感染症にかかった時の免疫反応には2種類あります。
傷口が化膿したり細菌が入ってきたときは、異物を食べるマクロファージや顆粒球がすぐ反応しますので、潜伏期間はありません。
一方、細菌より小さいウイルス、ハウスダスト、異種タンパクなどが侵入した場合、リンパ球の出番となります。
リンパ球はマクロファージや顆粒球の様に異物を貪食する種類とは違い、抗体や自らが異物にくっつく方法で戦います。そのため、抗体を作ったり自らのクローンを沢山作ってから攻撃を始めるため、一定の期間が置かれます。
(*擬人化すると、マクロファージや顆粒球は猪突猛進型。リンパ球は、知能型といった感じでしょうか)
これが、潜伏期間といわれる期間です。
病気の罹り始めの潜伏期間の間は、寒気やだるさを感じます。
そして、まだ本格的に戦っていない潜伏期間を置いて、自己複製のクローンのリンパ球や抗体が増えたら異物を攻撃して炎症が始まります。
この時、発熱に関与するプロスタグランジンやインターロイキンの働きによって、痛みや熱がでてきます。
発熱とは、代謝亢進です。
なぜ、代謝亢進がおこるかというと、ウイルスと戦う為のクローンや抗体を生産するためです。
クローンも抗体もタンパク質でできています。
タンパク質の合成は、温度依存性であるために、代謝亢進によって上昇するので、発熱が必要なのです。
つまり、発熱があるから(代謝亢進)、タンパク質の合成(抗体・クローンの複製の生産)が上昇するのです。
もっと簡単に言うと、タンパク質のリンパ球が分裂する際の動力は熱のエネルギーですから、発熱が必要不可欠だという事です。
私達の身体は、熱のエネルギーをリンパ球の分裂の為に消費しながら、クローンや抗体を増やしていくのです。
リンパ球は、この様な免疫反応を起こして戦うので、薬で代謝(熱)を止めれば治るのが遅れてしまいます。
WHOの統計では、このような免疫反応が起こる風邪の場合では、ひいてから治るまでにかかる日数は、平均的に2.5日です。
しかし、風邪薬を飲んだときは、4日まで延びるという報告があります。
ゆえに、薬で代謝を止めなかった場合、風邪をひいて治るのには、潜伏期間が3~4日、治るのに2~3日、トータルで5~7日で戦いは終わります。
薬で代謝を止めた場合は、治るまでに7~9日かかる事になります。
「風邪をひいたら暖かくして寝てなさい」といいますが、それが基本なのです。
・・・皆さまがいつも温かな幸せにつつまれますように・・・
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