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オーストラリアMONA美術館に常設展示

2011年02月24日 | 社会

北海道新聞2011.02.23.夕刊文化面

オーストラリアMONA美術館に常設展示
ヒロシマの記憶転写  フロッタージュなど106点

 

 建物や樹木の表面を鉛筆などでこすり取るフロッタージュに取り組む美術家岡部昌生さん(北広島市在住)が、オーストラリア南東のタスマニア島に開館したMONA美術館に常設展示された。被爆地広島で制作したフロッタージュ作品や実際に被爆した石も並び、展示作と1月21日の開館セレモニーのため現地を訪れた岡部さんは「ヒロシマの記憶がタスマニアに転写される思いがした」と話している。(久才秀樹)
 
 MONA(Museam of Old and New Art)は、同国の大富豪デビッド・ウォルシュさんが自身のコレクションなどを展示する私設美術館として、タスマニアの州都ホバートに設けた。地下3階まである地中美術館で、展示スペースは6千平方mにも上る。館内外でむき出しになった土の壁が見られるという。
 展示品は、古代エジプトのミイラや古代ギリシャの金貨から、アンゼルム・キーファーやクリスチャン・ボルタンスキーら著名現代美術家の作品まで約400点に上り、昔と今、て生と死といったテーマの作品が並んでいる。
 ウォルシュさんが2007年のベネチア・ビエンナーレで岡部さんの作品を見たことから、同美術館への常設展示の声が掛かった。
 展示された作品は、ベネチアでも一緒に作業した写真家港千尋さんとの共作「タスマニアのヒロシマ-未来のアーカイヴ」。ベネチアにも出品した広島の旧国鉄宇品駅のプラットホーム縁石のフロッタージュや宇品の土を泥状にして描いたドローイングなど計106点を、長さ約19mにわたって壁に張り詰めた。被爆石12個も展示、港さんの映像作品も流されている。
 さらに新たな試みとして、展示している被爆石を使って来場者にフロッタージュしてもらい、その作品を特設の書棚にアーカイブ(保存記録)していく。
 ベネチアでは「わたしたちの過去に未来はあるのか」という問いを投げかけたという岡部さんは、「今回は、恒久的なコレクションとなった被爆石から来場者が作品を作ることで、新たな記憶が生まれ続ける。この美術館で、未来はつくられるという答えが提示されたのではないか」と話す。
 岡部さんはこのほか、昨年から長野県諏訪地方で、地元の人たちと一緒に縄文時代の土を使ったドローイングや土器・土偶のフロッタージュの制作に取り組んでおり、それらの作品の展覧会が3月19日から同県茅野市で開かれる。その後、中東レバノンのベイルートで開かれる展覧会への出品も予定され、「ヒロシマ」を軸として、その土地土地の記憶を組み上げる活動が続く。

 



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