三回に日本ハム・スレッジをうち取り、雄たけびを上げる楽天の田中=札幌ドーム
(パ・リーグ、日本ハム1-2楽天、1回戦、楽天1勝、13日、札幌ドーム)佑ちゃんを返り討ちだ!! 楽天・田中将大投手(23)が13日、日本ハム1回戦で8回7安打1失点。高校時代からのライバル、斎藤佑樹投手(23)とのプロ2度目の投げ合いを制し、今季3度目の登板で初白星を挙げた。宿命のライバル対決に連勝し、マー君の勢いがこれから加速する。
ようやくこの日がやってきた。九回二死、抑えのラズナーが陽岱鋼(ヨウ・ダイカン)を空振り三振に斬ると、一塁ベンチからひときわデカイ声が聞こえた。「ヨッシャー!!」。もちろん、田中の雄たけびだ。
「苦しかったけど、なんとか抑えることができてよかった。やっと1勝というのはありますね。みなさんに心配をかけたけど、勝つことができてよかったです」
最終回は守護神にマウンドを譲ったものの、8回を7安打1失点、8奪三振。プロ2度目となった日本ハム・斎藤との投げ合いに“連勝”し、今季3試合目でついにウイニングボールをつかんだ。
昨年9月10日以来となった高校時代からのライバルとの対決は「自分のことでいっぱい、いっぱい。いろんなことを考える余裕はなかった」という。開幕から自身2戦勝ちなしで、チームは借金3。「僕がカードの頭を取ることができなかったことでチームも乗れなかった」と悔しい思いだけが頭を駆け巡っていた。
立ち上がりは悪かった。一回に稲葉に先制の中前適時打を浴び、四回までは毎回得点圏に走者を背負う。だが、ピンチにマー君は覚醒した。1点リードの四回一死三塁から陽岱鋼、田中を打ち取ると、今季初めてマウンドで雄たけびをあげた。闘争心むき出しの投球スタイルを取り戻し、その後は八回までわずか1安打に抑えた。
オフに岩隈が大リーグのマリナーズへ移籍。タレント・里田まいとも結婚し、楽天、そして田中家の大黒柱となった。顔にはあどけなさも残る23歳が、公私で大きな責任を背負うことになり、たくましく成長した。
前日12日は練習後に札幌市内のレストランで投手陣の決起集会が開催された。田中は登板前日だったが、宿舎で入念な体のケアを済ませた後に約30分遅れで参加。北海道名物のジンギスカンに舌鼓を打ちながら、仲間と熱く語り合った。「つまんね~」と言いながらも酒には一切手を出さず、佐藤投手コーチの「3連勝したら(勝率)5割に戻るからがんばろう。あしたは田中に任せた」という言葉だけにエースは酔った。
これで駒大苫小牧高時代に3年間を過ごした北の大地では2008年5月から5連勝だ。「僕にとっては大切な場所。高校を卒業して6年だけど、応援してくれる人がいる。これでチームも勢いに乗ると思うので、自分もしっかりしていきたい」。ようやく手にした今季1勝目。ここから、昨季の沢村賞投手の2012年がスタートする。(サンスポ)