、昇圧作用をもたらす。また、脳下垂体に作用し利尿を抑えるホルモンである抗利尿ホルモンであるバソプレッシン(ADH)の分泌を促進し、水分の再吸収を促進することにより、昇圧作用をもたらす。
脂肪細胞が肥大化すると、つまり肥満すると、上記のメカニズムで昇圧作用が起こる。活性化アンジオテンシノーゲンは肝臓で産生されるが、肥大化脂肪細胞からも産生、分泌される。
肥満患者に高血圧症が多いのはこのためである。
 
 このように高血圧になるのも体を正常に保つための生理的反応なので、その原因を調べ、その原因を取り除く努力が必要だ。原因を放置したまま、みだりに降圧剤を飲み、強制的に血圧を下げるのは危険と言える。原因が取り除けない場合、どちらの病態がどれだけリスクが高いか勘案し、適切なさじ加減で降圧剤を服用することになる。
 
 たとえば、食後低血圧になりやすい人は注意が必要だ。腸が食物消化をするには多くの血流が必要になる。そのため腸に大量の血液が集まると、腸以外の血圧は低下していくが、血圧維持のために自律的に「心拍増」、「他の部位の血管収縮」などの作用により血圧を上昇させる。しかし、血圧降下薬剤を服用している場合、血流は正常に腸へ集まるが、薬剤の効果により血圧上昇が抑制され、結果的に低血圧の症状としてめまいが発生する。血圧低下は一時的な物で、血流の腸への集中が解消されると低血圧症状も解消する。高血圧な人、高齢者や自律神経系を管理する脳部位に障害を有する人(パーキンソン病、多系統萎縮症、糖尿病)はこの食後低血圧を起こしやすい。精密な病態の診断が最適な治療には不可欠である。まず、食事療法や運動療法を行い、それでも140/90mmHgを超えている場合は降圧薬による薬物治療を開始する。
 
 Ca受容体拮抗薬は副作用が少なく血圧を大きく下げるため、多くの場合で有用である。降圧利尿薬は廉価であるが、耐糖能の悪化や尿酸値上昇、低カリウム血症といった副作用により、敬遠する医師が多かった。しかし多くの臨床試験によってACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬などの最近の高価な降圧薬と同等か、それ以上の脳卒中、心筋梗塞予防、心不全改善、腎保護効果が明らかになっており、最近見直され処方する医師が増えている。日本の医療は国民皆保険であり、コストを考える必要はあまりないため、リスクの低い患者であっても最初から高価で切れ味の良いACE阻害薬やAII拮抗薬から始める場合が多い。
 糖尿病や腎障害の患者では、ACE阻害薬またはAII拮抗薬を第一選択とするが、これらの合併症がある場合には、130/80mmHg未満の一層厳格な降圧が必要とされるために長時間作用型Ca拮抗薬の併用も不可欠である。腎障害が高度な場合にはACE阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬は用いることができない。
 
 高齢者高血圧に関して、以前は根拠がないままに積極的な降圧は必要がないとされていた。しかし最近の大規模臨床試験では、年齢に関わりなく積極的な降圧が必要であることを明らかにしており、欧米の高血圧治療ガイドラインでは年齢による降圧目標値の設定は行っていない。日本の高血圧治療ガイドラインも、2004年版では高齢者高血圧も140/90mmHg未満までの降圧が必要であるというように変更された。
 
 もともと私は高血圧の家系である。肥満していた40代頃から、血圧は140-90近辺だった。50代で医者の勧めで降圧剤を飲み始めた。最初から、AII拮抗薬を服用した。最初処方されたものは全く効かず、二度目に処方されたものがびっくりするほど効果があった。4年前、胃切除で激やせし、降圧剤は不要となった。それから4年、じわじわと血圧が上がり、中程度の高血圧症になってしまった。気持ちを穏やかにすること、お腹の調子を良くすること、適度な運動をすることなど心がけたが、改善せず、観念して、また降圧剤を常用し始めた。効果は抜群で正常血圧に戻ったが、高血圧に体が慣れていたと見え、正常血圧にも拘らず低血圧の症状に悩まされている。
 
 ネット検索だけでも以上のような知識が得られる。医者のアドバイスをうのみにすることなく、自分の体は自分で管理することが大切だ。食事に影響があるほど多量の薬を服用している高齢者が多い。本当に健康な長寿につながっているのだろうか?周りには高血圧やがんが診断されても、活動的な日常生活を生き生きと送っている高齢者が多い。不定愁訴が多く、いつも胃炎やうつ的症状に悩まされていたパートナーも退職後、信じられないほどの健康体になった。ストレスのない生活が一番の良薬のようである。これからはパートナーの私がストレスにならないように努力しなければならない・・・・