藤村は、乗り越えた試練を強みに変え、今季に臨む
第6回は、08年に高校生ドラフト1巡目で入団した藤村大介内野手(19)。50メートル5秒8の俊足が売りだが、昨年1月の合同自主トレ前に右足首をねんざ。2軍では出場38試合、盗塁もわずか3つに終わった。けがを乗り越え、ひと回り成長した姿を見せるべく意気込みを語った。
歓喜のドラフト指名からわずか3カ月後だった。50メートル5秒8の俊足を買われて入団した藤村だが、昨年1月初めの練習中、右足首をひねるアクシデントに見舞われた。プロ1年目は大きな試練からスタートした。
「走っていてひねったんです。早く治さないと、と焦って焦って…。6月ぐらいまでリハビリの毎日で、ファームの試合もバックネット裏で見てました。まさか治るまでにこんなに長くかかるなんて思っていなかったし、辛かったです」
名門熊本工高で甲子園に3度出場。挫折を味わったことのない男に初めて訪れた辛い日々だった。
けがを克服した6月以降、更なる試練に襲われた。野球を始めた小学4年から内野の経験しかなかったが、2軍で空いていたポジションは外野だけ。「実際やってみたら守備位置の取り方が難しくて」と、てんやわんや。自らのミスで負けたこともあり落ち込んだ。
そこからの復活だった。「けががあったからこそ、試合に出られることに感謝するようになった。外野もある程度できるようになって野球の幅も広がりました」と、乗り越えた試練を強みに変え、今季に臨む覚悟だ。まずは2軍で1年間フル出場、30盗塁達成のため、現在は走塁練習を中心に下半身強化に励んでいる。
自主トレの合間に自動車学校に通い、免許取得に励む毎日。キャンプを前に今月中の取得を目指し「1年間頑張れたら、ご褒美に車を買いたい」と藤村。ペーパードライバーにならないためにも自らの足をフル回転させ、レギュラーと車をゲットする。
◆伊藤2軍トレーニングコーチの通信簿
「去年はけがもあって、与えられたことをやるので精いっぱいだったと思う。今年は技術的にも精神的にも、テーマを持って練習ができればいい」
■藤村 大介(ふじむら・だいすけ)
1989(平成元)年7月25日、熊本県生まれ、19歳。熊本工高から08年高校生ドラフト1巡目で巨人入団。高校時代は甲子園に3度出場。3年春のセンバツではベスト4。昨季成績は2軍で38試合に出場、打率.311、0本塁打、6打点。1メートル73、65キロ。右投げ左打ち。独身。今季年俸540万円。背番号54。(サンスポ)