
高血圧について、情報収集してきた知識をまとめてみた。
高血圧症とは動脈に異常に高い圧がかかる状態で、放っておくと合併症を引き起こす。現在治療中の患者数は約 700 万人、未治療の人を含めると約 3000 万人いるといわれている。
高血圧症の原因
1. 本態性 以下の諸要因がなく遺伝素因によるとされており、高血圧の中で最も多いタイプ。
2. 腎実質性 腎機能が悪くなると血圧が高くなる。
3. 腎血管性 何らかの原因で腎動脈が狭窄すると、昇圧物質が分泌されて高血圧になる。
4. 内分泌性 甲状腺機能亢進症、原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫といった疾患では高血圧になる。
5. 心臓性 大動脈弁閉鎖不全症などで高血圧になる。
高血圧症の症状は、頭痛 、肩こり、耳鳴り、めまい、動悸、吐き気、手足のしびれ等。 高血圧症の合併症には血圧が高いことによるものと、動脈硬化によるものがある。
脳浮腫、脳出血、クモ膜下出血、心肥大・心不全、腎硬化症、大動脈解離、脳梗塞など、重篤なケースになる場合も多い。
軽症高血圧 140 ~ 159 または 90 ~ 99
中等症高血圧 160 ~ 179 または 100 ~ 109
重症高血圧 180 以上 または 110 以上
減量、有酸素運動、アルコール制限、禁煙、減塩など非薬物療法で、軽症高血圧症なら 80% 以上が改善可能。筋力トレーニングは血圧を急激に上昇させるので不向き。
薬物療法には、血管を拡張する薬、利尿を促進する薬、交感神経から緊張をとる薬などがある。
起床後1時間以内、排尿後、服薬前、朝食前の安静時、座位1 - 2分後に測定。夜の場合は就床前の安静時、座位1 - 2分後に測定。家庭血圧は135/85 mmHg以上は治療対象、125/75 mmHg未満を正常血圧と見なす。
一般的に病院で高血圧と診断される大部分の原因は、上行大動脈の動脈硬化症による脳内酸欠を防ぐため、血圧が上がっている状態。
食塩の過剰摂取が高血圧の大きなリスクとなるのは、身体の電解質調節システムに原因がある。細胞外液中でナトリウムをはじめとする電解質の濃度は一定に保たれており、この調節には腎臓が大きな役割を果たしている。濃度が正常より高いと飲水行動が促され、腎では水分の再吸収が促進される。反対に、濃度が低い場合は腎で水分の排泄が進む。結果として、血中のナトリウムが過剰の場合は、濃度を一定に保つため水分量もそれに相関して保持され、全体として細胞外液量が過剰となる。
腎のナトリウム排泄能(通常、ナトリウム0.15-0.3mol/日、食塩9-18g/日に相当)を超えて塩分を摂取している場合、上記のメカニズムで体液量が増加して高血圧を来す。ナトリウム過剰で高血圧をきたしやすい遺伝素因も存在することが確認されている。食塩感受性高血圧の病態については、摂取したナトリウムを腎から排泄しきれず、夜間も腎臓でナトリウム排泄のため多くの血流を要する夜間高血圧が良い説明モデルとなる。
アンジオテンシンは昇圧作用を持つ生理活性物質。アンジオテンシンI~IVの4種があり、アンジオテンシンII-IVは心臓収縮力を高め、細動脈を収縮させることで血圧を上昇させる。腎臓の傍糸球体細胞から分泌されるレニンの作用によって、アンジオテンシノーゲンからアンジオテンシンI が作り出され、これがアンジオテンシン変換酵素、キマーゼ、カテプシンGの働きによって、アンジオテンシンII に変換される。 アンジオテンシンI は昇圧作用を有さず、アンジオテンシンII が最も強い活性を持つ。(アンジオテンシンIII は II の4割程度の活性で、IV は更に低い)。 アンジオテンシンII は副腎皮質にある受容体に結合すると、副腎皮質からのアルドステロンの合成・分泌が促進される。このアルドステロンの働きによって、腎集合管でのナトリウムの再吸収を促進し、これによって体液量が増加する事により、昇圧作用をもたらす。また、脳下垂体に作用し利尿を抑えるホルモンである抗利尿ホルモンであるバソプレッシン(ADH)の分泌を促進し、水分の再吸収を促進することにより、昇圧作用をもたらす。
脂肪細胞が肥大化すると、つまり肥満すると、上記のメカニズムで昇圧作用が起こる。活性化アンジオテンシノーゲンは肝臓で産生されるが、肥大化脂肪細胞からも産生、分泌される。
肥満患者に高血圧症が多いのはこのためである。
このように高血圧になるのも体を正常に保つための生理的反応なので、その原因を調べ、その原因を取り除く努力が必要だ。原因を放置したまま、みだりに降圧剤を飲み、強制的に血圧を下げるのは危険と言える。原因が取り除けない場合、どちらの病態がどれだけリスクが高いか勘案し、適切なさじ加減で降圧剤を服用することになる。
たとえば、食後低血圧になりやすい人は注意が必要だ。腸が食物消化をするには多くの血流が必要になる。そのため腸に大量の血液が集まると、腸以外の血圧は低下していくが、血圧維持のために自律的に「心拍増」、「他の部位の血管収縮」などの作用により血圧を上昇させる。しかし、血圧降下薬剤を服用している場合、血流は正常に腸へ集まるが、薬剤の効果により血圧上昇が抑制され、結果的に低血圧の症状としてめまいが発生する。血圧低下は一時的な物で、血流の腸への集中が解消されると低血圧症状も解消する。高血圧な人、高齢者や自律神経系を管理する脳部位に障害を有する人(パーキンソン病、多系統萎縮症、糖尿病)はこの食後低血圧を起こしやすい。精密な病態の診断が最適な治療には不可欠である。まず、食事療法や運動療法を行い、それでも140/90mmHgを超えている場合は降圧薬による薬物治療を開始する。
Ca受容体拮抗薬は副作用が少なく血圧を大きく下げるため、多くの場合で有用である。降圧利尿薬は廉価であるが、耐糖能の悪化や尿酸値上昇、低カリウム血症といった副作用により、敬遠する医師が多かった。しかし多くの臨床試験によってACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬などの最近の高価な降圧薬と同等か、それ以上の脳卒中、心筋梗塞予防、心不全改善、腎保護効果が明らかになっており、最近見直され処方する医師が増えている。日本の医療は国民皆保険であり、コストを考える必要はあまりないため、リスクの低い患者であっても最初から高価で切れ味の良いACE阻害薬やAII拮抗薬から始める場合が多い。
糖尿病や腎障害の患者では、ACE阻害薬またはAII拮抗薬を第一選択とするが、これらの合併症がある場合には、130/80mmHg未満の一層厳格な降圧が必要とされるために長時間作用型Ca拮抗薬の併用も不可欠である。腎障害が高度な場合にはACE阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬は用いることができない。
高齢者高血圧に関して、以前は根拠がないままに積極的な降圧は必要がないとされていた。しかし最近の大規模臨床試験では、年齢に関わりなく積極的な降圧が必要であることを明らかにしており、欧米の高血圧治療ガイドラインでは年齢による降圧目標値の設定は行っていない。日本の高血圧治療ガイドラインも、2004年版では高齢者高血圧も140/90mmHg未満までの降圧が必要であるというように変更された。
もともと私は高血圧の家系である。肥満していた40代頃から、血圧は140-90近辺だった。50代で医者の勧めで降圧剤を飲み始めた。最初から、AII拮抗薬を服用した。最初処方されたものは全く効かず、二度目に処方されたものがびっくりするほど効果があった。4年前、胃切除で激やせし、降圧剤は不要となった。それから4年、じわじわと血圧が上がり、中程度の高血圧症になってしまった。気持ちを穏やかにすること、お腹の調子を良くすること、適度な運動をすることなど心がけたが、改善せず、観念して、また降圧剤を常用し始めた。効果は抜群で正常血圧に戻ったが、高血圧に体が慣れていたと見え、正常血圧にも拘らず低血圧の症状に悩まされている。
ネット検索だけでも以上のような知識が得られる。医者のアドバイスをうのみにすることなく、自分の体は自分で管理することが大切だ。食事に影響があるほど多量の薬を服用している高齢者が多い。本当に健康な長寿につながっているのだろうか?周りには高血圧やがんが診断されても、活動的な日常生活を生き生きと送っている高齢者が多い。不定愁訴が多く、いつも胃炎やうつ的症状に悩まされていたパートナーも退職後、信じられないほどの健康体になった。ストレスのない生活が一番の良薬のようである。これからはパートナーの私がストレスにならないように努力しなければならない・・・・