
PF氏のファクトリー
新しいカテゴリーを作りました。
時折登場するPF氏に寄稿して頂くコーナーであります。
PF氏と言っても知らない方もいらっしゃるでしょうから、簡単にご紹介します。
伏見オートサービスを主宰する伏見庸三郎氏は元伊藤忠オートに在籍されたアルファ担当のベテランメカです。
氏との馴れ初めは、ショップ開業の数年後ですから、20年は前でありました。
当時のことを振り返ります。
風の噂で摂津にとても研究熱心(理論的)なメカが居ると聞きました。
曰く、インマニをぶった切って燃焼を研究しているとか、ちょっと派が違うというか恐れ多い人

縁があって、アルフェッタのトーションバー(車高)調整を指導して頂くことになり交流が始まりました。
過去の氏との最大のコラボが世界で一台?の身障者用Spiderの製作でした。
これは氏の協力がなければ決して実現しませんでしたから!。
Drに言わせると氏は間違ってメカになった方だと思います。
本来ならメーカーで設計とか、インストラクターをされてるほうが適職かもしれましぇん。
しかし、そういう方なら実践力はないだろうし、今のように実技の教えを請うことはなかったでしょう。
よって、メカになられて良かったと思います

前置きはさておき、今回調教してもらった商品車である75ミラノ改MT仕様のレポートです。(原文のまま)
75エボルックのミッション抜けとシンクロギヤ鳴り。
エンジンのタペット音が大きいので、調整。
マフラーが痛んでいるので、交換。
以上の内容で、詳しい修理内容は、いつもどうり、お任せコースである。
しばらく、足にして良いとのことだったので、まずは、ミッションのほうから修理し、最後にエンジンという順に作業することになった。
ミッションは、A/Tから、GTV6のものに換装してあり、クラッチはシングルのSZや3.0QVのものが付いていた。おなじOHするなら、エンジンが2.5リッターなので、75のクロスレシオミッションのほうが、乗っていて楽しいので、ちょっと費用はかかるが、手持ちの75T/Sミッションをリビルトして載せかえることにさせてもらった。
元のものと、良いとこ取りの、トランスアクスル換装であるが、T/Sミッションのほうも、一度、どこかで中を開けているようで、インプットシャフト、アウトプットシャフト共に、ロックナットを外して再利用した痕があった。
こうなると、デフのピニオンギヤであるアウトプットシャフトの調整値が、本来のメーカーで組まれたままの値かどうか疑問である。というより、ロックナット再利用は、寸法が元のままなら、ロック位置も元の位置に来るので、それが別の位置でロックしてあるということは、もはや、シムが、ヘタッテいたまま組んだとしか考えられないし、ロックナットを規定値で締めると、簡単に回ったので、シムは、以前の無知なメカが組んだときよりさらにヘタッテいることになる。元のピニオン突き出し量にもどして、本来のトルクでロックナットを締め付けないと、デフのうなり音がでることは、明白である。
当然ながら、シンクロ交換、スリーブ交換プラス、デフのピニオン突き出し調整まですることになった。
トランスアクスルを乗せ替えたあとは、とりあえず、バサバサ音のする穴の開いた
マフラーを交換。
ドクターHから与えられたマフラーは、センターは純正タイプ。リヤーは、初めて使うIAPのパフォーマンスマフラーである。
同時に、やけにリヤの車高が高かったので、リヤスプリングは、当方の手持ちの旧シャンクルのGTV6兼用の強化タイプに変更させてもらった。
この状態で一度試運転し、トランスアクスル、足回り、排気周りが問題ないことを確認してから、いよいよエンジン側のメンテである。
タペット音の音質から、リフターの不良で、いくつかは交換しなければいけないこと、状態によっては、カムシャフトも使い物にならないかもしれないということはわかっていたのだが、ラジエターのアッパータンクの中に、少しだが、ゲル状のものがあり、ヘッドを下ろし、ガスケットも交換することになった。
ヘッドを下ろしたのは正解で、右バンクのタイミングが一齣ずれていて、軽くピストンと触っていた。
この程度の当りでは、バルブが歪んだり、ピストンが焼けたりすることは無いが、気持ちの良いものではない。
バルブリフターも、エキゾースト側4個が完全に使い物にならないし、カムも齧られているので、当方の工場でストックしてあった、非常に状態の良いヘッドを、タペット調整して使うことにした。
もちろんV6エンジンお約束の、水周りのヘドロ掃除も。
今回は、以前にウォーターポンプや、タイミングベルトを交換しているとのことなので、そのあたりのパーツは、すべて再使用している。
エンジン周りを修理で、お任せコースなので、当然ながら、出来上がりの見た目もスマートにしなければいけない。

もともと付いていたA/T車のパワステOILタンクは、マニュアル車の本来の位置に、ステーを製作し純正タンクを使って、付け直した。
エンジン周りの作業がすべて終了し、試運転に行って驚いたのは、排気音である。
エンジンを触るまでは、すこしバサバサ音が残っていたのが、ウソのように軽い音になり、GTV6のような良い音になった。エンジンの回転も、パフォーマンスリヤマフラーのおかげか、今まで知っているノーマルV6エンジンより、軽快に仕上がっている。
この75エボルックの仕事をしているときに、ドクターHが当方の足車にと、156V6を手配してくれ、SOHC12バルブと、DOHC24バルブとの直接比較をする羽目になったのだけれど、パワーでは、24バルブの圧勝。(カタログ値で、30馬力以上の差は、4000~5000RPMトルクの山と、6000以上の回転で圧倒的パワーの差を体感できる。)
ただし、乗っていて、はるかに楽しいのは、SOHCエンジンの75のほうである。
気のあった彼女とドライブしているような感覚である。(間違えても、エッチしているような感覚と書いてはいけない)
これは、私が、通勤で阪神高速往復70キロを、2台の車を交互に乗り換えての感想である。
もし、ドクターが、エンジン修理のできた156と、75エボルックを交換しても良いと言ってくれたら、当然、アルファロメオメカニックの私は、最大パフォーマンスより、75のほうの快感を選ぶことになる。そんな楽しい75エボルック仕様である。

タペット調整しようと思って、点検していたら、タンクに、ゲル状のものが。。。
ヘッドガスケットも交換することに。

ガスケットに、オイルがべたりと。
右バンクのピストンにはインテークバルブとの干渉の痕が・・・・


タペットリフターと、カムシャフトに傷が。。。

ヘドロが水穴に詰まっているのがわかる。

お決まりの、ブロックの底にたっぷりのヘドロも掃除して。。

よくオイルのにじむ、カムシャフトの分解タイプのハブのオイルシールも交換して。。

リヤーの車高も下がって、迫力満点 エンジンの最終調整

リヤーマフラーの出口も左右曲がりを反転し、ステンパイプでマフラーカッター風に修正
以上、PF氏からの初寄稿です。
氏の作業で感心するのは理論と実践が完全に融合していることでしょう。
仕上げの綺麗なところ(
次回は門外漢ならぬプロでも難しいType116(トランスアクスル系)のデフのバックラッシュ調整をレクチャーして貰います。
乞うご期待下さいネ
