9月14日、今年で3回目を迎えた「お米つくり体験ツアー稲刈り編」を、丹波市の吉田農場にて開催いたしました。NPOはらっぱとの共催活動です。
あしの会では、農業の生産現場にふれることで、食の大切さを感じる機会を作りたいと考え、田植え・稲刈り・もちつきと、一年をとおしてお米作りのイベントを行っています。食卓と畑・田んぼの距離が近づくことで、顔の見える関係ができ、安心・安全の食のとりくみが、少しずつでもはじまるのではないかと期待しています。
現地へは、JR西宮駅から大型バスで来られる方と、自家用車で吉田農場に来られる方がいます。参加者・スタッフ併せて総勢約70名。子ども達もたくさん参加いただきました。今回は、昨年に続き参加いただいた方が何組かいて、去年参加して喜んでいただけたのかなあと、うれしく思いました。
朝、バスが出発したころに、バス隊に連絡してみると、「出発してからすぐに雨が降って心配しました。」とのこと。みなさんは、さぞややきもきしたのだろなと思いつつ、「丹波の朝は、曇り空ながらまずまずの天気。ばっちり稲刈りできます!」と伝言。
みなさんが到着し、さっそく吉田さんのあいさつのひとこと。「まあ事故にだけには気をつけてやってください。」シャイなおじさんのお人柄を感じます。つづいて、但馬高校で指導員をされている三男の仁志さんに、稲の刈り方のレクチャーを受けました。「穂に添える左手は必ず上に向けてください。でないと自分の親指を刈ってしまいます。」小さなお子さんも鎌を使うので、事故やケガにだけは注意しないといけません。
まあたらしい軍手をはめ鎌を持ち、いよいよ稲刈りのスタートです。春の田植え編に参加した家族は、自分達が植えた場所に名前入りの木札を差していて、その場所の稲を刈っていきます。「うちの家なんて書いたっけ?」なんて声も聞こえます。次回参加くださる方も、都合がつけばぜひ田植えから参加ください。「あんなにちっちゃかったのに!」と違った感動を味わえるのでは。
朝方は涼しかったのですが、日も照ってきて、額が汗ばんできました。
こども達はといえば、「ネイチャービンゴゲーム」にチャレンジ。一枚の紙を9マスに分け、それぞれのマスにバッタやカエル、草の葉など、丹波の田畑や自然のなかにある生物・植物を書きます。その紙をこども達が受けとり、田んぼをかけ回りながら探し、見つけたところに印をつけ、マスをうめていくというゲームです。オリエンテーリングなどでよく利用されますよね。みんな、「このバッタでかいでー。」「あっ、カマキリだ!」とはりきって走り回っていました。大きな空の下、広いはらっぱ(穂を刈った後のたんぼ)を走り回るこども達。当たり前の風景ですが、街中ではあまり見ることができません。
参加者のみなさんは腰をかがめ、真剣に稲を刈っていきます。中学生で参加してくれたお兄さんは、ビンゴゲームには参加せず、大人まさりで稲刈りをいていました。翌日、翌々日の腰痛注意報発令です。
刈った稲は、後でコンバインに通すため、穂先をそろえて置いていきます。お父さんが刈った穂を、小さな男の子が運ぶ。子どもが刈った穂を、お母さんが運ぶ。こんな連携があちこちで見られました。休憩しながら、その連携作業はお昼前まで続いていました。見ていてうれしくなる風景です。
一生懸命稲刈りした後は、当然お腹がすきます。お楽しみのお昼ごはん、今回も吉田班の有志のみなさんが作ってくれました。吉田班とは、吉田農場と提携して週1回農場の野菜を受け取っている消費者のグループです。
メニューは吉田農場の夏野菜たっぷりのカレーライス。ごはんは新米を精米してくれていました。とっても贅沢です。そして、8月で養豚をやめられた吉田さんが、この日のためにと置いていた豚肉の焼肉です。貴重な最後のお肉を、参加者みんなでいただきました。吉田さん、吉田班シスターズ、ごちそうさまでした。参加した方からも、おいしかったとの声をいただきました。
お昼からは、こども達は里芋ほり。ワイワイと親子で掘っていきます。里芋の茎から上は、大きな葉っぱ。こども達はうれしそうに「となりのトトロ」ごっこを楽しんでいました。
残った大人はひきつづき稲刈り。里芋掘りを終えた方も加わり、最後までしっかり刈り取り、コンバインまで運んでくれました。結構広い面積を用意したので、どうかなと思ったのですが、やり遂げました。ほんとおつかれさまです。
そして毎年恒例のかけっこ大会。今年はより公平を期すため、年齢別のカテゴリーを細かくし、0~3才、4・5才、中学生~30代、40代以上の4種目かけっこを行いました。「よーい、ドン!」の掛け声に、年代を超えてみな一様に一生懸命走りました。賞品も魅力的ですが、家族の前でいいトコ見せたいのです。各レースの一等賞には、なすび・里芋・新米がプレゼントされました。
また、冒頭で紹介した「稲刈りをがんばった中学生のお兄さん」には、農場の奥様より、「八惠子賞」としてたまねぎが贈答されました。たんぼの中でひときわ輝いた、本日の「ハニカミ王子」くんです。
記念撮影の後、吉田さんへお礼を言って、農場でのイベントは終了。ちなみにバス参加者のみなさんは、そのあと有名な「道の駅春日 おばあちゃんの里」に寄り、たっぷり買い物をしたとか。ほりだしもの、ありましたか?
今のこども達は、たべものの元の姿を知らない子が多いそうです。魚が切り身で泳いでいたり、野菜はスーパーの地下で作っていたりとか。参加いただいたみなさんのご家庭の食卓で、白いごはんを見ながら、「今日、これ刈ったなあ。」な
んて会話があったりしたら、少しうれしいな。でもみなさん疲れ果てて、それどころではないかも。
大人たちがこども達に一番に伝えなければいけないことのひとつは、「いのちの大切さ」だと思います。あしの会が取り組む食の問題も、これが原点にあります。「食べること」を大切にすることは、いのちを大切にすることにつながる。虫やカエルなどの生き物や野花にふれることは、「いのち」にふれることでもあると思います。今の街の暮らしでは、「いのち」を考える機会が少なくなっているように感じます。だから、こどもも大人も、もっと自然に触れ、走り回り、畑で土をさわる機会を作ってほしいと思います。タイガースのことも心配ですが、もっと野山に出ましょう。
最後になりますが、参加者のみなさんのがんばりで、幸い大きなケガもなく無事イベントを終えることができました。ありがとうございます。また、準備をお手伝い頂いた皆さん、吉田農場の吉彦さん、八惠子さん、仁志さん、ほんとうにありがとうございました。
12月21日(日)には、お米作りツアーの第3章、収穫したもち米を使った「おもちつき編」を開催します。今のところ、NPOはらっぱさんの奔走で、マイクロバスを出す予定にしています。今回、参加された方、参加できなかった方も、次回はぜひどうぞ参加してみてください。
あんしんたべものくらしネットワーク あしの会
http://ashinokai.jp/