人工甘味料は、当初、『糖分摂取制限の必要な人のみ使用』とされていた。ところが、人工甘味料は急速に普及し、多数の食品に使用されている。
いくつかの疫学研究で、ダイエットソーダに含まれている人工甘味料が、カロリーがないのに逆に肥満や糖尿病の原因になることがわかってきた。
テキサス大学は、2009年に、大規模疫学調査により、ダイエットソーダを毎日飲んでいる人は飲んでいない人に比べて、メタボリック症候群や2型糖尿病を発症する可能性が高いことを報告した。
・人工甘味料はカロリーがないから、たくさん食べてもいいと思う
・人工甘味料は天然甘味料より数百倍も甘みをもっているため、人工甘味料を摂取し続けると、さらに甘い食べ物を食べたくなる
・正常な状態では、食後、カロリーは熱すなわちエネルギーに変換されるが、人工甘味料は熱に変換されず、自然に体がエネルギーを要求し、食欲を増進させる。
・糖分摂取後、3~5分で糖分は胃壁から血液中に移動し、膵臓からのインスリン分泌により血糖は正常に維持される。人工甘味料摂取後は、実際血液中の糖の上昇はないので、インスリンの作用で、一時的に血糖が低下する。低血糖は生命に危険なので、体はすぐに空腹という信号を送る。
・膵臓は、人工甘味料を摂取し続けると、徐々に嘘になれて、本物の砂糖を摂取しても、インスリンの分泌をしなくなる。
・甘みは、短期間、気分を向上させることが知られている。インスリンの作用で、糖分は脳のセロトニンの分泌を増加させる。セロトニンは幸せの神経伝達物質。もし、インスリンの分泌が低下すると、幸せ感も低下する。これがひどくなると、うつ症状となる。この状況を克服する手段は、砂糖をとって、インスリンを再分泌させるしかない。たくさん人工甘味料を摂取している人で、抑うつ状態をよく見かけるのは、インスリン分泌の低下のためかもしれない。(JBプレス大西)
いまや日本でもコンビニエンスストアやスーパーにカロリーゼロ食品や低脂肪食品、飲料が並んでいる。カロリーゼロが肥満だけでなく糖尿病やうつ病の原因にもなりかねないとしたら、これはゆゆしき問題だ。さらに大西さんは、日本人ならではの問題もあると言う。
日本人は欧米人に比べてインシュリンの分泌量がかなり低いという。このため、太っていなくても糖尿病になりやすい。カロリーゼロに安心してそうした食品を多く取ると、知らぬ間に糖尿病の危険が迫ってくるというのだ。
大西さんは、こうした最先端の研究をもとにした『カロリーゼロにだまされるな』(ダイヤモンド社、税抜き1600円)を出版した。
本の約半分の分量を「市販の飲み物、食べ物の選び方」として、日本で売られている飲料や食べ物の選び方を示唆してくれる。
「『たらみのゼロカロリー、ライチ&グレープフルーツ味は、せっかくヘルシーなこんにゃくを原料としていても、甘味料として『アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース』を使用し、さらに酸味料や香料を添加しています」
「カロリーゼロ、カロリーフリーをウリにした発泡酒や第3のビールの一部には、甘味料のアセスルファムカリウムなどのほか、カラメル色素が添加されているものがありますので、よく表示を見て選ぶようお薦めします」
例えば、アサヒビールの「アサヒ ブルーラベル」、キリンビールの「濃い味」、サッポロビールの「極ZERO」にはアセスルファムカリウムが添加されている。
アセスルファムカリウムに関しては缶コーヒーにも添加されている商品が多い。日本コカ・コーラでは「ジョージア エメラルドマウンテンブレンド キレの微糖」、「ジョージア ヨーロピアン コクの微糖」。
キリンビバレッジの「FIRE 挽きたて 微糖」、サントリー食品インターナショナルの「ボス 贅沢微糖 芳醇のコク」、アサヒ飲料の「ワンダ 金の微糖」、花王の「ヘルシアコーヒー 微糖ミルク」などがある。
このように具体的な商品名を挙げて問題を指摘している。
昔、サッカリンがいろいろなものに添加されていて、ずいぶん摂食した。それが発がん物質だと言うことで一時使用禁止になって、代わりのもっと毒性がありそうな人工甘味料が使われているようだ。
発ガントクホのキリンメッツコーラはカリフォルニア州で販売するなら「発ガン物質入り」という警告表示が必要だという。 コーラの着色料として使われるカラメル色素の副産物として発生する「4-MI」という物質で、規制が厳しい米カリフォルニア州の1日あたり許容限度の4~5倍にもなる量が1本に含まれているという。
調理油のエコナでは発がん性物質が普通の油の100倍混入しているとして、販売中止になった、いわゆるエコナ騒動が記憶に新しい。
飲料のヘルシアシリーズでは、カナダで肝臓移植まで必要とした高濃度茶カテキンの被害が報告され、フランス・スペインでは発売中止にさえなっている。一般食品は食べ過ぎても、病気になることは無い。一方、特定成分を濃縮した健康食品は、一歩間違うと病気になってしまう。カテキンは、もともと普通のお茶にも含まれている成分だ。ヘルシアの場合、通常の緑茶飲料の5倍にまで増やしている。体脂肪を減らせるという効能のため、まじめな消費者は普通の生活では摂取できない量を摂ってしまうことになる。発ガン促進の疑惑もあるのだが、審議会では安全性を主張する文献が提出されていたため、議論もされなかったようだ。
人工甘味料で言えば、アスパルテームの場合、許容量は40mg/kg/日、アセスルファムカリウムで15mg/kg/日、スクラロースも15mg/kg/日でアスパルテームより3倍ぐらい毒性が高いらしい。
「特保」と認定されて売り上げを伸ばしている健康食品もきちんと情報を精査して選択すべきだ。消費者が自ら情報収集して危険と思われるものは避けるようにしなければならない時代である。